井上孝司の「鉄道旅行のヒント」
その席、コンセントある? 設備の細分化とシートマップの活用
2026年11月4日 06:00
列車の設備が「普通車」「グリーン車」の別ぐらいしかなければ、そのいずれかを選択したうえで「あとはお任せ」できっぷを買えば済む。ところが最近では、接客設備の多様化が進んでいるため、話がややこしくなってきた。すると、編成や設備の事前確認と、シートマップ指定による決め打ち購入がキモになるかも、というのが今回のお題。
利用者がシートマップで好みの席を指定できる時代になった
特急券や指定券を購入する場面では「窓側」「通路側」の別を指定する程度で、あとは「おまかせ」とするのが一般的と思われる。誰もが号車や席番にこだわりを持っているわけではないから、それでも困らない。
現実問題として、「普通車」「グリーン車」の違い程度であれば、特定の号車や席番にこだわりを持つのは「よほどのこと」である。筆者は、新幹線に乗る場面で電源コンセントの確保にこだわることがあるが。
コンピュータ化された今のシステムでは、空席の割り当てにちゃんとルールがあって、いきなり不人気な席をアサインされるようなことは起こらない。空きがある限り、窓側を優先、グループならまとまって座れるように、というロジックで動いている。通路側しかとれない、グループがバラバラになってしまった、といった事態になるのは、もうそれしか空きがなかった場合のことだ。
実は、国鉄/JRではずっと昔から「みどりの窓口」で購入時に特定の号車、特定の席番をリクエストできた。もちろん、その席がすでに埋まっていれば買えないが、空いていれば狙い撃ちで買えた。例えば「連れが先に指定をとっているので、その隣席を欲しい」といった場面で、この仕掛けが活きる。そして今なら、シートマップで明示的に特定の号車、特定の席番を狙える場面が多い。ネット購入だけでなく、指定席券売機でも同様だ。
海外でも同じことができる場合がある。筆者が先日にスウェーデンを訪れたときには、同行者同士で示し合わせて、まとまった席を確保した。現車に乗ってみたら、シートマップと違って向かい合わせになっていなかったのは御愛敬だが(一方向固定の腰掛だから、向かい合わせにはできない)。
おもしろいのは東海道・山陽新幹線。EXサービスならシートマップ指定ができる。しかし購入手段によっては、シートマップ指定ができないことがある。見ようによっては、シートマップ指定を「EXサービスを利用することのインセンティブ」にしている、ともいえる。
同じグリーン車でも号車によって違いができる
シートマップ指定が可能になったといっても、複数の号車のなかから、わざわざ特定の号車を狙う必然性はあまりないのが普通である。選択の余地が大きいから空席が多い号車を狙う、降車駅で階段が近い号車を狙う、ぐらいだろうか。
ところが最近、号車ごとの設備の相違・細分化といった話が増えてきたように思える。そうなると、号車にこだわりを持つ理由も出てこようというものである。
JR東海とJR西日本は、10月16日に東海道・山陽新幹線の新型車両「S0系」について発表した。このとき、S0系が導入する新しいグリーン車の設備を、N700AやN700Sにも先行導入することが明らかにされた。
この新しいグリーン車、8・9号車は現行の腰掛と似た「多機能アームレスト座席」、10号車は「S・Work Pシート」と同様に左右の席の間に仕切りを設けた「パーティション座席」になる。現在は、「東海道・山陽新幹線のグリーン車」といえば1種類だけだが、バリエーションが増える。
一人で乗車するならプライバシーを大事にしたいから、パーティション付きの席の方が好ましいだろう。しかし2人連れあるいはグループ利用なら、パーティションは邪魔なだけである。すると利用の様態によって、8・9号車または10号車を使い分ける方がよい。
そうなると、シートマップ指定で号車を決め打ちするのが確実という話になろう。もっとも、購入時に「多機能アームレスト座席」「パーティション座席」の選択を求めてくることになるかもしれないが、その辺りは今後の動向を見る必要がある。
同じ列車の普通車でも号車によって違いがある場合がある
これはグリーン車の話だったが、普通車に「ハコによって設備が違う」なんていう話はあるか。実はある。
JR北海道の特急列車は、段階的に全車指定席に移行してきた。このうち札幌~旭川間の特急「カムイ」と、札幌~室蘭間の特急「すずらん」は普通車のみ5両編成だが、そのうち1両だけ設備が異なる。
もともと、5両のうち3両目だけが指定席「uシート」だった関係で、この車両だけ設備のグレードが上がるのだ。腰掛からして異なるし、電源コンセントの有無という違いもある。指定席の「uシート」に付加価値をつけようとして設備のグレードを上げた車両を造り、あとから全車指定席に方針転換したため、こんなことになってしまった。
実は過去にも、秋田新幹線や山形新幹線で似たような話があった。こちらはシートピッチの違いで、腰掛は同じだが、元・自由席車の方が狭かった。
編成と設備を事前に確認しよう
JTB時刻表を見ると、(国鉄/JR限定だが)「列車の席番ご案内」というページがある。これは筆者が幼少のころから存在しており、このページを見ながら、乗ったことがない列車に思いをはせたこともあった。国鉄時代は車両の標準化・画一化が甚だしかったから、限られたページ数でも、大抵の列車はカバーできた。
しかし現在は事情が異なる。車両形式も車内設備も多種多様になっているから、すべての列車のすべての席番をカバーしようとすれば、それだけで本が一冊できてしまう。だから、JTB時刻表の「席番ご案内」も、現在は新幹線だけになってしまった。
一方、「列車の編成ご案内」の方は今も健在だ。もっとも、新幹線は標準化が進んでいるから、路線別・方面別におおむね編成両数や設備は揃えられており、列車によって指定席車と自由席車の配分が違う程度の話で済むことが多い。
しかし在来線特急は話が違う。列車によって編成両数が違ったり、設備が違ったりする。同じ愛称を持つ同じ路線の特急列車でも、個室の設備があったりなかったり、編成両数が違ったりといったことが起きる場面がある。
だから、乗り慣れない路線や列車であれば、特急券や指定券を買う前に、編成の内容や、個々のハコごとにどんな設備があるのかを確認しておくと慌てずに済む。そのための「列車の編成ご案内」ページである。
もっとも現在、列車の編成や席番に関する情報は、紙の時刻表だけでなく、鉄道事業者各社のWebサイトで公開されているのが普通だ。そちらで確認してもよい。
幸い、今の日本の鉄道では、シートマップ指定に追加料金が必要とか、メリットの多い席だけ追加料金が必要とかいうことはない。空の上だと、ビジネスクラスでも座席指定は別途有料、というシブチンなエアラインがあるが。

































