荒木麻美のパリ生活
華やかなイベント盛りだくさんの革命記念日、混雑を避けて楽しむ
2023年8月19日 08:00
7月14日は革命記念日でした。この日は祝日で、前日から消防士(パリの消防団は軍隊の一部なのです)主催のパーティ、当日は軍によるパレードや航空ショー、最後はエッフェル塔でのコンサートと花火などで、町中が華やかに盛り上がる日です。
私がフランスに住み始めて20年目となりましたが、フランスへの愛国心はそれほど深くなく、軍関係には興味がなく、花火は見たいけど、暑いし人が多そうだし夜遅いし……と、これまで革命記念日のイベントはすべてスルーでした。でも今年は気が変わり、メジャーなイベントをパスしつつ、気楽に参加できるイベントに行ってみることにしました!
今年の革命記念日は金曜日。まずは週の初めにあった、式典の予行演習を見学しました。朝の5時から8時までというので、朝の身支度をそそくさと済ませてコンコルド広場へ。
式典の参加者を乗せたであろうたくさんのバスが会場周辺に並び、厳重な警備が敷かれていました。私のような見学者はほぼいないので、大統領も座るVIP席の様子や歌の練習などを遠くからですがじっくり眺めたのち、シャンゼリゼの方に移動。こちらには一般の招待客が座る観覧席ができていました。
次に行ったのは、革命記念日前日のパーティです。消防士主催のパーティはとにかく恐ろしく混むと聞いていたので、19時から始まるという、近所のパリ3区の市役所主催のパーティに。近くに住む人たちが家族で散歩のついでに来ましたよ、という感じで、子供も大人も一緒に踊って飲んでのんびりと楽しんでいます。DJも役所の人たちと思われる人が交代にやっていて、とにかくほのぼのとした雰囲気です。
すっかり日が暮れてきたところで消防士主催の方ものぞいてみたのですが、予想以上の人・人・人で圧倒されました! 会場内に入るためにどれくらい待つのか想像もできません。そんななか、かわいい女の子たちが入口にいる消防士に話しかけ、あわよくば並ばずに入れてもらおうと駆け引きをしているところにも遭遇し、そのやり取りには思わずくすり。
並ぶのはめんどうでも、一度入ってしまえば、セクシーイケメンマッチョとしてパリでは人気の消防士たちがDJ、飲食のサービス、一緒にダンス(ときにはステージでシャツを脱ぎ、鍛え抜かれた肉体を披露することもあるとか!)などをして朝まで楽しめるようです。でも早寝早起きの私はそそくさと帰宅。
翌日は革命記念日本番です。シャンゼリゼまで行かなくても、航空ショーなら遠くからもよく見えるかなと、飛行機の飛ぶ頃を見計らってポンヌフ橋の方に行ってみました。しばらくすると航空ショーがはじまり、飛行機から出るフランス国旗の青、白、赤の煙を見られて、おお!となったところで、パリ1区の市役所前に移動。ここでは海軍の展示会を見学しました。
その後、軍事パレードが終わったシャンゼリゼに向かい、国旗の掲げられた道路を見てからアンヴァリッドに。ここには軍事博物館があるのですが、庭では軍事用のヘリコプターやトラック、消防車といった、軍関係の乗り物が一堂に会し、動きませんが試乗させてくれるのでなかなかのにぎわいでした。
消防士による、家庭で揚げ物油に引火した際の対応法のデモンストレーションや、ERISという、刑務所の治安を守る覆面隊員たちとの記念撮影などもありました。
軍関係の仕事は多岐にわたっているのですが、隊員たちとじかに話せる機会。市役所前での海軍の展示でもそうでしたが、熱心に質問をする若い子たちの姿もあちこちで見られました。
軍事博物館のなかも無料で開放されていたため初めてなかに入り、想像を超える巨大なナポレオンの墓なども見学しました。
革命記念日の前にフランス中で大きな暴動があったため、フランス各地でイベントを中止したところもありましたが、パリ市内は警備体制を強化したなかではあったものの、ほぼ例年どおり。髪に国旗を差している人、国旗カラーのTシャツを着ている人、国旗を持ってメトロに乗っている人などもいてほほえましかったです。
今回初めて革命記念日のイベントをリアルで見てきましたが、メディアではあまり取り上げられない部分を見られ、予想以上に収穫の多い数日間で大満足でした。