旅レポ

チェコの工業都市・オストラヴァへ。産業遺産が丸ごと観光スポットになってます!

カーブしたダクトが腕に見えて、SF映画に出てくる巨大ロボットのよう

チェコが誇る産業遺産「ドルニー・ヴィートコヴィツェ」

 ワルシャワ・ショパン空港からLOTポーランド航空を利用して降り立ったのはチェコ随一の工業都市・オストラヴァ。まず向かったのは、空港からクルマで20分ほどの「ドルニー・ヴィートコヴィツェ」です。

圧倒的な存在感の廃プラント

 ここは1836年~1998年までの162年間、石炭の採掘と鉄の生産が行なわれていた場所。鉄の生産が終わったあと、工場を壊してしまうのではなく、次世代につなぐ産業複合施設として生まれ変わらせています。日本ではほとんど知られていませんが、チェコ国内では人気の観光スポット。ユネスコの世界遺産候補とも言われているそうですよ。

頭上に伸びる巨大パイプ

 施設内では見学ツアー(有料)に参加することができます。ツアーの目玉は2015年に第1高炉上部に新設された展望施設「ボルトタワー(Bolt Tower)」。オストラヴァの街を360度ぐるりと見渡せる外郭通路がてっぺんに作られていて、エレベーターで上がることができます。78mの高さから俯瞰する廃プラントはとにかく迫力満点! 壮観です。

ホールやインフォメーションの入るGong1階にはカフェも
かつて資材を運んでいたっぽい巨大車両
下から見上げるとその存在感が増す高炉

 ちなみにこの「ボルトタワー」という名前、建物の形がネジに似ているからだけでなく、あのウサイン・ボルト選手の名前を冠しているのだとか。オストラヴァで開催される陸上の国際大会ゴールデンスパイクでボルト選手はこの地をたびたび訪れていたようで、タワー内には彼のサインもありました。

こんなレタッチがぴったり

 そんなドルニー・ヴィートコヴィツェでは、毎年「カラーズ オブ オストラヴァ(Colours of Ostrava)」というチェコ最大の屋外音楽フェスティバルが開催されています。今年はレニー・クラヴィッツやサム・スミス、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジらが出演し、7月17日~20日に行なわれる予定。こんなインダストリアルな雰囲気のなかでの音楽フェス、楽しそうですよね!

第1高炉上部に拡張された部分がボルトタワー
通路は床が透け透けの網目状なのでスリル満点
ボルトタワー内には景色抜群のカフェも(予約制)
まるっと観光資源にしてしまう発想が素晴らしい
錆の質感がたまりません
工場景観好きな人にオススメ!

オストラヴァ郊外のペンションにはチェコの河童がいた

カントリースタイルのペンションに宿泊

 オストラヴァでは、街中心部からクルマで30分ほど郊外に走った田園地帯にある「ムリーン・ヴォドニーカ・スラーミ」というペンションに宿泊しました。

服を着て帽子をかぶっているのが特徴のチェコの河童「ヴォドニーク」。よく見ると顔が怖い

 チェコは言いにくくて覚えにくい地名が多いのですが、こちらのお宿も然り。私は勝手に“河童のペンション”と命名していました。というのも「ヴォドニーカ」はチェコの河童・ヴォドニークにちなんでいて(Vodaはチェコ語で水)、敷地内を流れる小川のほとりにはヴォドニーク像が! 日本に伝わる河童とはだいぶ様相が異なりますが、どこか憎めないチェコの河童なのでした。

宿泊棟は厩舎を模したような建物
入り口の共用部分。2階へは階段で
私が利用した1階のお部屋
木の家具が素敵
バスルーム
見せてもらった2階のお部屋

 自然に囲まれたのどかな環境にあるこのペンションは、かつて製粉工場だった歴史ある場所。子供の遊び場があったり、馬や羊などの動物もいて、乗馬やキャンプなども楽しめます。緑が美しい季節には結婚式や披露パーティなどもできるそう。こんなヨーロッパの片田舎(失礼!)で、のんびりペンションに滞在する旅もいいですよね。

レストラン棟
朝食もこちらで
温かみのあるスタイリング
洗練されたコース料理をワインペアリングでいただきました
部屋から見たキレイな朝焼け
ビュッフェスタイルの朝食
チェコでポピュラーなケシの実ケーキ

絵のように美しい小さな街で800年伝わる伝統菓子に出会った

お城がある高台から眺めたシュトラムベルクの街

 続いては、オストラヴァから南西にクルマで小一時間のところにあるシュトラムベルクという街です。この小さくてかわいらしい街には、“いつ誰によって築かれたのか不明だけれど14世紀半ばには地主の所有物だった”というシュトラムベルク城が丘の上に建っています。

パステルカラーの壁の色
ぜーぜー言いながら坂を上ってきました
塔の内部も階段をぐるぐると
よく分からないけどかっこいいレリーフ
お城からの見晴らし最高です
教会の屋根がかわいい

