荒木麻美のパリ生活
パリの身近なヒーロー「消防士」
市民からの絶大な信頼を得るイケメン爽やか男子たち
2017年7月15日 00:00
パリの消防団(正確にはBrigade des sapeurs-pompiers de Paris:BSPP、パリ消防旅団と訳すようです)は団員約8500名、消防団として世界で3番目に大きな組織だそう(1位は東京)。
パリの消防団は軍隊の一部という、ちょっと特殊な位置付けです。パリ以外だとマルセイユの消防士も軍隊の一部だそうです。
このパリの消防団、その歴史は1716年までさかのぼるのですが、現在の形になったのは1967年のこと。それから今年で50年という節目を記念して、パリ市庁舎で無料の展覧会が開催されたのですが、これが大盛況。当初3月から4月までの予定が、会期を1カ月延長していました。
そんなに大盛況ならと私も展示会に行ってきたのですが、パリの消防団がどのように組織されているのか、新旧の制服、消防車、備品なども展示されていて、なかなか興味深かったです。
展示会の説明によりますと、パリの消防団はパリ市とその周辺地域で火災のほか、被害者救助、洪水、交通事故、ガス漏れなどが起こった場合にも出動します。出動回数が一番多いのは被害者救助で、1日の出動平均回数は約1000回となります。
パリの消防士について、周囲の何人かに「消防士ってどんな印象?」と聞いてみたところ、老若男女問わず、わるい印象は皆無でした。声をまとめると「いついかなるときにも、危険を顧みずにかけてつけてくれるヒーロー」みたいな存在らしいです。江戸時代の火消みたいな感じでしょうか?
パリだけではないのですが、フランスの消防士についてインターネットで検索してみたところ、信頼できる職業についての調査では、消防士は99%という驚きの結果も。女性に人気のある職業で調べてみても、いくつかのアンケート調査で上位になっていました。
そんなパリの消防団ですが、消防士に応募するための資格は
・フランス国籍を有する
・18歳から25歳
・身長160cmから196cmで適正な体重・体力を有する
・視力がよい
といった、学歴よりも若さと体力が重要な印象です。見事消防士として採用されると、基本的な契約期間は5年ですが、延長は可能です。ただ、なにせ絶大な信頼のある消防士。「パリの消防士だった」という経歴さえあれば、別の職業への再就職も、職種によるかもしれませんが、それほど難しいことではないと言っている人もいました。
消防署の一般開放を見学
さて、パリの消防団にさらに興味を持った私。7月にパリ11区の消防署が一般開放をしていたので行ってきました。
こうした一般開放はパリ市内と周辺各地で定期的に行われています。日程についてはこちらのWebサイトでご確認ください。
私が話した限り、パリの消防士たちの受け答えはとても気さくではきはきと爽やか。そのうえ日々の鍛錬の賜物による、見た目もすらっとしたマッチョが多いときたら、女性にもてるのも納得ですね。
そんなパリの消防士と出会いたい場合は、7月14日の革命記念日が一番のチャンスかもしれません。13日の夜から14日の明け方にかけて、消防署主催の盛大なパーティがパリの各所であるのです。
パーティへの参加費は募金制なのですが、7月が近づくと、消防士たちが道端でこのパーティの案内を兼ねた、スクラッチ式クジ付きチケットを売り始めます。このクジの売り上げは負傷した消防士やその家族の支援金などとして使われます。
私はパーティには行きませんが、クジくらいならと2枚購入。その後、消防士たちが売っている様子をしばらく眺めていましたが、なかなかの売れ行きでした。
年末にはパリの消防士たちの勇ましい姿を収めたカレンダーも売りに出されます。パリの消防士とその家族を支援するアソシエーション、ADOSSPP(Association pour le Développement des Œuvres Sociales des Sapeurs-Pompiers de Paris)が制作しています。
こちらも最寄りの消防団か消防士などから購入でき、金額は好きなだけ渡します。売り上げはクジと同様に支援金として使われます。このカレンダーを家に飾るのは、私はちょっと……なので買ったことがありませんが、ご興味のある方はぜひどうぞ。