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特急しなの新型「385系」、優雅なグリーン車と客室設備を見てきた! 山間部を速く走れる振子式の特徴も解説
2026年5月13日 12:30
- 2026年5月12日 公開
JR東海は5月12日、中央本線の特急「しなの」に投入する新型車両、385系電車の量産先行車を報道公開した。この量産先行車を用いて試験を進めたうえで量産に移行する計画で、営業運行開始は2029年を予定している。
385系の概要
「しなの」は、中央本線と篠ノ井線を経由して、名古屋~長野間を走る特急列車。現用中の383系は1994年の登場だから、32年ぶりの新型ということになる。
383系は2両・4両・6両の3種類があるが、385系は8両編成のみ。そのうち1両がグリーン車、7両が普通車で、定員は400名。
もちろん、2030年代に向けての新型車両であるから、ACコンセントは全席に標準装備している。また、各車両の出入台には幅1000mmの大型荷物置場を設置、客室の荷棚もスペースを拡大している(+60%)。
そして、曲線区間が多い中央本線や篠ノ井線を速く、かつ快適に走るため、足回りのメカニズムに工夫をしている。といっても、それは乗客の目からは見えないところだから、概要はあとで説明することとしたい。
385系の外観
385系のエクステリアは「アルプスを翔ける爽風」をテーマとしている。
383系は、6両編成の長野方先頭車のみが非貫通の流線型、そのほかはすべて貫通式とすることで、必要に応じて名古屋方に増結する仕組みとしていた。対して、385系は両先頭車とも流線型でまとめられており、貫通路は持たない。つまり増結をする意図はないものと読める。
実は、385系電車は中央本線の名古屋口で使われている最新の一般型電車・315系と、編成両数・車両の全長・側扉の位置を揃えている。これは、名古屋圏で可動式ホーム柵を設置する駅が出てきており、その開口の位置を315系に合わせてあるため。
385系の車内(グリーン車)
385系のインテリアは「木曽五木のイメージ」に基づいてデザインした。
グリーン車は長野方の先頭車(1号車)で、これは383系と同じ。ただし、JR東海の在来線特急車としては久方ぶりとなる2列-1列配置で、横方向の余裕を大きくしている。しかもシートピッチは1300mmで、一般的なグリーン車の1160mmと比べると140mmも長い。
そして、「優雅なプライベート感」をテーマにデザインしており、JR東海では初めて、バックシェル型の腰掛となった。だから、後ろの席の人に気兼ねせず、電動式のリクライニングを使える。また、足置きを設置する代わりに電動式のレッグレストを採用した点も目新しい。
385系の車内(普通車)
普通車は2列-2列配置。「自然の心地よさ」をテーマにデザインしている。
そのほかのいろいろ
普通車とグリーン車の概要はここまでとして、そのほかの見どころも紹介する。
バリアフリー関連設備も、最新のガイドラインに沿った内容になっている。車椅子スペースは6号車に3か所あり、このうち2か所は窓に隣接する配置。同じ車両に多機能トイレも設置している。
山間部を速く走るための電車
「しなの」は1968年10月のダイヤ改正から、特急列車としての運行を始めた。このときには181系気動車を使用しており、名古屋~長野間で4時間程度を要していた。ところが、383系が1996年12月から定期運行を開始したときには、名古屋~長野間を最短2時間43分まで短縮した。
劇的ともいってよい所要時間短縮は、いかにして実現したか。アップダウンやカーブが多い山間部を走る列車では、最高速度をむやみに引き上げるよりも「いかに速度を落とさずに走るか」が問われる。
383系も、新しい385系も、最高速度や曲線通過速度は同じだから、所要時間も同水準になると推察される。ただし、その速さを「より快適に」実現するところがキモである。
383系も385系も、いわゆる「振子車両」である。これは、曲線区間を通過する際に車体を内傾させる仕組みを備えた車両のこと。曲線を速く走る際に発生する超過遠心力の影響を緩和して、乗り心地の悪化を防ぐ工夫だ。ちなみに傾斜角は最大5度。
曲線に入るところで空気圧で動くシリンダがアシストして、スムーズに傾斜を開始させる。さらに、曲線通過時に発生する遠心力で車体の傾斜を増して、最大5度まで内傾させる仕組み。逆に曲線から抜け出すときには、アシスト機能を使って引き戻すので挙動がスムーズになる。曲線に入ると車体がスッと内側に傾き、さらにグッと傾斜を増して、速度を落とさずに駆け抜ける様子は、現行の383系でも体験できる。
今回の報道公開では、そのアシスト機能を使って実際に車体を傾けて見せた。
実は、このアシスト制御の部分が385系で改善された。385系は、どの地点にどれぐらいの曲率のカーブがあるかという情報を持っている。そして現在位置と前方のカーブの情報から予測を立てる。
そして、ジャイロセンサーを用いて車体が曲線に入ったときの動きを検知、それを受けて車体傾斜のアシストを行なう。つまり、「ここがカーブのはず」ではなく「カーブに入った」ことを検知してアシストするから、開始位置がズレない。
具体的な制御の内容については、今後、走行試験を重ねながらチューニングを進めていくこととなろう。新しいシステムだけに、最適動作のためのチューニングは不可欠だ。
早くも関連グッズを発売
前述のように、385系の営業運転開始までには3年ぐらいの間が開くが、ECサイト「JR東海MARKET」では5月12日から、385系オリジナルグッズの販売を始めている。
2連アクリルキーホルダー(770円)、A4クリアファイル(380円)、きっぷ収納クリアファイル(990円、JR東海MARKET限定)、ステッカー(385円、JR東海MARKET限定)、定規(990円、JR東海MARKET限定)、キーホルダー(550円、JR東海MARKET限定)、着せ替えスマホスタンド(1320円、JR東海MARKET限定)といった陣容だ。
ステッカーの価格が「385円」なのは、“狙った”ものであろうか。






























































