車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

グランピングドームもある群馬・赤城の林間キャンプ場RVパークに行ってきた。新しくて設備充実なのに格安

RVパーク 赤城 ときわぎの森キャンプ場

今回行ってきたのは群馬県渋川市赤城にある「RVパーク 赤城 ときわぎの森キャンプ場」

RVキャンプ泊(キャンプ寄りの車中泊)にぴったりの宿泊ができる施設

 群馬県の有名な温泉地、伊香保温泉からも近い渋川市赤城にあるのが「RVパーク 赤城 ときわぎの森キャンプ場」(群馬県渋川市赤城町持柏木1000)で、名称から分かるようにここはキャンプ場で、2023年7月にオープンした新しい施設。

 主体はテントサイトだが、一部区画をRVパークの条件に対応するよう整備して日本RV協会に公認を受けている。

右が支配人の遠藤幸樹氏。左が副支配人の遠藤正之氏。支配人は保育園の元園長で現在は副理事長でもあり、副支配人もスイミングスクールで子供たちを指導する立場である

 ときわぎの森キャンプ場は、三育社という企業が運営しているが、三育社の系列は埼玉県越谷市で約70年続いている保育園(社会福祉法人)。こちらでは保育園が2か所、小規模保育所が1か所、学童保育は3施設運営している。

 そして現在の社長の代になってから、子供たちに「今以上にいろいろなことを体験してもらうこと」を目的に、約40年前に群馬県渋川市赤城に野外活動センターを開設したのだった(ときわぎの森キャンプ場はこの施設のそばに作った)。

 この野外活動センターは親元から離れて生活する体験や、冬季はスキー教室の合宿所などさまざまに利用されてきたが、そんな野外活動の魅力を子供だけでなく、保護者を含めた大人まで広く体験してほしいという考えから作ったのが赤城 ときわぎの森キャンプ場ということだ。

 そうした考えがあるので、施設はアウトドアレジャーを初めて体験する人にとって間口が広くなるよう、テントサイトのほかにグランピングサイトも設定している。RVパークを取り入れた理由も、車中泊という入口を含めたかったからとのことだった。

 そして設備も子供連れファミリーユースを重視した作りになっていて、各サイトのサイズは大きめでトイレやシャワーの数も多い。また、管理棟の近くには子供たちが遊べる広いスペースを設けている。

 特徴的な点として、木材などを使うもの作り体験プログラムの展開にも力を入れている。このプログラムではもの作りを通じて、工夫をすること、諦めない気持ちを育てること、不便であれば自分で作り出せばいいなど思考の成長に貢献することを狙いとしているそうだ。これらの体験プログラムは子供たちだけでなく大人も楽しめるものなので、施設利用者では親子で体験していくパターンも多いという。

 ちなみにRVパーク利用者でも(子供がいないorソロでも)体験プログラムは利用でき、今後は火起こしなどブッシュクラフトの体験プログラムも開催していく予定だとのことなので、興味のある人は予約時に問い合わせてほしい。

もの作りを通じてアウトドアの楽しみを知ったり、道具を使うことで感が得る力を養うということを狙った体験プログラムを実施している
竹を使ったランタン作り。型紙にあわせてドリルで穴を開けていく。穴のサイズが違うので穴にあわせて刃を選ぶということもやっていく
完成したバンブーランタン。光源としてコンパクトなLEDライトを竹筒のなかに入れている
ときわぎの森キャンプ場の全体図。敷地は3000坪ほど。なお、「ときわぎ」とは日本古来の大和言葉で「常緑樹」を意味するもので、名前にはユーザーとのつながりが通年で緑が続く常緑樹のように変わることなく続いてほしいという願いからのものという
林のなかにあるが、しっかり枝打ちされているので木の本数が多くても場内は明るさがある。このように丁寧な手入れをされている森林環境はとても気持ちいい
夏は日陰がありがたく、冬は木々の間からの日差しが暖かい。そして木が多いので風が強い日でも場内は比較的穏やかという
入口にある塀はキャンプ場を作るときに伐採した杉の木を使う。また、大きな石も造成中に出てきたものを活かしている
道路沿いの塀も伐採した杉の木で作っている。キャンプ場の雰囲気にあっている

