ボーカリスト琴音の音楽旅
中南米のおにぎり的存在「エンパナーダ」を作ってみた
ブエノスアイレスを思い出す「スパイシーひき肉炒め」、日本風「てりやきチキン」
2020年8月29日 00:00
アルゼンチン・ブエノスアイレス留学から日本に帰国して、約3か月が立ちました。相変わらず基本的にはステイホームで、あまり外出をしない私。自炊レパートリーにも飽きてきて、少しめずらしい料理を食べたい気分。
スペイン語でレシピ検索して理解できるようになったので、今回は中南米の具入りパイ「エンパナーダ」を手作りしてみました。
エンパナーダはアルゼンチンだけでなく、中南米のさまざまな国で食べられています。最もポピュラーな具は、スパイスで味付けして炒めた牛ひき肉です。ブエノスアイレスではハム&チーズ、サーモンホワイトクリームなど、さまざまな具が入ったものがありました。
エンパナーダは揚げているものと、オーブンで焼いているものがありますが、私はオーブン焼きの方がサッパリしていて好きです。ブエノスアイレスでは、エンパナーダの皮が餃子の皮のようにスーパーで売られています。ですが、日本ではもちろん売っていないので、今回は生地から作りました。
さらにせっかくなので、日本風にてりやきチキン味のエンパナーダも作ってみました。そうです、中の具はお好みの具でいいんです。
今回はさまざまな中南米の国のレシピを調べて、私のオリジナルレシピにしてみました。とはいえ、初めて作るので勘でアレンジしています。写真の具の量は少し多めに作っているので、以下の分量を参考にしてください。そうすると、この生地の量とぴったり合うはずです。もちろん、多めに具を作って、それだけで食べてもとっても美味しいです。
スパイシーひき肉炒め
牛豚あいびき肉150g、ニンニク2かけ、玉ねぎ4分の1、クミン小さじ半分、パプリカパウダー小さじ半分、オレガノ小さじ半分、辛いのがお好きな方は粉とうがらし適量、塩コショウ適量、コーンスターチ(もしくはかたくり粉) 大さじ1、水適量必要であれば炒め油
てりやきチキン
鳥モモ肉150g、玉ねぎ4分の1、しょうゆ小さじ2、砂糖小さじ2、酒小さじ3、かたくり粉大さじ1、水適量
まずはパイ生地を作ります。
1. 粉類をボールに入れて、タマゴ、カットしたバターを冷たいまま入れる
2. 手で混ぜて、水を半分の量だけ入れる。少しまとまったら、残りの水を入れて生地をまとめる
3. 耳たぶくらいの柔らかさになったら、少し生地を休ませる
生地を休ませている間に、中の具を作ります。まずはスパイシーひき肉炒めから。
1. ニンニクと玉ねぎをみじん切りにする。コーンスターチを水で溶いておく
2. ニンニクと玉ねぎをフライパンに入れ、中火で炒める(ここではテフロン加工のフライパンなので油なし。必要に応じて油をひいてください)
3. ひき肉を入れて、スパイス類、塩コショウを入れて炒める
4. ひき肉の色が変わり、玉ねぎが透明になったら火を止め、水溶きコーンスターチを入れて混ぜる(コーンスターチやかたくり粉を入れるのは、とろみがある方がパイに包みやすいから)
続いて、てりやきチキンです。今回は作っている間に生地をのばしたかったので、電子レンジで作りました。今年の夏も猛暑なので、火を使わないレシピだと暑くなくてオススメです。
1. 鳥モモ肉を一口より小さく切る。玉ねぎは薄切りにする(あとで具としてパイで包んだときに食べやすくするため)
2. かたくり粉以外の材料を耐熱容器に入れ、よく混ぜる。ラップをして500Wの電子レンジで5分
3. 5分たったら1度取り出してかき混ぜる(すごく熱いので気をつけて)
4. 再度電子レンジで5分温める
5. レンジから取り出して、水溶きかたくり粉を加え手早く混ぜる
そして、レンジで温めている間に生地を伸ばします。先月に続き綿棒を持っていない私は、手で伸ばすことにチャレンジ。生地50gほどを直径12cm、厚さ0.3mmくらいに伸ばしていきます。綿棒がある人は、大きく伸ばしてお皿などで型をとるのがよいです。レンジでてりやきチキンが完成したら、オーブンを180℃に余熱します。
それでは生地を伸ばして、具を包んでいきましょう。これは餃子でもそうですが、具が多めだと少し包みづらいです。肉をたくさん食べたいという欲望と、見た目の美しさの激しい攻防戦の末にまずは肉が勝利。
しかし、1個目は無残な姿に終わりました。ぐぬぬ……、まさかエンパナーダを包むのがこんなに難しいなんて! 餃子を包むのが上手だからって、完全に舐めてました。餃子の生地と違い、油分があるので包みづらいのですよ。2個目は包みやすさに勝利を譲り、なんとかそれっぽいものになりました。しかし、何かが違う。不器用選手権代表選考会か? すみません、マジで下手っぴで、「これ本当に記事にできるのかな?」と生地を包みながら思ってました。
しかし、これこそ実演したからこそ分かること、人生何事も上手くいったら面白くないのである。何個か包んでいくうちに、少しづつ上手くなりました。
てりやきチキンは、包み方を変えました。こっちの方が100倍簡単です。実際、南米のエンパナーダ屋さんでも具によって包み方を変えていました。これだと中の具が何か分かりやすいですよね。エンパナーダが「中南米のおにぎり的存在」といわれているのも納得です。
無事に包み終わり、オーブン皿の上に並べて溶きタマゴを塗ります。お料理用のハケなど高尚なものは持っていないので、スプーンで代用。スプーンの背を使うと塗りやすかったです。
そして、180℃のオーブンで20分焼きます。焼いている間もバターのよい香りが。焼き上がりを見ると、ちゃんとエンパナーダになってました。包み方がちょい下手でも、焼いてしまえばそれっぽくなりました。
しかし、肝心なのは味です。熱々のまま、いざ、実食。おぉ……おぉ……正しくこれはエンパナーダ。我が思い出の、遠きブエノスアイレスの地で食べたものなり。
かぐわしいバターの香り、鼻に抜けるスパイシーなクミン、オレガノ入れとけば何でもアルゼンチン風になるオレガノの主張。すべてがお口の中でマリアージュ。少しとろみを付けたことで、お肉がポロポロしませんでした。
ここまでは中南米で最もポピュラーなスパイシーひき肉味、そりゃあ生地と相性がよいのも当たり前です。
さて、日本風のてりやきチキンエンパナーダはいかに。こ、これはまたバターの風味と、てりやき味が絶妙なキラーパスを出してきます。玉ねぎの甘さでゴール、完全優勝です。「日本の食べ物で外国人の口に合うもの」でてりやき味にしてみました。まさかこんなに合うとは。いつかアルゼンチン人の友人たちにふるまいたいです。
今回は生地にバターを使っていますが、植物油などどんな油でもいいと思います。バターを使用する場合、中の具はバターと相性がよいものがオススメです。
豚キムチ炒めなんかもバターと合いそうだなと思いました。日本にもたらこスパゲッティという料理があるように、他国の料理でもアジア料理とかけあわせて美味しいものが作れますね。
世界の国々もそんなふうに仲良くなれるとよいな、と思う今日この頃です。今年の夏も猛暑ですが、熱中症とコロナウイルス気をつけつつおうち時間を楽しもうと思います。