荒木麻美のパリ生活

パリの有名生地屋街と刺し子専門店へ

サクレ・クール寺院

 家のカーテンを新しくしようと、生地屋街に行ってきました。場所は多くの芸術家たちに愛されたモンマルトル地区。白いドーム型のサクレ・クール寺院のふもとに広がる一帯です。

 私の夫はフランスの映画業界にいるのですが、コスパの高い生地が豊富にあるので、衣装さんたちはよくここで買い付けをしていると言っています。私が買い物をしているときも、映画か舞台用と思われる生地を大量に購入しているグループが来ていました。

生地と裁縫道具のお店がずらりと並んでいます

 とにかくたくさんの生地屋さんがあって迷ってしまいますが、ここの二大生地屋は「Reine」と「Marche St-Pierre」です。時間がないときは、この2店を見れば大抵は事足りるでしょう。

 私はReineから行きました。ここではレースのカーテン用の生地を購入です。うちには猫が2匹いるのですが、麻のカーテンにしたら引っかかれて大変なことに! 今回は破れづらい、破れてもまったく惜しくないポリエステルの生地にしました。

歴史を感じるかわいいエレベーター

 次はMarche St-Pierreに。こちらの方が扱う生地が多いように思うのですが、私には商品が見づらいです。でも宝探し感覚で、あれこれ反物をひっくり返していくと、猫たちがひっかいてもほつれにくそうな、お手頃価格の生地が見つかりました。

こういう日本っぽい生地も結構あります

 欲しいものが決まったら、Reine同様、近くにいる売り子さんをつかまえて、欲しい長さを伝えます。するとハサミでカットしてくれ、商品と、値段を書いた紙を渡してくれますので、これを持ってレジで支払いをします。Marche St-Pierreの支払い所は歴史を感じます。

歴史を感じる支払い所

 買った生地は店内または周囲にも仕立ててくれるところがあります。自分で縫うのはちょっと……という人でも安心です。

 カーテンの生地を買えたところで、前から行きたいと思っていた刺し子屋さんにも行ってきました。生地屋街のなかではないのですが、生地屋街からは徒歩で15分くらいのところにあります。

 この刺し子屋のオーナーは元KENZOスティリストであった佐久間聡美さんとそのご主人です。お店を開いたのは2012年なのでもう10年になるそう。フランス語の刺し子の本も数冊出版されています。

 ブティックオリジナルの商品もたくさん。フランスではモダンな柄よりも、日本らしい、伝統的な柄の方が受けがよいそうです。

 刺し子の技術をジーンズなどの衣類の修復に使った商品もとてもすてきです。店の奥ではアトリエもやっています。初心者向けのアトリエは月に1回開催されていて、大人気! 聡美さんが老舗デパートに出向いて実演をされることもあるそうです。

フランス語の刺し子の本
ブティックオリジナル商品

 今回買ってきた生地は、裁縫の得意な義母がカーテンにしてくれました。これといった特徴のない、シンプルなカーテンですが、新しいカーテンというだけで気分が変わりますね。今住んでいるのは仮住まいの狭いアパートなのですが、新しいカーテンのおかげもあって気持ちよく過ごせています。

カーテンはすぐに猫たちに引っかかれ、予想よりもほつれてしまいましたが仕方がない!
荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/