旅レポ
ぽつんと浮かぶリアル“海上レストラン”へ! 南太平洋のリゾート・フィジーで「もうなーんにもしたくない」
2024年7月9日 12:00
南太平洋のビーチリゾート・フィジーの旅3日目は、宿泊しているヒルトン フィジー ビーチ リゾート&スパと同じデナラウ島内にある「Sheraton Fiji Golf&Beach Resort(シェラトン フィジー ゴルフ&リゾート)」へ。
この日の主目的である「フィジー ツーリズム エクスチェンジ(FTE)」のプレスカンファレンスに参加するためだ。
物価は高くもなく安くもなく
午前中は英語の講演をタップリと聞いて過ごし、午後は時間ができたのでデナラウ島内にあるスーパーマーケット「Fresh Choice Supermarket&Liquor(フレッシュ チョイス スーパーマーケット&リカー)」に出かけてみた。移動は島内なら8フィジードルということだったのでタクシーを使う。
ここは地元の人が利用する小規模なスーパーマーケットで、生鮮からデリ、日用品まで幅広い品揃えとなっているが、観光客向けの商品は置いていない。そんなお店。
入口にはサングラスやヘルメット禁止のグラフィックに加え、バックパック禁止の文字も。店内に入ると野菜やフルーツ、食材、飲料などひととおり揃っており、価格も日本のコンビニぐらいなイメージ。例えば、1.25Lの清涼飲料水は4.50フィジードル(約347円、1フィジードル=約77円換算)。ホテル内の売店で購入したら9.60フィジードルだったので半額以下だ。地元産のパイナップルも売っていたが、これは前日見たナンディマーケットの方が安かった。まぁ、当然か。
品揃え的に少しもの足りなさを感じたので、ナンディマーケットの至近にある商店街にも足を伸ばしてみた。ここもタクシーを使い料金は17フィジードル。観光客の姿もチラホラ見受けられるこの通りで一番目立っているのが「Jack's of FIJI(ジャックス オブ フィジー)」。
フィジーに50店舗ほどあるという小売りのチェーン店で、ホテルにも併設されているぐらいメジャーなお店だ。2階建ての店舗にはフィジー産のお菓子やコーヒー、衣類、雑貨などが豊富に並べられており、お土産をゲットするならここですべてまかなうことができそう。
そのうえ、日本語を話せる(ときどき英語が混ざるけど)スタッフが2名いるというから安心感は高い。それもあってか、ここで初めて日本からの観光客を見かけた。3日間もワリと人が多い施設をうろうろしているのにこんな感じなので、日本からの観光客が年間7000人程度っていうのも頷ける話。
ひととおりオススメを聞いたり見たりしたあとは、すぐ近くにあった大きなスーパーマーケットへ。ごく最近改装されたようで、真新しい店内は広い通路が確保され商品は豊富に並べられており、高級感のある雰囲気。ただ、デナラウ島のスーパーと同じく大きなバッグの持ち込みはNGとなっており、地元の人はカウンターに預けていたのに加え、見るからに強そうなガードマンが立っていてちょっと物々しい感じも。もっとも、いかにも観光客な我々は何も言われなかったが。
お菓子のコーナーにフィジー産のお安いスナック菓子があったのでしげしげと眺めていたら、プロレスラーみたいながっしりとした体格のお兄さんが背後に。なんかやばい感じ!?と緊張していたら、「バーベキュー味が最高だぜ。毎日食べてるよ。Hahaha!」と、フレンドリーな笑顔を見せつつスナックをいくつかピックアップ、レジへと去って行った。
値段は100gで1.49フィジードル(約115円)とか、45gの小袋3つで2.5フィジードル(約193円)とか。「もしかすると日本より安い?」と感じる価格だった。同行者が購入していたので少し分けていただきつまんでみたところ、味の方はフレーバーどおりのごく普通なスナック。シュワシュワしたヤツにピッタリな感じでした。お土産というよりオヤツですな。