RVパークは5台分。ときわぎの森キャンプ場の作りと設備を紹介

 ときわぎの森キャンプ場のRVパークは5台分のスペースがあり、利用料金は3000円~と安価な設定。それぞれの区画には100Vの電源があって、この利用料も含まれている。

 チェックインは14時~17時でチェックアウトは8時~11時の間となっている。

 区画のサイズは縦の長さが9mで、横が4.5mと大型車にも対応。地面は若干の傾斜があるが頭の位置を上側にすれば気にならないレベルだ。それでも水平傾向を望むならタイヤの下に敷く板などを用意しておくといい。

 ちなみにキャンピングカーユーザーは、訪れた先の駐車スペースごとに異なる地面の水平具合を調整するため、板を使うのは一般的なことのようなので、RVキャンプ泊ユーザーも持っていく道具のなかに傾き調整のための板を追加しておくといいかもしれない。

 あと、山あいの施設なので冬季の積雪が気になるところだが、ときわぎの森キャンプ場周辺は雪があまり降らず、降ってもクルマの走行に支障が出るような積もり方はしないそうなので通年で利用できるということだ。

RVパークは5台分。画像右から左へかけて緩い傾斜があるが、寝にくいという声はないという。筆者も泊まったがまるで気にならなかった。なお、キャンプ場の近くには犬のブリーダーが住んでいるそうで、給餌の時間などでは多頭でほえる声が聞こえてくるが、ほえる声が山に響いていわゆる「ワンワン」ではない聞こえ方なのでこれもあまり気にならなかった
今回は管理棟から一番離れた5番のスペースを使わせてもらった。利用料金は3000円~という設定。電源使用込みでこれは安過ぎる感じ。1台分のスペースは長い辺が9mで横が4.5mと十分なもので、ほかのスペースもほぼ同じ広さだ。路面は砂利敷き+硬めの土なのでペグを打つときはしっかりしたものと大きいハンマーがほしい
各スペースには100Vの電源がある。電源使用料は施設の利用料金に含まれる。施設利用料がかなり安い設定なので、電気が使えるといっても節度を持って利用したい
スペース内であれば車外へのイスやテーブルの展開はOK。火を使う調理もOK。たき火台を使用してのたき火もOKだ
支配人の遠藤氏は日本ブッシュクラフト協会が開催する講習を受け資格試験に合格。その経験を活かしたブッシュクラフトの体験プログラムを開催予定。今回は筆者のたき火にファイヤースターターのみで火を点けてくれた
すぐにこれだけの火力になった。RVキャンプ泊しながらこうした技術を学べるのはいいこと
スペースの後ろはこのように奥行きのある林なので、後方にイスなど展開すると林間キャンプ場ならではの雰囲気が味わえる
共用施設の紹介。管理棟は朝8時から19時まで人がいる。それ以降の緊急対応は電話で受けている。キャンプ場から近いところに担当スタッフがいるのでなにかあれば駆けつけられる体制
受け付け横には売店がある。ホワイトガソリン、ガス、炭などからシャンプーなどもある
保育園もやっているところの運営なので紙おむつも多いているのがらしいところ
食器類やおやつ類もある
冷蔵庫もありアイスクリームのほか冷凍のハラミもあった。調理道具とごはんの用意だけすれば食事ができる
キャンプ用品のレンタルもあり、お酒の販売も充実している
薪の販売もある。杉の木なので燃えるのは早いという。横には杉の葉があるがこれは無料。杉の葉は非常によく燃えるので着火剤として使える
管理棟には男女別のきれいなトイレとシャワールームがある
シャワールームの入口には自動販売機がある。飲み物のほかにもお菓子やカップ麺も売っている
男女別のきれいなトイレ。個室は男女ともに2つあり、温水洗浄便座、暖房便座など装備。ライトは人感センサータイプ
男女トイレスペースの間にはこれまたきれいに管理されている手洗いと鏡があるが、ここはシャワー後に髪の毛を乾かす場としても使えるようドライヤーが置いてある。女性客に好評という
シャワールームは3つあり利用は無料。しかも1日中(清掃時間除く)使えるので混んでいるときも利用しやすい
脱衣所にはカゴが常備してある。着替えには十分なスペースだった
ときわぎの森キャンプ場は2023年7月に新規オープンしたばかりなのでシャワーなども器具自体が新しいのできれいであり使い勝手も良好だ
管理棟の横に炊事場がある
水栓は片側ずつ4つ、計8つあるがそのうち4つは温水が出る
かまどもある。RVパーク利用者も使えるので、コンロなど持っていなくてもここで焼きもものを焼いてスペースに戻って食べるということも可能。とにかくここは利用料金がお手頃でありながら無料で使える設備が多い
管理棟の横にゴミ捨て場がある。ゴミ処理は有料で料金は300円。もちろん分別は必要。たき火の灰を捨てるドラム缶もある
ここは体験プログラムを行なうときに使うスペース
管理棟からRVパークを見た図。管理棟から近いのでトイレやシャワーの利用はしやすい
場内にはトレイ棟がもう1つある。こちらも男女とも個室が2個ずつ
テントサイト、グランピングサイトから近いトイレ棟なので、各方面からアクセスしやすいよう3方向に通路を作ってある。こういう作りはとても親切

