旅レポ
広島世羅でジビエ・タコ・野菜食べまくり。地産地消で循環を感じる旅
「フェアフィールド・バイ・マリオット 広島世羅」周辺
2024年11月9日 12:00
積水ハウスとマリオットが取り組む地方創生事業の中核となる、ロードサイド型ホテル「フェアフェールド・バイ・マリオット 道の駅ホテル」。
今回は、「フェアフィールド・バイ・マリオット・広島世羅」周辺のアクティビティや名産品などを紹介します。
完熟トマトの詰め放題が楽しい「道の駅 世羅」
フェアフィールド・バイ・マリオット・広島世羅に隣接する道の駅が「道の駅 世羅」です。道を隔たず、すぐ隣に位置しています。
この道の駅 世羅で特に人気なのが、トマトやじゃがいもなどの地元農産物の詰め放題です。サイズや形、傷の有無などの問題から一般に販売できない、いわゆる規格外の収穫物を活かした企画です。もちろん規格外といっても、一般に販売されているものと品質や味に違いはありません。
今回筆者は、トマトの詰め放題にチャレンジしてみましたが、1回500円で1kg近いトマトを詰められました。普通に買うと1000円をゆうに超える量で、まずその時点で圧倒的にお得です。そして詰めた直後に実際に食べてみましたが、さすが完熟トマト、酸味と甘みのバランスがとてもよくて、味も抜群でした。
また、テイクアウトのお弁当や軽食類も多数扱っています。そのなかでも特に注目なのが「せらバーガー」です。
せらバーガーは、世羅町で生産されたお肉や野菜を使ったハンバーガーを提供する、世羅町の町おこしとして実施している取り組みです。道の駅 世羅の飲食施設「レストラン 道の駅世羅」でも、オリジナルの「せらの恵みバーガー」をイートイン、またはテイクアウトで提供しています。
お店によって入荷の曜日や時間帯が異なるそうですが、今回訪れたタイミングでは5種類のせらバーガーを販売していました。今回は実際に食べられなかったのですが、テイクアウトして次の目的地への移動中に食べるのにもちょうどよさそうです。
ラベンダーをはじめ季節ごとに花を楽しめる「黒瀬農園 香山ラベンダーの丘」
自然豊かな世羅高原には、観光スポットがたくさん存在しています。その1つが「黒瀬農園 香山ラベンダーの丘」です。
最大の魅力が、中四国最大規模のラベンダー畑です。6月から7月にかけて、広大な花畑いっぱいにラベンダーが咲き誇る美しい景色と、周囲に広がるラベンダーの香りで、毎年多くの観光客が訪れるそうです。
ラベンダーは初夏に楽しめますが、同じ花畑には、春はポピー、秋はコスモスが植えられるそうで、季節ごとに異なる花が咲き誇る姿を堪能できます。また、メインの花畑以外でも、バラやあじさいなどさまざまな花を楽しめます。今回はタイミング的にちょうど花の入れ替え時期だったこともあって、ラベンダーには間に合いませんでしたが、エキナセアやベルガモットといったハーブ、ミズギボウシなどの可憐な花が楽しめました。
花以外にハーブも生産しています。ハーブは観賞目的だけでなく、苗の販売も行なっています。園内の売店では、育成したハーブやラベンダーなどを使った自家製のハーブティやソフトクリームを提供していて、自家製ラベンダーオイルやサシェなども販売しています。実際にハーブティをいただきましたが、農園でその日に摘み取った新鮮なハーブを使っているそうで、癒やし効果抜群でした。
このほか、夏にかけてはブルーベリー狩りも楽しめます。完熟したブルーベリーを自分で摘み取って味わうと、美味しさもより一層引き立ちます。
そして、花畑のなかには、季節ごとに咲き誇る花に囲まれながら映える写真を撮影できる扉などのオブジェを設置したり、農園周囲にハンモックやソファ用意してゆったりくつろげるスペースを用意するなど、うれしい設備も整っています。花の見頃に合わせたイベントやワークショップも開催しているそうなので、次回は花のタイミングを見計らって訪れたいです。開園期間は4月上旬から10月下旬頃までですが、気候によって前後することもあるとのこと。
国定公園・帝釈峡の人工湖「神龍湖」でクルーズを楽しむ
世羅高原付近の景勝地として人気なのが、広島県の庄原市から神石郡神石高原町にかけての、全長18kmにおよぶ渓谷「帝釈峡」です。