ナンディの街をあとにしてナンディ国際空港のすぐ横に位置する「Crowne Plaza Fiji Nadi Bay Resort&Spa(クラウンプラザ フィジー ナンディ ベイ リゾート&スパ)」へ。ここは現在も工事が進行中で、段階的にオープンしている最新のホテル。詳細はFTEの記事を参照していただきたい。施設を見学をしたり、ダンサーによるショーを見たりと、夜まで過ごしてヒルトンへ戻った。
翌日はFTEのカンファレンス最終日。午後は会場となっているシェラトン フィジー ゴルフ&リゾートが宿泊客向けに行なっている「Coconut Husking Demonstration(ココナッツの殻むきデモンストレーション)」を見学。ホテルは隣接するゴルフ場の一角にレストランで使う野菜などを栽培する農場を構えており、その一部を利用してのデモンストレーションとなった。
ココナッツといえば、観光客的には実(み)が丸ごと出てくるジュースのイメージが強い。でも、実際は捨てるところがないぐらいなんですよ、というのを教えてくれるプログラムだ。
ジュースとして利用するのは実がグリーンの状態で収穫したもので、そこから数週間が過ぎると全体が茶色くなってくる。これを割って内側の白い部分を削り出したものが、スイーツなどに振りかけてある繊維状のヤツだ。「ココナッツサブレ」が好きな人なら文句なく美味しくいただける。
緑ココナッツの白い部分も食べることができ、こちらはあまり味はせずナタデココみたいな食感と、結構違いがあるのがおもしろい。葉っぱの方は編み込んで帽子やバッグに、木の根元あたりに生えている繊維は撚り合わせて紐として利用できるという。見た目は麻紐みたいな感じになるものの「too expensive!」だとか。
まさに楽園気分が味わえるフローティングパラダイス!
2日ほど海から離れていたせいで恋しくなったってわけではないけれど、翌日は再度のデナラウ港からフェリーに乗り込む。向かうは“YOUR FLOATING PARADISE”のキャッチフレーズが付けられた「Cloud9(クラウド ナイン) Fiji」。
浮遊楽園(直訳)とはなんぞや、というと海上に浮かぶ2階建てのレストラン&バー。主人公が海賊の漫画に似たようなシチュエーションのレストランが出てきたが、ざっくり言えばまぁそんな感じのスポットだ。
こちらはもっとカジュアルでアクティビティを重視した場所だけども。往復のフェリーを含んだ料金は229フィジードル(約1万7600円)で、飲食に使える60フィジードル分(約4600円)のバウチャーを含んだもの。送迎に使うフェリーはデナラウ港を9時に出発、14時と18時に現地から戻る2便を設定している。
フィジーに来た当初はスッキリしない曇り空が続いていたが、FTEを終えてから急に天気がよくなってきた。デナラウ港にも夏のような青空が広がっている。フェリー「マキシマム」に乗ってマロロ島を横に見ながらおよそ1時間。真っ青な海と空の間にぽつんとなにやらあるのが見えてくる。そこがクラウド9だ。
海の真ん中というと深くて怖そうなイメージだが、ここは「マロロ バリア リーフ」と呼ばれる珊瑚礁のなかにあるため、水深がとても浅く波も穏やか。大人なら立つことができるほど浅い場所があるほどで、シュノーケリングなどのアクティビティが楽しめる。
フェリーから建物に移って、いの一番にしなければならないのは座席の確保だ。建物は100人収容できるほどの広さがあるが、指定席ではないので当然よい場所は早い者勝ち。リピーターはそれを心得ているようで下船口に並んで待っていたが、こちらは「慌てても仕方ないじゃん」とばかりに悠長に構えていたらよい席は埋まってしまっていた。早めの下船が肝心だ。
なんとか席を確保してからあたりを見渡してみると、360度ぐるりと青い海に囲まれ、水深が浅い場所ではエメラルドグリーンに水面が輝く。2階席には飛び込み台が用意されており、おじさんたちが率先してドボンドボンと飛び込んでいく。「見てないでユーも行こうぜ!」と誘われたけれど、余計なおせ……、いやカメラがあるんで遠慮しておきます。
建物にはバーと本格的なピザ窯が用意されており、前述のバウチャーで注文可能。ピザは30フィジードル程度なので、普通に過ごすなら追加料金も必要なさそう。天気がよければまさに楽園気分が味わえるハズだ。
