荒木麻美のパリ生活

90分以内なら乗り継ぎ自由! 路線バスでパリ観光

北駅からモンマルトルの丘まで。最後はフランスの家庭料理レストランへ

路線バスを乗り継いでパリ市内を観光してみました

 以前から路線バスを乗り継いでパリ観光をしたいなと思っており、路線図を眺めながらいくつかのルートも考えてありました。そんなある日、ぽっかりと予定の空いた日ができたので、考えていたルートの一つを巡り、半日路線バスの旅をしてきました!

 パリの路線バスを運営しているのはパリ交通公団のRATP。RATPはメトロ、トラム、RER(パリ高速鉄道)なども運営しています。今回はRATPの発売する「Ticket T+」という1回乗車券を使いました。

Ticket T+

 Ticket T+はバスに乗車する際に運転手からも買うことができ、価格は1.9ユーロ(約240円、1ユーロ=約125円換算)です。「カルネ(Carnet)」という回数券を買うと10枚で14.90ユーロ(約1860円)なのですが、こちらはバス内では買えません。カルネはRATPのサインのあるお店などでも買えますが、メトロの券売機で買うのが一番簡単でしょう。メトロの窓口は情報提供のみのところが多いので注意です。

 さて1回乗車券のTicket T+、最初に乗車してから1時間半(90分)以内なら、何度でも乗り換えることができます。ただしこれはバスとトラム間のみ。途中にメトロなどを挟むことはできません。私は定期券を持っているのですが、今回の路線バスでは1枚のTicket T+でどこまで行けるかを試したかったので、乗り換え以外の途中下車はしません。そのため写真も車窓から撮ったものが多いことをご了承ください。

 さぁいよいよ出発です。今回の出発は北駅(Gare de Nord)から始まりました。38番線ポルト・ドルレアン(Porte d’Olréans)行きに乗り込みます。

38番線路線図(RATPのWebサイトより)

 東駅の前を通ってサンドニ門を越えます。ずっと下ってパリ工芸博物館を過ぎ、ポンピドゥー・センターの裏側を通り、パリ市庁舎(Hotel de Ville)に到着です。ここで一度降ります。

東駅
サンドニ門
パリ工芸博物館
ポンピドゥー・センター
パリ市庁舎
パリ市庁舎の横には百貨店BHV。日本のロフトや東急ハンズのようなところで楽しいです

 パリ市庁舎から72番線サン・クルー公園(Parc de Saint-Cloud)行きに乗り換えです。

72番線路線図(RATPのWebサイトより)

 サン・ジャックの塔を横目にあっという間にルーヴル美術館、パレ・ロワイヤルを過ぎ、コンコルド広場が見えてきました。グラン・パレとプチ・パレを過ぎると、次の目的地であるアルマ橋(Alma-Marceau)に到着です。

サン・ジャックの塔
ルーヴル美術館
パレ・ロワイヤル
コンコルド広場が奥に見えます
グラン・パレ

 アルマ橋で降りると、エッフェル塔が目の前に。ロシア正教の美しい教会も見えます。道を渡ると1997年にダイアナ妃が事故で亡くなったトンネルの真上にあるモニュメント「自由の炎」があり、今でも花束や写真などが飾られています。

エッフェル塔
ロシア正教の教会
モニュメント「自由の炎」とダイアナ妃の死を悼んで置かれたたくさんの花束や写真

 ここで突然警察が交通整備を始めたのでなんだろうと見ていると、ローラースケーターが大挙してやってきました! パリではこうして週末などにローラースケーターが大勢で道路を走っており、安全のために警察が交通整備をするのです。

 さて今度は63番線リヨン駅(Gare de Lyon)行きに乗り換えです。きっとずいぶん前からあったのでしょうけど、バスの停留所に無料のUSB充電ポートがあることに初めて気が付きました! 旅行中に充電が切れそうなときには便利ですね。

63番線路線図(RATPのWebサイトより)

 再度グラン・パレを遠くに見つつ、アンバリッド廃兵院と外務省の前を過ぎ、サンジェルマン・デ・プレ通りに出ます。文学者などが集ったカフェ・ド・フロールを横目にサンジェルマン・デ・プレ教会を過ぎ、クリュニー中世美術館前(Cluny)で降ります。ここでTicket T+の制限時間90分となりました。

アンバリッド廃兵院
外務省
カフェ・ド・フロール
サンジェルマン・デ・プレ教会

 クリュニー中世美術館はローマ時代の浴場跡に作られた、ヨーロッパの中世美術を展示している美しい美術館です。美術館の裏には小さいながらも静かでほっと一息つける公園があり、ここで持参したお茶とお菓子で小休止です。

クリュニー中世美術館後ろにある公園

 休憩後はTicket T+の2枚目を使って、サンミッシェル・サンジェルマン(Saint-Michel, Saint-Germain)から再度38番線に乗り、サン・ルイ島のノートルダム寺院、複数の主要司法機関が置かれているパレ・ド・ジュスティス、かつて牢獄だったコンシェルジェリーの前を通ってシャトレ(Chatelet)に。ここで67番線のピガール(Pigalle)行きに乗り換えて一気にモンマルトル方面に上っていきます。

サンミッシェル・サンジェルマンのバス停
ノートルダム寺院
パレ・ド・ジュスティス
コンシェルジェリー
67番線路線図(RATPのWebサイトより)

 ピガール駅で下車し、小さな電気バス「Montmartrobus(モンマルトロビュス)」へ。これが狭い道を右に左に曲がりながら、かなりのスピードで駆け上がっていくので、必死になって手すりにつかまっていました。写真を撮るどころではありません!

Montmartrobus(モンマルトロビュス)
Montmartrobus路線図(RATPのWebサイトより)

 テルトル広場(Place du tertre-Norvins)のバス停で降り、モンマルトルの丘の上に着くと、自身の描いた絵を売る人、似顔絵を描いてくれる人などがいる広場に出ます。そこを通り過ぎるとサクレ・クール寺院に到着です。寺院からパリ市内を眺めたあとは、ピガール駅まで戻ったのですが、なかなか急な坂道なので、途中まではケーブルカーを使うのもいいでしょう。ここでもTicket T+を使えますが、バスとの併用はできません。私は徒歩で下りました。

サクレ・クール寺院とモンマルトルの丘からの眺め

 ピガール駅に出たところで、ちょっと早めではありますが夕飯どきだったので、レストラン「Bouillon Pigalle(ブイヨン・ピガール)」へ。ここでは「これぞフランスの家庭料理!」というものが、前菜4ユーロ(約500円)前後、主菜10ユーロ(約1250円)前後という、外食の高いパリではそうそうない値段で味わえます。付け合わせに出てくるパンも美味しいですし、ここのギャルソンたちがとにかく気さくで陽気なのもポイントが高いです。

Bouillon Pigalle(ブイヨン・ピガール)

所在地:22 Boulevard de Clichy, 75018 Paris
TEL:+33(0)1 42 59 69 31
Webサイト:Bouillon Pigalle(仏語)※Webサイトの日本語メニューは更新されていないようなので要注意

Bouillon Pigalle(ブイヨン・ピガール)

 路線バスを使ってのパリ観光はいかがだったでしょうか? オープンルーフではないので外の景色は窓越しで見なくてはいけませんし、観光案内音声ガイドなどのサービスもありませんが、どのルートを使ってどこに行くかを考えたり、車内のパリジャンたちを観察したりするのは楽しいです。

 パリ観光をすることがありましたら、観光バスではなく、こうした路線バスの旅を試してみるのもよい思い出になりますよ。私もまた別のルートにトライするつもりです!

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/