荒木麻美のパリ生活

ハンガリー料理に豊富な温泉、塩の部屋で心身を癒す。ドナウの真珠・ブダペストへの旅(後編)

前回に引き続き、ハンガリー・ブダペスト訪問記をお届けします

 前回の「2019年の欧州旅行先ランキングで1位に。ドナウの真珠・ハンガリーの首都ブダペストへの旅(前編)」では、ブダペストの主要な観光スポットを中心にご紹介しました。

 後編は日本人にも食べやすいハンガリー料理のレストランにおしゃれで人気のあるスポット、そして楽しみにしていた温泉のお話などをしたいと思います。

ハンガリー料理のレストランに「廃墟バー」、そして猫カフェ

Cafe Bouchon

所在地: Budapest, Zichy Jenő u. 33, 1066
TEL: +36 1 353 4094
Webサイト: Cafe Bouchon(英語)

 今回の滞在中、アパートホテルで自炊ばかりしていたので、ハンガリー料理を食べたのは中央市場のフードコートのみ。そこでブダペスト滞在最終日に、「カフェ・ブション(Cafe Bouchon)」というレストランに行きました。

Cafe Bouchon

 夫のハンガリー人の仕事仲間が勧めてくれたレストランです。行ってから気が付いたのですが、ここはフランス料理とハンガリー料理をフュージョンしているのですね。お料理がとても美味しかったこともそうですが、メニューにもフランス語版があり、スタッフのほとんどが簡単なフランス語を話せて、フランス人の夫はとても気に入っていました。

Cafe Bouchonでの料理
その日のメニューはどんどん売り切れて消されていました

 お店のオーナーに話を聞いたところ「自分がフランス料理とハンガリー料理をミックスしたものが好きだからこういうレストランになりました。うちはスタッフに親族が多く、アットホームな雰囲気でしょう? 客層は昼は7割がハンガリー人で、夜は逆に外国人が7割くらいです」とのことでした。

 この日、私たちはお酒を飲まないので料理とお水を注文しただけですが、全部で1万7000フォリント(約6290円、1フォリント=約0.37円換算)くらい。ブダペスト最後の夜を美味しく締めくくれました。

Szimpla Kert

所在地: Budapest, Kazinczy u. 14, 1075
Webサイト: Szimpla Kert(英語)

Szimpla Kert

 ブダペストには老朽化した建物のよさを活かした「廃墟バー」や「廃墟カフェ」というのが点在しているのですが、そのなかでも一番有名なのは「シンプラ・ケルト(Szimpla Kert)」。日曜日は市場も出ているというので行ってみました。

 雑多な感じがおもしろいですよね! 私が行ったときにはもう昼を過ぎていたので、店じまいをしかけている感じでしたけど、野菜を少し買ってみました。夜はバーとしてまた別の顔になるようです。

Szimpla Kert
Bar 360

所在地: Budapest, Andrássy út 39, 1061
TEL: +36 30 356 3047
Webサイト: Bar 360(英語)

 ブダペストを一望できていいよと聞いて行ったのが「Bar 360」。まさに360度のパノラマが広がっています。人気の場所のようで、夕方からはほとんどすべての席が予約席となっていました。

Bar 360
Cat Cafe

所在地: Budapest, Révay u. 3, 1065
TEL: +36 20 617 3301
Webサイト: Cat Cafe(英語)

 以前、パリの猫カフェをご紹介しましたが(関連記事「パリで猫カフェ初体験」)、ブダペストでも猫カフェに行ってきました!

 週末だったので、念のために予約をしていきましたが、カフェは広いので予約をしなくても大丈夫そうでした。ここにいる猫たちは全員シェルターから引き取られた子たちだそう。皆が目を閉じてうつらうつらしていましたが、子供たちが近寄って来て触っても嫌そうにするでもなく、いい子たちでした。

Cat Cafe
Stühmer csokoládé

所在地: Budapest, Bartók Béla út 18, 1111
Webサイト: Stühmer csokoládé(ハンガリー語)

Stühmer csokoládé

 ハンガリーの有名なチョコレートの一つといえば「シュトゥメル(Stühmer)」。1868年創業の老舗です。商品はスーパーでも買えるのですが、せっかくなのでブダベスト市内にいくつかあるお店の一つに行ってきました。

 やはりスーパーより品数が豊富です! 袋をもらって好きなチョコレートの詰め合わせを作ったり、クリスマスっぽいパッケージの板チョコなどを購入したりしました。店内ではお茶を飲んだりケーキを食べたりすることもできます。

Stühmer csokoládé

温泉大国ハンガリー、ブダペストにも約50か所の浴場が

 ブダベストといえば、日本人の私にとって一番の楽しみはなんといっても温泉! パリには温泉がないということもあって、張り切って次の2か所の温泉に行きました。たくさんある温泉のなかでこの2つが決め手となったのは、まずはなによりお湯の温度が40℃以上あること。欧州の温泉はぬるいところが多いのです。

 あとは入場料。温泉嫌いの夫は行かないので私一人ですし、短時間料金が設定されているところがよかったのですね。

 ブダベストの主要な浴場は「Budapest Spa(英語)」というWebサイトに分かりやすくまとめられていたので、ここから吟味して訪問しました。

キラーイ温泉(Király Gyógyfürdő)

