旅レポ

セブ島のアイドル・ジンベエザメと泳いできた。語学留学先としても人気のフィリピン旅

フィリピン・セブ島でジンベエザメと泳いできた

 ユナイテッド航空の成田~セブ線が新しく開設され、その初便でセブ島を訪れた。本稿では、今や大人気になっているセブ島留学の現在と、これまたセブで大人気のアクティビティであるジンベエザメウォッチングを紹介する。

 フィリピンでは第2公用語として英語が使われており、話者の数がかなり多い。しかも日本から距離が近く、留学費用が欧米に比べて安いとなれば、人気が出るのも頷ける話だ。現地在住のセブ日本人会の方に話を伺ったところ、セブ島にある英語を教える語学学校は大小合わせて100ほどあり、日本からの留学生は短期・長期合わせて常に2000人ほどが滞在しているそうだ。在住者の数も同じくらいなので、語学習得を目的として訪れている人がかなり多い印象だ。

フィリピン政府観光省のWebでも英語留学について触れられている

フィリピンの英語学校らしいスタイルの「GLC」

 今回はセブで英語を学べる2校を紹介してもらった。

 まず最初に訪れたのはセブ市内にある「GLC(Global Language Cebu)」だ。2011年に前身のIDEA Educationが80名規模の語学学校として設立されてから着実に生徒数を増やし、現在は550人ほどの学生がこちらで学んでいる。国籍は日本人が50%、台湾人が30%、韓国人が10%であるとのこと。年代は20代が7割で、学校が長期休みに入ると中高生が増える。

朝から晩まで英語漬けで、ある意味スパルタと言っていたGLC

 フィリピンの学習スタイルは基本がマンツーマン指導であり、同校もその流れをくんでいる。さらに短期間で最大限の学習効果が得られるように「コミュニカティブメソッド」を取り入れ、会話をベースにしたトレーニングを行なっている。講師はほぼフィリピン人で構成されているが、5段階で選抜を行なうなどしているので、講師の質は高く保たれていると説明された。

授業風景の1コマ。会話のキャッチボールをすることでリスニングとスピーキングを鍛える
国民性からかフレンドリーな講師が多い

 フィリピンで留学するとなると、気になるのが治安に関わる部分だ。社会経験が少ない年少者には対応が難しい部分もあるため、移動や居住に関する問題をクリアするためにも、同校では併設された学生寮から通うスタイルになっている。学生寮は1~3人部屋が用意されており(男女フロア別)、食事も1日3回提供される。

 敷地内にはトレーニングジムやプレイルーム、さらにはプールといったレクリエーション施設も用意されているので、学校の外に出なくても過ごせるようになっていた。もちろん、学校の周囲は高い塀で囲まれ、セキュリティ常駐、通用門では徹底したチェックを行なうなど、部外者は簡単に入れない環境だ。

 このようにオールインワンの学習体制を備えており、経験豊富な日本人スタッフが3名常駐していることからも、安心して学習できる環境と言えそうだ。

こちらは3人部屋。シャワーとトイレを備えている
ビュッフェスタイルの食堂
売店の一画には日本のカップ麺も置いてあった
本格的なマシンを揃えているジム
プレイルームにはビリヤード台や麻雀卓、ゲーム機を備えている

社会人も留学に訪れる「QQ English」

 次に訪れたのは「QQ English ITパーク校」。QQ Englishはキュウ急便の創業者である藤岡頼光氏が創設したもので、輸入スクーターのお店をはじめるにあたり、イタリアに飛び込んだ際に語学の重要さに気づいたのがきっかけとのこと。現在では正社員として採用した1800人以上の講師を揃えた大手の語学学校として知られている。

セブ島には2校あるQQ English

 QQ EnglishのITパーク校があるITパークは、情報技術産業の拠点として経済特区に指定されているエリアで、空港のあった広大な跡地には高層ビルが立ち並んでいる。政府の肝いりとあって治安もよく、24時間営業のダイニングや、セブ最大のショッピングモール、レジャー施設があるのも特徴だ。

 ITパーク校はそのなかのビルにあり、400人まで学べるようになっている。また、こちらの学校も学生寮を同じビル内に完備しており、食堂、シャワー、売店、ランドリーサービスなどもあるので、敷地内というかビル内で生活が完結できる環境でもある。ユニークなのは学生寮がカプセルタイプの個室になっていること。狭いながらも自分だけの空間を保てるので、プライベートを確保した人にとっては魅力的だ。

 生徒の国籍は日本人が50%で、アラブ、モンゴル、ロシアが各10%、中国、台湾、ベトナムが各5%の比率になっている。年代は20代が38.4%で一番多く、続いて30代が21.2%、40代が17.2%になっており、2~3週間ほど学ぶ社会人が多いのも特徴だ。