この付近は石灰岩の台地で、帝釈川によって深く浸食され、長い時間をかけて渓谷が形成されました。切り立った崖は、深いところで200~300mにもおよんでいます。周囲には鍾乳洞も見られます。その迫力のある姿や、夏は緑、秋の紅葉の美しさから、広島県のなかでも代表的な名勝の1つとして親しまれているそうですし、国の名勝にも指定されています。
その帝釈峡には、大正時代に造られた帝釈川ダムによって川がせき止められてできた人工湖「神龍湖」があります。曲がりくねった渓谷を埋めるように水が蓄えられていて、その姿がまるで龍のようだということから、神龍湖と名付けられたそうです。
そして神龍湖では、迫力のある帝釈峡の切り立った崖や周囲の自然を船に乗って間近に楽しめる観光船「帝釈峡遊覧船」を運航しています。
屋形船のような遊覧船で、約40分かけて神龍湖を周遊します。船内は畳敷きで、乗船後は床に座って遊覧を楽しめます。椅子もあるので、地べたでは脚がきついという人も大丈夫でしょう。神龍湖はダム湖なので、水面はとても穏やかで、遊覧中も船が大きく揺れることはありません。
遊覧船内では、竜神湖の成り立ちや周囲の名所がアナウンスされます。切り立った崖や大きな岩、洞窟などの雄大な景色に見とれていると見逃しそうな見どころもしっかりと紹介してくれますので、帝釈峡の美しさや見どころを余すところなく楽しめるのもうれしいところです。
今回は残念ながら曇り空でしたが、それでも夏の深緑と穏やかな水面、白い岩肌のコントラストはとても美しく、感慨深いものがありました。そして、これから秋にかけては、木々が紅く染まって、より美しさが際立ってくるはずです。
大山・蒜山方面から世羅への移動中に立ち寄りたい、資源循環がテーマのレストラン
岡山県真庭市の「真庭あぐりガーデン」は、NPO法人の真庭アグリガーデンプロジェクトが運営するお店です。コンセプトは「循環」。
ゴミ問題は真庭市に限らず日本各地の課題となっています。そこで真庭市では排出されるゴミを減らすために、生ゴミを特殊な培養液で発酵させてバイオ液肥を造って地域の農家に無償提供し、その肥料で育った野菜を作り市内で消費、そこから出る生ゴミをまた肥料にする、という循環でゴミを減らすとともに、農業と食、人を通した循環を造り出そうとしています。そしてその拠点となるのが真庭あぐりガーデンなのです。
併設のレストラン「十字屋商店」の店内は、テーブルがゆったり並べられ、植物であふれるとてもおシャレな雰囲気です。実際、今回訪れた当日も、地域の親子連れやグループ客が大勢訪れていました。
そして、この十字屋商店でいただけるのが、先ほど紹介した循環サイクルで育てられたお米や野菜を使った料理です。
今回はランチの時間帯に訪れましたが、ランチでは地域特産の鶏肉や豚肉、牛肉、魚などを使った定食を提供しています。そのなかから、「十字屋御膳 和食」をいただきました。
内容は、カレイの粕漬け焼きや、旬の野菜などの地域の食材を使った天ぷら、みそ汁、地元のおばあちゃんが造る「お節介おばんざい」などですが、それらと合わせて最大の特徴となるのが、羽釜で炊いたご飯や、地域で採れた新鮮野菜のサラダなどを、おかわり自由でいただけるという点です。しかも、それらに使われているお米や野菜の多くは、先ほど紹介した循環サイクルで育生されたものを使っています。
こ真庭あぐりガーデンでは、循環サイクルで育てた野菜や地域の特産品も販売していますし、バイオ液肥も無料で配布しています。バイオ液肥は家庭菜園で利用するのにも最適なので、興味のある人はぜひ手に入れてみてください。同時に、真庭市が取り組むゴミの循環サイクルやSDGsついて考える機会になることを期待します。
自家栽培の野菜やジビエを楽しめる古民家レストラン「べじたぶる四季」
フェアフィールド・バイ・マリオット・広島世羅滞在時のディナーとして訪れた野が、古民家レストラン「べじたぶる四季」です。店内は、お店というよりも、昔ながらの民家そのものといった雰囲気で、まるで田舎の親戚の家に遊びに来たかのような印象です。
こちらでいただけるのが、世羅地域で害獣として駆除された猪や鹿の新鮮なジビエ肉です。猪肉はぼたん鍋か焼肉で、鹿肉は焼肉で提供されます。
ジビエなので、クセが気になるかもしれません。実際にいただいた猪肉や鹿肉は、まったくクセがないとは言いません。独特のクセがしっかり感じられました。