RVパーク以外のサイトも紹介

 ここからはRVパーク以外のサイトを紹介していこう。なお、ときわぎの森キャンプ場はすべてのサイトにクルマを駐められるので、RVパークが満車だったりしたときはテントサイトに泊まるという手段もある(料金は6000円~)。

 テントサイトなので当然テントを張ることもできるので、RVキャンプ泊、車中泊ばかりしている人であれば気分を変えてテント泊のキャンプをしてみるのもいいかも。テントを持っていなくてもときわぎの森キャンプ場にはレンタルテントもある。

 各サイトはファミリーキャンプを意識して広めに取っているが、サイトのカタチはそれぞれで違うので、何回来ても配置を考えるおもしろさがある。ちなみにサイトのカタチが違うのは生えている木の配置を重視したためとのこと。林間キャンプ場ならではの事情だ。

ここはソロサイト。ほかの区画と隣り合っていない。ほかのサイトから離れたところにもう1つのソロサイトを作っている最中
すべてのサイトはクルマが乗り入れできてなおかつ大型のテントも張れるスペースがある。この写真では手前の地面の色が違うところからがサイト。広いのが分かるだろうか
道路側のサイトは傾斜を利用してサイトごとに段になっている。利用者からは隣り合っていても目線が違うので隣が気にならないという感想が多いという

 もう1つがグランピングサイトで、料金は大人2名の利用で1万8000円~。定員は5名で大人1人追加ごとに3000円、子供1人追加ごとに2000円となる。

 断熱材入りのドーム内部の広さは十分で、杉林が見える大きな窓もある。エアコンや冷蔵庫も設置されているし、コンセントの数も多いので、定員一杯で利用してもスマホの充電などに困ることはない。

 デッキにはタープやテーブル、チェアがあってこれも利用できるし、サイトにはクルマ1台分の駐車スペースもある。トイレやシャワーは共用だが、設備から見るとここも安い料金設定のように思える。家族をグランピングサイトに泊めて、お父さんはRVキャンプ泊やテント泊で1人の時間を楽しむという家族利用もいいかも。