ナンディから離れラグーンを満喫できるリゾートへ
ほかの観光客がまだまだクラウド9を楽しんでいるなか、昼過ぎに出発。デナラウ港から次の目的地を目指す。今度はしばらく滞在したデナラウ周辺とお別れし、いかにもな田舎道を走りクイーンズ・ロードを南下していく。道路は80km/h制限となっており、片側1車線ながら気持ちよく流れている。時折現われる村などでは30km/hに引き下げられるなど速度制限がかけられており、その前後では道路にバンプを設置。強制的に速度を落とさせる仕組みだ。
向かったのは今日の宿泊地となる「momi(モミ)」の街にあるリゾート「Fiji Marriott Resort Momi Bay(フィジー マリオット リゾート モミ ベイ)」。
島全体にいくつものホテルが集まっていたデナラウ島と異なり、ここは海に突き出たラグーン一帯がすべて敷地となっており、プライベート感満点。客室やレストランがラグーンを囲むように建てられているほか、水上に突き出すように延びた桟橋の両側にもブレ(ヴィラ)が並んでいる。
客室は114室のスイートを含む250室と、敷地の広さから考えるとビックリするほどゆったりとした作り。レセプションまわりには多くの宿泊客の姿があるものの、ひとたびそこを外れると独り占めとはいかないまでも、波のさざめきと椰子の葉が風になびく音、そして鳥の声しか聞こえないほどの静寂感。何をするでもなく、ただそこに佇んでいるだけで満足してしまいそうなほど素晴らしいロケーションだ。
用意されていた部屋はラグーンを望む「Duplex Lagoon Bure(デュプレックス ラグーン ブレ)」。42m2の客室にはキングサイズのベッドとソファ、テーブルが並び、バスタブのある水回り、そして部屋の外にはバルコニーと専用のデッキチェアまで用意されている。ああ、仕事ではなく旅行で来たい……。
翌朝は少しだけ早起きして、ずっと気になっていた「あるもの」を見に行くことにした。それはなにかと言えば「線路」。ビーチリゾートに来てまで何やってるんだよ、って声が聞こえてきそうだけれど、それが漢のサガってもんだから仕方ない。
第2回の冒頭で「フィジーには乗客を乗せる鉄道がない」とわざとらしく前振りをしたが、実は貨物専用の鉄道が島内西側のかなり広い範囲にまたがって敷設されているのだ。これは「シュガーケーントレイン」、“サトウキビ列車”と呼ばれるサトウキビを運搬するための専用路線で、収穫の時期のみ畑から製糖工場に向けて運転されているらしい。
砂糖はフィジーにおける重要な外貨収入源として大きな役割を担っているだけに、今でもこんな路線が残っているのだろう。ただ、観光局の方に聞いてもらっても詳しいことは判然とせず、Googleマップを眺めてはどんなものかと想像していた。それがなんとホテルの敷地内を横断しているのだ。これは見に行かねばなるまい。
レセプションから歩くことわずか2~3分、お目当ての場所に着く。そこは2本のレールが道路を横切っていた。軌間は靴を使ってざっくり計ってみた感じ600mm前後なので、よくある2ft(610mm)ってヤツに違いない。オーストラリアにも同様の軌間を持つサトウキビ列車があるようなので間違いなさそうだ。
片側は橋を渡ってブッシュのなかへ、もう片側はホテルの敷地を横切ってこちらは森のなかへと消えている。サビサビのレールは土に埋もれてしまっている部分もあり、本当に走っているのかちょっと疑問を抱かせもしたが、ホテルのマネージャー氏に尋ねてみたところ「11月から2月ぐらいの間に1日1往復ぐらい走ってるよ」とスマホで動画を見せてくれた。
以前は観光用に乗客を乗せて走らせている地域があったらしいが、どうやら今は営業していない様子。ただ、レールの上を電動自転車で走ることができるアクティビティ「ECO TRAX FIJI」があり、そちらが人気となっているようだ。気になる向きは検索していただきたい。しかし、キチンと整備して空港からホテルまで専用列車を走らせちゃえばいいのにね、観光の目玉にもなりそうだし。