それでも、お肉自体が新鮮なことや、駆除されてすぐ適切に処理されているからか、猪肉はクセ以上にガツンとくる肉の旨味とともに、とても甘みの強い脂身が混じることで、これまで食べた猪肉のなかでもトップクラスに美味しいと感じました。焼肉では猪肉の味をダイレクトに楽しめますし、味噌風味のぼたん鍋は、味噌のコクと旨味がいい具合に猪肉のクセを補ってくれて、より美味しさが増す印象です。
対する鹿肉は、猪肉とは異なるクセがあります。ただ、猪肉よりも弱めで、比較的淡泊な味わいなので、より食べやすい印象でした。鹿肉はヘルシーなので特に女性に人気とのことです。
ちなみに、お店は前日までの予約が必要です。詳しくは、お店のInstagramなどをご確認ください。
三原で名物のたこ料理を満喫
フェアフィールド・バイ・マリオット 広島世羅は、世羅高原とやや内陸に位置していますが、実は瀬戸内海側へのアクセスもわるくありません。クルマを使えば瀬戸内海に面する三原や尾道に30~40分程度で到達できますので、エリア内と言えます。
今回は、三原まで足を延ばして、三原名物のたこ料理を堪能しました。訪れたのは、三原港のすぐそばに位置している、創業して40年、地元でも人気のたこ料理専門店「食事処 蔵」です。
提供されるたこ料理は、もちろん地元三原沖で捕れた新鮮なたこを使っています。今回は釜めし定食をいただきました。たこの刺身が入ったカルパッチョ風のサラダからはじまり、たこの刺身、たこの天ぷら、たこ飯と、まさにたこ三昧のメニューでしたが、それぞれ違ったたこの美味しさが楽しめます。
サラダや刺身のたこは、比較的強い歯応えと、噛むたびに甘い風味が広がります。天ぷらは、刺身とは違ってやや柔らかめの歯応えになって、濃厚なたこの風味がより強く引き出されている印象です。
そして、メインのたこ飯ですが、こちらはご飯全体にたこの旨味が染みわたっていて、立ちのぼる磯の香りと合わせて、料理全体でたこの美味しさを感じられます。
締めくくりに、佛通寺で座禅修行を体験
締めくくりとして訪れたのが、広島県三原市に位置している「臨済宗佛通寺派大本山 佛通寺」です。目的は、佛通寺で行なわれている座禅修行を体験することでした。
佛通寺は、応永4年(1397年)に、当時の三原地域を治めていた武将の小早川春平が、愚中周及(佛徳大通禅師)を迎えて建立された禅寺で、現在は臨済宗仏通寺派の総本山となっています。また、京都以西では唯一の、参禅道場を備える臨済宗の本山としても有名な存在です。
今回は特別に、佛通寺の宗務総長 神田敬州さんに境内を案内していただきましたが、神田さんは、佛通寺の成り立ちや境内の特徴などを、時には参加者に問いかけたり、時にはユーモアを交えた口調で説明したりしてくれました。
境内には、文化財にも指定されているお堂や十一面観世音菩薩立像など、見どころが多くあります。また境内にある庭園風の池「崑崗池」は雪舟作と言い伝えられているそうで、佛通寺の歴史も感じ取れます。
そして座禅修行の本番です。私自身、初めての座禅修行でしたので、本来の座禅の組み方もよく分かっていませんでしたが、もちろんそこもしっかり教えてもらえます。佛通寺の座禅修行では、座禅を組むときに座面に2枚の座蒲団を敷き、上側の座蒲団を2枚折りにしてお尻側がやや高くなるように座ります。そのため、座禅を組んでもそれほど足が痛くなりませんでした。これは初心者向けの座り方かもしれませんが、楽に座禅が組めたのはかなりありがたかったです。
そして、座禅中は静かに瞑想することになります。今回は10分程度ではありましたが、しんと静まりかえり、周囲の鳥や虫の声だけが聞こえるなかの座禅は、想像していた以上に心が洗われるものでした。また、時間が経つほどに参加者全員の一体感も高まっていくように感じました。
座禅の最中は、神田総長が1mほどの木の棒(警策)を持ち、座禅している我々の周囲を歩きながら、場合によっては警策で肩や背中を打たれることがあります。
今回はせっかくの体験なので、こちらから警策をいただくことにしました。神田総長が近付いてきたときに合掌すると、警策をいただきたいという合図になります。そこでお互いに一礼し、両手を脇に抱えて深く身体を前傾させます。すると、最初に軽く、そのあと強く警策で打たれます。
確かに打たれると痛いのですが、罰という意味合いではないこともあってか、心が洗われて、清々しさがあふれてきました。
そして、あっという間に10分が経ち、座禅体験は終了しました。修行前と違い、とても穏やかな気分になれましたし、これが座禅修行の醍醐味なんだと実感できました。