校内はマンツーマン授業のために細かく区切られている
グループレッスンを行なっているところ
カプセルホテルのような学生寮は2022年に完成したもの
部屋は扉を閉めてロックできる。なかには電源コンセントもある
ビュッフェスタイルのカフェスペース
会話や飲食ができるコモンスペース

 QQ Englishはマクタン島にも新校舎である「ビーチフロント校」を7月に開設しており、400名まで受け入れることが可能とのこと。ビーチフロント校も内部に学生寮を完備しているが、隣にある「サヴォイ ホテル マクタン ニュータウン(Savoy Hotel Mactan Newtown)」にも外部寮を用意しているので、ニーズに合わせて選べるとのことだ。

市内からは遠いが行く価値絶大のジンベエザメウォッチング

 セブ島の大人気アクティビティと言えば、ジンベエザメウォッチング。リアルな海中でジンベエザメを間近で観察できるとあって、各国から多くの人がセブ島の南にあるオスロブ(Oslob)に集まってくる。

 しかし、このオスロブがかなり遠い場所にある。セブ市内からだとクルマで3~4時間、マクタン島からだとプラス30分以上はかかる。しかも、ジンベエザメは朝方の食事が終わると沖合いに帰っていってしまうというので、かなりの早朝(3時とか)出発になるのは覚悟しておきたい。行き方はツアーが手配してくれる送迎車、市内からのバス、レンタカーを借りるといった選択肢があるが、初めてならツアーの一択だろう。レンタカーはセブ島の道や交通事情に慣れていないとかなり厳しい感じだ。

オスロブまでの道のりは長い。南に行けば行くほど道も狭くなり、いたるところで拡張や舗装工事をしていた

 現地に着くとすでに多くの人が参加している様子で、周辺は土産物屋や飲食店などが並び、かなりのにぎわいを見せていた。ウォッチはボートの上から眺める、シュノーケリングで横から見る、ダイビングで下から観察する、この3タイプを用意している。

 今回はシュノーケリングでチャレンジした。ボートで向かう前には、レクチャーもある。内容としては、決められた範囲の外から見る、日焼け止めの禁止、フラッシュを焚かない、ゴミを捨てないといったものだ。

ボートが集まっている場所にジンベエザメが集結している。想像していたよりもかなり近い位置で見ることができる

 レクチャーが終わり、ボートに乗っていよいよ目的地に向かう。とはいえ、目的の場所は陸地からすぐそばで、何匹ものジンベエザメが近くを泳いでいるのが分かる。はっきり言って、この時点で参加者一同は大興奮である。スタッフからGOサインが出たら、いよいよ海中へ。

ライフジャケットを着用したらボートに乗って出発!
黒い影がジンベエザメで、思わず「デカイ!」と叫んでしまうくらいだ。1人で乗っているスタッフがオキアミをまいて上手に誘導している
エサを食べることに夢中なジンベエザメくん

 いた! いた! 5m以上はあるジンベエザメが悠々と泳いでる! というか、スタッフがまいているオキアミに夢中で、我々の存在などは興味のかけらもない感じで、エサがある方にゆらゆらと漂っている。

 スタッフのお兄さんも手慣れたもので、カメラを渡すと上手に撮ってくれたのはありがたい限り。非常に思い出に残る体験になったので、セブ島に行った際はぜひとも訪れてもらいたい。惜しむべくは曇天だったこと。セブは6月~11月が雨季、12月~5月が乾季なので、晴天が望める乾季のシーズンがよりキレイに見れるはずだ。

自分たちがいた付近を見渡しても5匹はいた。地元の漁師が手なずけたのが始まりで、今では学術研究と観光資源になっている
スタッフに迫力のある採餌行動を撮ってもらった。廉価なアクションカメラなので画質がイマイチなのは残念。参加するなら高性能なスマホかアクションカメラを用意したいところだ。そして晴天を祈ろう

 オスロブではジンベエザメウォッチングが終了したら帰る予定だったが、クルマで5分ほどの距離にあるツマログの滝が再開して見れるということなので、急遽向かうことになった。観光名所として知られているこのツマログの滝だが、今年は雨量が少なかったこともあって干上がってしまい、7か月間ほど閉鎖していたそうだ。全盛期の水量かどうかは分からないが、マイナスイオンをたっぷり浴びることができた。

オスロブの人気スポットであるツマログの滝
再開初日であったが次々と人が訪れていた

 成田から5時間半ほどで行けるセブ島は、フィリピン第2の都市でもあり、日本人が現在も数多く訪れている場所であることが今回の視察で体験できた。

 美しくて広い島内には高級リゾートが次々に誕生し、市内は経済発展も目覚ましいので、今後ますます魅力的な島になるはずだ。今回新設されたユナイテッド航空の成田~セブ線はデイリー運航なので、多くの人の翼になることだろう。

成田から気軽にセブに行けるユナイテッド航空の成田~セブ線
野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。