井上孝司の「鉄道旅行のヒント」

JRの指定席を「1か月前の10時」より早く買うには? 事前受付と早期予約を知っておこう

とある年のゴールデンウィークに、山陽新幹線に乗ったときの乗車券と特急券。こういう超繁忙期には指定席の争奪戦が激しくなるが、「10時打ち」の前に事前申込をかけられる場合もある

 JRグループの指定席券は、1か月前の10時発売である。これが「10時打ち」という言葉の語源だ。

 ところがネット予約を利用すると、それより早く事前の申し込みをできる場合がある。以前であれば、駅の窓口で事前に申込用紙を受け付ける場面が見受けられたが、それがネット予約に移行したようなものである。

事前受付とは何か

「1か月前の10時」より早いタイミングで使える事前予約あるいは事前申込と呼ばれる仕組みは、JR東日本・JR北海道の「えきねっと」、JR東海の「EXサービス」、JR西日本・JR四国の「e5489」、そしてJR九州のネット予約サービスのいずれにも存在する。

 申し込みの手順に特段の相違はない。指定する乗車日が、申し込みの当日から1か月先の日を起点として、さらに何日か先になる、というだけのことである。

「えきねっと」では、乗車日を指定するリストに「事前受付」の表示が加わるので分かりやすい。「EXサービス」では、日付を指定して列車を検索すると注意書きが表示される。JR九州のネット予約サービスでは、日付を指定するカレンダーで、「この日は事前予約の対象日ですよ」という趣旨のポップアップが出たり、背景色が変わったりする。

 なお、「e5489」については1つ注意点がある。「e5489」自体は会員登録をしなくても利用できるが、事前申込はできない。「e5489」で事前申込できるのは、J-WESTカード会員およびJ-WESTネット会員(一般カード会員)に限られる。事前申込がJ-WESTカード加入のインセンティブになっている、とも言える。

 そのほか「えきねっと」でも「EXサービス」でもJR九州のネット予約サービスでも、事前申込は会員登録が前提になる。

「スマートEX」では、1か月先を超えるかどうかで特段の区別はしておらず、特に意識せずに事前予約を入れることができる
「えきねっと」では、事前受付の対象日について、その旨の表示がなされる(Web版の場合)
JR九州のネット予約サービスでは、事前申込の対象日はカレンダーで日付の背景を変えている(Web版)
「えきねっとチケットレス」アプリでも、「事前」との表示があるのは同じ
日付の背景を変えているところは、スマホアプリから予約を入れる場合でも同じ(JR九州のネット予約サービス)

 もちろん、正式な受付開始は乗車日の1か月前・10時以降だから、事前受付・事前申込を行なった段階では、処理されずに待ち行列に並べられる。そして乗車日の1か月前・10時を過ぎたところで、待ち行列の頭から順番に、申し込みを処理していく。

 通常のネット予約と同様に、予約を確保できれば電子メールで通知が来るし、確保できなかった場合でも通知は来る。そのあとの乗車の手順については、事前受付・事前申込だからといって、特に異なる点はない。紙のきっぷが必要であれば発券しなければならないのも同じである。

事前受付できる場合とできない場合

 ところが、この事前受付・事前申込には若干の制約が生じる場合がある。その分かりやすい事例が「えきねっと」で、JR東海・JR四国・JR九州の区間が含まれる申し込みでは、事前受付ができない。よって、東海道新幹線はすべて対象外である。

 実は、過去には「えきねっと」でも東海道新幹線の列車について事前受付ができたのだが、いつからだったか、できなくなった。東海道新幹線で事前受付を利用したい場合にはEXサービスを使ってくださいね、というのが現状である。

「えきねっと」で事前受付対象期間内の東海道新幹線について検索した結果の例。事前受付では空席情報を提供できないとの断り書きがある
さらに、きっぷ・座席の種類選択に進もうとすると、「事前受付の対象外」に関する注意書きが表示される。また、席の確保を確約できないとの注意もある。実際、超繁忙期に事前受付でも指定席をとれなかった経験がある

 このため、筆者は超繁忙期に東海道・山陽新幹線を利用する場合、「えきねっと」の事前受付を利用できなくなり、1か月前の10時以降に「セルフ10時打ち」をしているのが実情である。

 もっとも、往復割引乗車券が廃止になればEXサービスを利用しても大差はなくなるので、今後はEXサービスの事前予約を利用するつもりでいる。厳密にいうと、発地となる東京都区内の在来線が別切りになるという相違はあるのだが。

 また、「e5489」では前述のように、特定の条件を満たせる会員以外は事前申込ができないシステムになっている。

新幹線eチケット限定の早期予約

 実は、場合によってはさらに早く申し込みをかけられる場合がある。もちろん、そうした早期の予約ですべての席が埋まってしまったのでは具合がよくないので、予約できる席数には限りがあるのだが。

 まず「えきねっと」には、事前申込とは別に、早期予約という仕組みがある。事前受付よりももっと早く、乗車日の3か月前・14時00分から、1か月と8日前の23時50分までの間に申し込みができるというものだ。

 その対象は、JR東日本の新幹線(はやぶさ・やまびこ・こまち・つばさ・とき・あさま)に限られる。また、新幹線eチケットの利用が前提であるから、必然的に前後の在来線は別切りになる。

「えきねっとチケットレス」には「早期予約」というメニューがある
「早期予約」の仕組み。席数限定で予約を受け付けておいて、あとから席を確定させる仕組み
Web版の「えきねっと」でも、トップ画面から早期予約を指示できるようになっている

 早期予約の注意点として、申し込んだ時点では席番が確定しない点がある。席番が確定するのは、乗車日の1か月前・8時00分以降だ。そのため、このタイミングで「えきねっと」のマイページにある「JRきっぷの申込履歴」を確認するのがよい。メールによる通知もあるのだが。

 東海道・山陽・九州新幹線のEXサービスにも、「1年前予約」という仕組みがある。乗車日の1年前の5時30分~1か月前の7時30分までの間で、仮の運行ダイヤから希望の列車を選択して予約を入れられるというものだ。

 1年前となると、ダイヤ改正をまたぐ可能性もある。すると当然ながら、まだ新ダイヤが確定していない段階で予約を入れる場面もあり得る。そのため、この1年前予約では「仮のダイヤから予約」という形をとっている。乗車日の1か月前になってから、確定した列車番号、発着時刻、座席番号の通知が届く仕組みだ。

 なお、1年前予約を受け付ける期間であっても、それよりあとであっても、確保した予約の内容を変更することはできる。だから、予約の確定をなるべく早く確認して、期待していたものと異なる内容であれば早急に変更をかける方がよいだろう。

「えきねっと」の早期予約でも、「EXサービス」の1年前予約でも、「おでかけする日程だけ決まっていて、とりあえず何でもいいから指定席を押さえてしまいたい」という場面で役に立つ機能といえる。