こちらがグランピングサイト。4つある
それぞれのサイトにはクルマ1台分の駐車スペースがあって、土の上であればたき火台使用でのたき火がOK
ウッドデッキにはタープが張ってあるスペースもある。バーベキューコンロも付いている。当たり前だがウッドデッキの上ではたき火は厳禁だ
ドーム内部。大きな窓があってカーテンを開けると杉林がみえる
ベッドは2人用で、ほかにマットとシュラフもある
エアコン完備。クーラーボックスがあるのでバーベキュー用の食材など入れておける
通路は砂利引きであることが多いが、ここはウッドチップを敷く。ウッドチップは管理が大変なのだが、砂利だと歩くときに音が出るので、深夜早朝の時間にトイレに行く際、就寝している人を起こすかもしれない。そこで手間が掛かってもウッドチップにしているとのこと
通路の途中には夜間になると点灯する照明があるので、夜にトイレに行くときにライトを持っていかなくても大丈夫
管理棟の近くにある子供たちの遊び場。利用できる時間は17時まで
夜間の様子。カメラなので明るく写っているが夜はしっかり暗く、通路の照明がほんのりと明るい感じ
管理棟は19時まで。22時から翌朝7時までは静寂タイムなので、この時間内は静かに過ごすこと

 以上がときわぎの森キャンプ場の紹介だ。内容を見ても分かるようにオープン間もないながら、かなり人気で週末の予約は取りにくくなっている。ただ、ファミリー向けということで子供が休みでない平日になると空いているのだ。

 取材も平日に行ったが利用者はほかに1組だけ。この施設を人があまりいない状況で利用できるのは贅沢な感じなので、平日に休みが取れるなら平日の利用をお勧めする。

前回の取材ではうっかりミスから足に熱湯をこぼし、病院送りからの強制帰宅になったのでRVパークで朝を迎えることができなかったが今回は無事、宿泊することができた

ところで……

 電源やトイレが整備されていてお風呂やシャワーが施設内や近くにあり、快適に安心して車中泊ができる場所がRVパークなのだが、その形態はワンパターンではない。

 そもそもRVパークはキャンピングカーで旅をしている途中の宿泊地として設定されたものなので、1台分の駐車スペースを貸し出しする(車外へのテーブルやイスの展開は不可)というのがベーシックな形態としてまずある。

 調理や食事、休憩、就寝などが車内でできてしまうキャンピングカーであれば、電源が取れる駐車区画だけあれば事足りてしまうので、これで十分と言えば十分。

 そしてもう1つが、キャンプ行為もできるタイプのRVパーク。こちらは車外にテーブルやイスが出せて、さらに調理やたき火もできるといった特徴があるので、テント泊キャンプのような過ごし方ができる。

 クルマもキャンピングカーに限らず、それこそ寝られるのならどんなクルマでもいいので、利用の間口はグッと広くなる。そして実際にRVパークではこの形態が主流であり、人気も高い。

 屋外へのギアの展開の程度は施設によってそれぞれのルールがあるが、とにかくキャンプ寄りの車中泊ができるRVパークは「旅の途中に寄る」という利用でなく「レジャーの目的地として」として選ばれるので、ひと言で「RVパークでの車中泊」といっても前者と後者ではニュアンスが違っている。

 この企画ではRVパークのなかでも「キャンプ寄りの体験ができる施設を主体に紹介しているので、車内で過ごす割合が多い車中泊とは表現のイメージを変えたいところ。なお、キャンプ寄りの車中泊に近い言葉にはオートキャンプという呼び名もあるのだが、オートキャンプではクルマをサイトに乗り入れつつも寝るのはテントの割合も多いなど、呼び名が示す内容が広いのでこれを使うのも少し違うようだ。

 そんなことからRVパークを使うキャンプ寄りの車中泊のことをほかの車中泊と区別するため、記事のなかではこの手の車中泊を「RVキャンプ泊」と書いてみた。とはいえ「今後はこの呼び名にしよう!」など、威勢のいいものでなく、あくまでも記事中の表現をイメージしやすくするためなので、ツッコミはご勘弁をお願いします(笑)。

車中泊とキャンプのいいとこ取りが楽しめるのがキャンプ行為OKのRVパーク