ハワイ現地発
【ハワイ現地発】オアフ島在住編集者オススメのハワイ島ステイ ~喜ばれるお土産も。コナ沖で採取する100%天然塩のファームツアーに参加してみた~ Vol.2
2025年5月12日 12:00
ハワイ島に行くなら参加してみたいと思っていたツアーがあった。コナ・シーソルト・ファームツアー。数年前にここの塩を使って以来、わが家の食卓が変わり、日本への帰国土産にも買うようになった。好評の塩土産、せっかくならその魅力も伝えるべく、ツアーを予約した。
日常の生活に欠かせない塩だが、海洋汚染が深刻な現代の塩の多くはマイクロプラスチックが含まれているとの報告もある。汚染を取り除く精製塩は、塩の栄養成分であるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも失われるというし、一体何を選べばいいのか……? そんなときに、取材をきっかけに出会ったのがコナシーソルトだった。
この塩は、ハワイ島コナ沖の2200フィート(約670m)の深海から汲み上げる海水から採取されているという。添加物不使用の100%天然のハワイ海塩で、海洋深層水の特徴であるマグネシウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などのミネラルが豊富に含まれている。そして塩分濃度が低い。つまり「塩分(ナトリウム含有量)が少ない塩」で、まろやかな味わいが特徴だ。
コナ空港からクルマで約5分の海沿いに位置する塩田を見学するファームツアーは60分で大人1人27ドルだった。まずは海を見渡すラナイ(バルコニー)に集合し、マグネシウムを数滴入れた冷たい水で喉を潤す。カラッと晴れたこの日、ほぼ全員が一気に飲み干していた。マグネシウムは、筋肉や神経を和らげ、血圧の調整を助け、丈夫な骨を維持するという健康に欠かせない働きをしてくれるという。不足すると脱水症状を起こすこともあるので、しっかり飲んでおこう。
ツアーガイドはイポラニさんというフレンドリーな人で、この場所の歴史と文化について話してくれた。この地はハワイアンの人々が塩を収穫していた歴史ある場所だったこと。彼らは塩を大切にしていて、塩を大切な人への贈り物としていたことなどを説明してくれた。
海の近くに移動してより詳しい説明へ。670mの深海は潮の流れが遅く、はるか彼方からの900年前の海水が流れてきているという。ミネラルを多く含む海水は重く、海面の海水と混ざらないため、人為的な汚染の影響を受けず、安全な塩が採取できるのだそう。
海の目の前に絶景が広がるこの敷地を活用して、ウエディングパーティやハワイのローカルミュージシャンを呼んでイベントも開催しているのだとか。
次に、室内へ移ってクールダウン。コナ・シーソルトは収益の1%を非営利団体に寄付していて、その団体は世界遺産である北西ハワイ諸島のパパハナウモクアケア海洋国立記念地区の野生動物を海洋汚染から守る活動をしているという。安心して食べられるこの塩は海の恵みであり、ハワイの自然、世界の自然を守る責任があるといい、参加者にもその理解を促していた。寄付以外にも、彼らは塩をボトルに詰め、キャップはコルクを使うなど、できる限りプラスチックを使用せず、環境に配慮している。
続いて、外に出て塩づくりの現場へ。ファームでは、塩をどのように収穫するかを解説してくれた。その工程はポンプで海水を汲み上げてフィルターに通し、海水を太陽光で蒸発させる。至ってシンプルだが、海水を塩の結晶とするまでには5~8週間かかる。世界中の多くは海水を沸かして水分を蒸発させて塩を作ることを思うと、自然の力を使って丁寧に長時間をかけていることが分かる。それゆえ、少量ずつしか製品にできないという。
汲み上げられた海水にゴミが入らないようにカバーされていて、そのなかを覗くこともできた。塩を作る際に残った水分がマグネシウムで、これも収穫する。
そしてできたての塩があるというハウスのなかへ。
サウナのような暑さの室内には真っ白な塩が……。工程を見てきた皆は「ほぉ~」と感心しながら見入っていた。900年前かもしれない海洋深層水から目の前の塩が採れたのだと考えると感慨深い。世界中でこのような深海から塩を収穫するのはここだけなのだそう。
これでファームツアーは終了となるが、20分の「深海水フットソーク」ツアーも参加してみた。670mの深海から汲み上げた水に足を入れるウェルネス体験ができる。
1人ずつ目の前に用意された木桶に、まずはボトル1本分のマグネシウムをドポドポと入れて、「さぁ脚を入れてみて!」と。みんなで「ひんやりして気持ちよさそう!」と、足を入れた瞬間、アメリカ人は「Ouch!(アウチッ)」と声を挙げた。670mの深海水は驚くほど冷たかった。「脚を出し入れを繰り返すと血流がよくなるわよ!」とアドバイスをもらったが、冷た過ぎて「10秒間もムリ!」などど全員が笑ったりして、深海水フットソークコミュニティができあがった。
20分のひんやり体験のあとは、最初に集合した建物内にあるショップへ移動してテイスティングタイム。さまざまなフレーバーの塩があり、それを野菜やフルーツとともに味わうことができる。レモンローズマリーやファームフレッシュハーブ、ホットハワイアンチリなど15種類。きゅうりにはどの塩が合うか? トマトは?など、それぞれまったく違う味わいを楽しめる。
気に入った塩や(1つ8ドル前後)、マグネシウムドロップ(1本11ドル)、バスミネラルなどのショッピングも自由に楽しんでツアーを締めくくる。プレーンの塩は常備するとして、フレーバー塩があると非常に便利。チキンなど肉料理にはもちろん、野菜やチーズを切って、塩を並べるだけで、数種類の味のププ(つまみ)になるのだから。マグネシウムドロップは、夏はスポーツをする際に水に垂らして持ち歩き、夜寝る前に2~3滴入れた水を飲むと安眠できるので、これもわが家に常備している。
この体験とともに自分で持ち帰るもよし、健康志向の人へのレアなハワイ土産としてもいいだろう。ハワイ島の大自然をめぐるツアーはもちろん素晴らしいが、まだあまり知られていない塩ファームツアーも、60分で充実した体験となるだろう。