荒木麻美のパリ生活

オリンピック中のパリを出て、モンブランのふもとの町とイタリア北部のコモ湖でバカンス(前編)

 パリオリンピックの期間中はパリを離れ、避暑を兼ねてモンブランのふもとにあるサン=ジェルヴェ=レ=バンと、そこからさらに足を延ばし、スイスとの国境に位置するイタリア北部のコモ湖に行ってきました。

 サン=ジェルヴェ=レ=バンには2018年の同時期に来ているのですが、今回も同じところに泊まって、1週間よく歩きました。以前記事にしたところ以外で今回印象に残ったところを、エリア別にご紹介したいと思います。

レ・コンタミンヌ=モンジョワ(Les Contamines-Montjoie)

 アルマンセット湖(Lac d'Armancette)は、実際に見てみると湖というより池です。駐車場から片道1時間、森のなかをのんびりと歩きながらこの湖を目指しました。静かな湖のほとりで休憩してから、レ・コンタミンヌ=モンジョワの町中に戻って散策。

 小さな町ですが、この日は手作り商品のマーケットが開かれており、さらに40回目となるお祭りが開催されていたので、なかなかのにぎわいでした。昔の生活の様子を再現したパレードは、見学者にも地元の人たちが多く、参加者と見学者が言葉を交わしながら進む様子にほのぼのしました。

シャモニー(Chamonix-Mont-Blanc)

 シャモニーの駐車場から、標高2500mほどのル・ブレヴァン(Le Brevent)までゴンドラで上がります。ここからいくつもの登山・トレッキングルートがあり、そのうちの一つを2時間ほどかけて歩きました。日差しは強いものの、標高が高い分涼しくて気持ちがよいです。目の前にはモンブランの氷河も見え、絶景を見て晴れやかな気持ちになりました。

ゴンドラ乗り場

 目的地のラ・フレジェール(La Flegere)に到着後、ゴンドラでレ・プラッツ(Les Praz)まで下り、山からの冷たい水が勢いよく流れる川沿いに沿って、シャモニーまで40分ほど歩いて戻りました。

 シャモニーでは、標高3842mのエギーユ・デュ・ミディ(Aiguille du Midi)まで行くロープウェイ乗り場の前を通りましたが、相変わらずの人気。私は今回も上りませんでしたが、モンブランを間近から見られるので、大人気なのも納得です。

フィノー(Finhaut)

 フィノーはスイスです。スイスに入る際に検問所がありましたが、行きも帰りも誰もおらず、なんのチェックもなくクルマでスイス入りです。ここで目指すはGorges Mysterieuses(神秘的な渓谷)という、名前を見るだけでわくわくするところ。駐車場からは30分ほどなのですが、とにかくひたすら下ります。ということはここをまた上ってくるのか……と思いつつも、下っていくと、確かに神秘的な雰囲気に包まれています。

 さらに奥に進むと、滝に続く階段があるのですが、照明がないため、かなり暗くてちょっと怖いです。それでも進んでいくとゴウゴウという大きな水音がすぐ近くにし、美しい滝の姿を間近に見ることができました。

 渓谷をあとに、近くのエモッソン湖(Lac d'Emosson)まで足を延ばしました。ここは発電用のダムで、フランスとスイスの国境をまたぐため、二つの国旗が揺れています。ここから2時間ほど歩くと、恐竜の足跡を見られるところがあるようです。見たかったのですが、渓谷のアップダウンで疲れていたので断念。

世界最大勾配のケーブルカーに乗ってくることもできます
ジップラインのアクティビティを楽しむ人も

ヴァロルシーヌ(Vallorcine)

 ベラールの滝(Cascade de Berard)を中心に、周囲をぐるっと歩きました。滝にはすぐそばまで近づけて迫力満点ですが、金属製の階段や橋には隙間があり、下がよく見えるのでとても怖いです。ロッククライマー用の吊り橋もかかっていましたが、こちらは見ているだけで十分に怖い!

 滝を過ぎると川沿いの気持ちのよい道を上ったり下りたり。途中で足を水に浸してみましたが、3秒でギブアップの冷たさでした。美しい花やコケの森もあり、大満足のトレッキングでした。途中には小さなかわいい山小屋が並ぶエリアもあり、ここで夏を過ごせるなんてうらやましい限り。

 サン=ジェルヴェ=レ=バンに滞在中の気温は、午後になると30℃くらいになることもありましたが、トレッキングのために少し標高の高いところに行けば快適な気温でしたし、朝晩は15℃くらいになるのでよく眠れました。

 滞在していたところにはキッチンがあったため、100%自炊していました。自炊といっても市場などで買った新鮮な食材をごく簡単に調理しただけですが、雪の残るモンブランを眺めながらテラス食べると、すべてがごちそうに変身です。再訪したいとずっと思っていたサン=ジェルヴェ=レ=バンにまた来られて本当によかったです。私は今回もパリからクルマで来ましたが、サン=ジェルヴェ=レ=バンは私の見た限り、クルマがなくても交通の便がとてもよいのも魅力的だと思います。

 前回来たときには工事中だったテルム(温泉施設)はオープンしていました。単純にスパとして利用できますが、療養施設として、皮膚・耳鼻咽喉・口腔内の疾患、リューマチ、ガン治療後の療養、コロナ後遺症といったことにも対応しています。フランスの医師の処方箋があれば、費用の一部または全額が保険でカバーされるケースもあります。この暑さでは行く気にならず今回も見送りましたが、もし夏以外の季節に来ることがあればぜひ行きたいです。

Thermes de Saint-Gervais(英語)。町の中心部に直結するエレベーターがオープン間近でした
荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/