 息を切らせて上ったかいあって、城内にある高さ40mの円筒形の塔の上からは、ミニチュアのようなかわいらしい街並みが一望できました。城下には18~19世紀に建てられた古い木造の家が立ち並ぶ一角も。タイムトリップしたかのような小道を下りながら向かったのは、街の名産品「シュトラムベルクの耳」を製造販売するお店です。

城からの帰り道。昔から変わらない石畳の小径
雰囲気のある坂道
あちこちで見かけた花
街の広場前にあった小さなホテル

「シュトラムベルクの耳」は、蜂蜜やスパイスミックス、砂糖などで作られる素朴な味わいが特徴の甘い焼き菓子。その名のとおり人間の耳に似た形をしています。街には10軒ほどの製造元があり、それぞれの味を大切に守って作り続けているそう。ちなみに、形はオーブンから取り出してすぐに型(円錐形のカップ)に入れて整えられます。

こちらのお店におじゃましました
実際に作っているところを見学
250~300℃で2~3分焼きます
人間の耳の形に似てますかね?
何枚か重ねて売られています

 店主のおじさんいわく、この街では毎年「シュトラムベルクの耳の祭り」という伝統的なお祭りが開催され、街の“耳製造メーカー”が一同に介して、広場で巨大な“耳”を焼くのだそう。気になったので調べてみると、今年は4月27日。行きた過ぎる~!

クラッシクのほかに、チョコレートやアーモンドなどいろいろな味があるようです

ベスキディ山地の観光スポット、プステヴニへ

19世紀末に建てられた有名建築家の作品

 ベスキディ山地で最も人気のある観光地の1つ「プステヴニ」。ここもオストラヴァからの日帰り観光にお勧めのスポットで、夏場はハイキング、冬はスキー場として多くの人が訪れるといいます。今回は「ヴァラシュカ トレイル」という空中に作られた歩道を歩いてきました。

ケーブルリフトで一気に標高1020mの山頂へ

 2015年秋に誕生した「ヴァラシュカ トレイル」の長さは610m。樹木をほとんど伐採せずに作られた、森のなかの木道トレイルです。途中にロープ歩道が張られていたりと、アスレチック要素もありました。一番奥に作られたタワーには、空中にせり出す展望スポットも。ガラス張りの先端部分では浮いているかのようなスリルを味わえちゃいます。

トレイル入り口
ヒマラヤの歩道と名付けられたロープ歩道
結構揺れます
高さ22mのタワー
タワーの先端にはこんな映えスポットも
地上数mのところを歩く空中トレイル、楽しかったです

民俗アール・ヌーヴォーな山小屋でチェコ料理に舌鼓

ネパールなどヒマラヤのふもとにありそうな建物に見えなくもないような……?

 トレイルのあとは、ケーブルリフト山頂駅の近くにあるレストラン「リブシーン」でランチをいただきました。独特の色合いで目を引くこちらの木造建築は、スロバキア出身の建築家ドゥシャン・ユルコヴィッチさん(1868~1947年)が設計した民俗アール・ヌーヴォー様式の木造ロッジ。チェコの文化記念物にも指定されています。

なかに入ってびっくり!

 独創的なのは外観だけではありません。なかはさらに個性的! 青緑色を基調とした壁や天井にはオレンジや赤の差し色を使った装飾が映えていて、まるで童話の世界に入り込んだようなキュートな店内でした。

しばらくカメラのシャッターが止まりませんでした

 実はこの建物、2014年に起きた火災で焼けてしまったそうですが、その後、お金と時間をかけて再建され2020年7月にリニューアルオープンしています。ほかにもユルコヴィッチさんが手掛けた建築物はブルノなどチェコ国内で見ることも。建築に興味がある人にささりそうな場所がチェコにはたくさんあります。

20世紀を代表する建築家の一人、スロバキア出身のドゥシャン・ユルコヴィッチ氏
チェコのビールはどこでも美味しくて幸せ
鹿肉のシチュー チェコの定番蒸しパン“クネドリーキ”添えで359CZK(約2300円)

メルキュール オストラヴァ センター ホテル

約100年前の歴史ある建物とのこと

 最後は、オストラヴァで内見させてもらった「メルキュール オストラヴァ センター ホテル」をご紹介しましょう。こちらは市街中心部の便利なロケーションにある全139室の4つ星ホテル。館内にはレストランやバー、スチームバス付きのフィットネスエリアなどが備わっています。中庭をのぞむ素敵なテラスのある、落ち着いた雰囲気のホテルでした。

プリヴィレッジ スーペリアルーム
スタンダードルーム(ダブルベッド)
ダブルベッドと折りたたみソファを備えたプリヴィレッジスイート

 以上、オストラヴァと周辺の日帰りスポットをご紹介しました。次稿は文化財盛りだくさんの街・オロモウツの街をご紹介する予定です。お楽しみに♪

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。