所在地: Budapest, Fő u. 84, 1027

キラーイ温泉(Király Gyógyfürdő)
更衣室も雰囲気満点。体重計やドライヤーもクラシック。とても清潔です

 キラーイ温泉の起源は16世紀。現在の建物は18世紀に再建されたそうですが、それでも十分に歴史を感じられる場所です。

 私はお昼まで滞在できるチケットを1500フォリント(約555円)で購入。1100フォリント(約407円)も保証金として払いますが、退出時に返金されます。個室のキャビンまたは男女共有の更衣室を選べるのですが、キャビンの方が高いので私は男女共有の更衣室を選びました。といっても、扉で仕切られた一角で着替えられるので私には問題なしです。

 なお、ブルガリアの温泉は水着着用です。あとはサンダルと水があるとベストですね。温泉によってはスイミングキャップも必要なので、念のために持って行くといいでしょう。

 中に入ると薄暗くて、円天井から差し込む光が素敵です。待望の40℃の風呂に加えて、中庭には木製の風呂、大好きなサウナもあって完ぺきです。

キラーイ温泉(Király Gyógyfürdő)
パラティヌス温泉(Palatinus Strandfürdő)

所在地: Budapest, Soó Rezső stny. 1, 1003

 キラーイ温泉もとても気に入りましたが、私のイチオシはマルギット島にあるパラティヌス温泉です。ここはとにかく立地が素晴らしい。島全体が公園となっており、その中に広大な温泉プールがあるのですね。

パラティヌス温泉(Palatinus Strandfürdő)
島には日本庭園と名付けられた一角もあります

 ここでは3時間のチケットを2100フォリント(約777円)で購入です。保証金は500フォリント(約185円)ですが後で返却されます。

 ここもキラーイ温泉同様、40℃以上のお風呂やサウナがありますが、お勧めは屋外。中で十分に温まったら屋外温泉にもぜひ行ってください。

 屋外温泉プールもあるので、泳ぎたい人にはよいですよね。冬季は屋外プールの約半分は水を抜いてありましたが、それでも広い! あちらこちらの浴槽に入ったり泳いだり、3時間十分に楽しみました。

パラティヌス温泉(Palatinus Strandfürdő)

 それまでブダベストでは猫カフェ以外では猫をまったく見かけなかったのですが、マルギット島にいました! 明らかに家族と思われる猫たちが10匹ほど固まっていたので、心の中で狂喜乱舞の私。

マルギット島の猫たち

 しばらく邪魔をしないように観察をしていたら、島内の遊具を管理するおじさんが笑顔で近寄って来て「猫が好きなの? この子たち、僕の」と子猫を1匹ひょいと抱かせてくれました! 去勢や避妊をしていない感じだったのは気になりましたが、幸せなひとときでした。

 このほか、ブダペストで特に有名な温泉はゲッレールト温泉(Gellért Gyógyfürdő)とセーチェーニ温泉(Széchenyi Gyógyfürdő)でしょう。外から覗いただけですが、どちらも大変なにぎわいでした。やはり観光客が多いですね。

ゲッレールト温泉
セーチェーニ温泉
セーチェーニ温泉の周辺にある英雄広場と広い市民公園
塩の部屋(Parajdi Sópince)

所在地: Budapest, Vámház krt. 11, 1093
Webサイト: Parajdi Sópince(ハンガリー語)

塩の部屋(Parajdi Sópince)

 温泉のほか、セルビアにもあって気になりつつも行けなかった塩セラピーに行ってきました。数ある塩室のなかから行ったのは、ホテルから一番近かった「塩の部屋」(Parajdi Sópince)です。ここで使われている塩はルーマニアから来ている特別な塩だとか。

 入り口を下って1200フォリント(約444円)を払うと、服のまま、靴にビニールをかぶせて塩の部屋に入ります。あとは中の椅子に座って本を読んだり、子供たちは砂遊びならず塩遊びをしたりして過ごします。

塩の部屋

 滞在時間は好きなだけですが、1時間くらいいるとよいよ、と受付のお兄さんが言っていました。

 塩室の中にいるときは、手が少しべたついたり、目がしばしばしたりしました。唇をなめるとちょっと塩気も感じます。あと、黒いコートを着ていったらうっすらと白くなりました! 思い切りはたけば落ちますが、白っぽい服を着て行った方がいいと思います。

 塩の部屋を出てブティックでお風呂用の粗塩を買いました。1kgで490フォリント(約182円)。一掴みをお湯に入れて、週に2~3回入るとよいそうです。関節の痛みなどに効果抜群とのことでした。

 パリでフランス人に「今度ブダペストに行くんだ」と話すと、皆が口をそろえて「いいところだよ!」と言っていました。それまでは温泉がいっぱいあるところ、くらいの認識しかなかったのですが、美しい歴史的町並み、日本人にも食べやすいハンガリー料理、交通の便のよさ、夜景の美しさ、豊富な温泉、さらには治安のよさから、欧州の旅行先ランキングで1位になるのも納得です。

 今回は夫の仕事の付き添いでたまたま来ることになりましたが、1~2泊の滞在でも十分に楽しめると思うので、個人的にもまたいつか来たいですね!

ブダペスト滞在終盤からはクリスマスマーケットも始まり、すっかりクリスマスモードでした
ブダペストの夜景は本当に美しいです

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/