週末駅弁

軽井沢駅「峠の釜めし」

販売開始から60年! 変わらぬ美味しさで人気も衰え知らず

「峠の釜めし」

 峠の釜めしは、言わずと知れた日本を代表する大人気駅弁です。信越本線の横川駅開業と同時に駅弁を提供してきたおぎのやが、1958年から販売を始めた名物駅弁で、現在でも変わらぬ美味しさが受け継がれています。1997年の長野新幹線開業に伴って、信越本線の横川駅~軽井沢駅間が廃止となったことで、横川駅での販売数はかなり減ってしまったそうですが、ドライブインでの販売や横川駅以外の駅での販売を増やすなどして、現在も多くの人に親しまれています。ちなみに今回は、軽井沢駅で購入しました。

 峠の釜めしの魅力は、美味しさ以外にもたくさんあります。まずはじめに、容器に益子焼の土鍋が使われている点です。今でこそ陶器を使った駅弁は日本各地にありますが、峠の釜めし登場当初は駅弁の常識を覆す存在でした。また、温かい状態で販売されているという点も大きな魅力となっています。紙などの箱を使った駅弁と違って、土鍋は保温性が高く、長い時間温かい状態が続きますので、駅弁ながら温かく美味しい状態で食べられるのです。もちろん、今回購入した軽井沢駅の売店でも、温かい状態で販売されていました。今でこそ、温めて食べられる駅弁は多くありますが、登場当時は温かい駅弁はまさに画期的だったのです。

峠の釜めしといえば、益子焼の土鍋の容器。店では温かい状態で販売されている

 食べたあとの容器を自宅に持ち帰って活用できるのもうれしいところです。容器として使うのもいいですし、実際にこの土鍋を使って1合のご飯が炊けます。おぎのやのホームページに峠の釜めしの容器を使った「ご飯の炊き方」が紹介されていますので、参考にしてみてください。

 売店では、容器にフタをして掛け紙をかけ、ひもで縛った昔ながらのスタイルで販売されています。別パッケージの漬け物が付くのも、昔から変わっていません。ちなみに、2018年は峠の釜めし販売開始60周年ということで、記念の掛け紙がかけられて販売されています。今回購入したものにも記念掛け紙がかけられていました。

今年2018年は峠の釜めし販売開始60周年ということで、記念の掛け紙がかけられて販売されている

 中身は、昔からまったくといっていいほど変わっていません。自家精米したコシヒカリを、利尻昆布と秘伝の出汁で炊きあげた、ほのかな醤油風味の炊き込みご飯の上に、鶏肉、ごぼう、椎茸、筍、グリーンピース、栗、うずらの卵、杏といった具材が盛り付けられています。どれも素朴な味わいで、飽きることなく楽しめます。なにより、買ってすぐに車内で温かい状態で食べられるのは、大きな魅力です。温かい状態と冷めた状態では味わいが大きく異なりますので、できれば買ってすぐに食べたいところです。ちなみに、土鍋が使われていますので、冷めてしまっても電子レンジや湯煎で温めると、また本来の美味しさが復活します。

 別容器には、茄子やきゅうり、梅干し、わさび漬けなど5種類の漬け物が詰められています。わさび漬けなどは大人の味わいですが、箸休めとしてはもちろん、酒の肴としても楽しめるでしょう。温かくならないように別容器で提供される点も、気の利いた心遣いと言えます。

 定番の大人気駅弁ですので、何度も食べているという人も多いことでしょう。しかし、見かけるとまた食べたくなってしまう魅力が、この峠の釜めしにはあります。昔ながらの味わいが続く限り、人気も失われることはないでしょう。

自家精米したコシヒカリを、利尻昆布と秘伝のだしで炊きあげた、ほのかな醤油風味の炊き込みご飯は、あとを引く美味しさ。ボリュームも満点だ
鶏肉、ごぼう、椎茸、筍、グリーンピース、栗、うずらの卵、杏といった具材も、昔から変わらず。素朴な味わいがうれしい
別容器で提供される漬け物は、大人の味わい。酒の肴にも最適だ

「峠の釜めし」

価格: 1000円
販売駅: JR横川駅、JR軽井沢駅、JR安中榛名駅、JR清里駅など
購入場所: JR軽井沢駅 おぎのや売店
購入日: 2018年7月8日