荒木麻美のパリ生活

日本産酒類の輸出金額世界で5位。パリでスピリッツの展示会開催

 国税庁による2022年3月の発表によると、フランスは2021年度日本産酒類の輸出金額で5位。前年比80.6%+となっています。

 同じく国税庁による2021年10月の発表によると、2020年に輸出されている酒類の内容は、ウイスキー(58%)、ビール・発泡酒(22%)、清酒(12%)、スピリッツ(6%)の順となっています。

 パリに住んでいて、日本のウイスキーとビールはかなり浸透していると実感していました。その後、フランス人のための日本酒コンクール「Kura Master」の開催や、パリ郊外で醸造している日本酒「WAKAZE」の登場、日本酒の獺祭とフランスの超有名シェフだったジョエル・ロブションがコラボした店舗「Dassai Joel Robuchon」のオープンなどがあり、日本酒の認知度も高まっているように感じます。

 この背景にはワインの価格が高騰したこと、和食以外の、日本酒が合う味付けの料理がフランスで増えていることなどがあるようですが、今後は蒸留酒であるスピリッツにも力を入れようと3月に開催されたのが、「Spirits of Japan」です。同時期に「カクテル・ウィーク」として、パリにある23か所のバー、レストラン、ブティックなどで、関連商品が提供されました。

 場所はパリの日本人街といわれる、オペラエリアの一角です。約50の製造元が参加し、講演会や写真の展示もありました。スピリッツの展示会ではありましたが、1階は主に日本酒で、2階でウイスキーやビール、そしてスピリッツなどを紹介していました。

1階はお酒
2階は日本酒以外のお酒がメイン
ウイスキー

 玉露、柚子、檜、山椒など、日本ならではの素材を使ったジン、どぶろく、海外向けにアルコール度数を上げた芋焼酎など、あまり見かけない商品に興味津々です。バイヤーのほかに一般客もおり、入場時に渡されるワイングラスで気になるものを試飲できます。開始早々ほろ酔い気味の人もちらほらといて楽しそう。

日本ならではの素材を使ったジン
どぶろくも
海外向けにアルコール度数を上げた芋焼酎
ビール
ミニセミナーもいろいろ
DJブースも

 世界情勢の影響を受け、サンプルが届かない、日本からの担当者が来られない、といったこともあったようですが、それらのトラブルもなんのその、DJも入って大盛況の2日間でした。

 ここに来ていた出展社の1つ「Midorinoshima」の創業者たちは、お互いにフランスに住むことになるとは思わなかったころに出会っているふるーい知り合いで、久々のうれしい再会! 彼らは2006年にコルシカ島で会社を立ち上げ、日本のお酒をフランスに紹介しています。今回力を入れていたのは11種類の植物を蒸留して作ったというジン。あの養命酒を作っている会社が出しているそうで、美味しいうえに体にもよさそう。

Midorinoshima創業者の2人と11種類の植物を蒸留して作ったというジン

 私は下戸なので試飲ができないのは本当に残念でしたが、皆さん試飲をして楽しそうというだけではなく、商談が成立しているところにも何度か遭遇。会場の雰囲気からは、フランスにおける日本のお酒の発展を期待できると感じました。輸出金額1位の中国、2位のアメリカ、3位の香港にはまだまだおよびませんが、フランスをはじめとする欧州市場のさらなる広がりに期待です!

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/