旅レポ

映画に出てくるような近代的なビル群とオールドタウンが混在するクアラルンプールが観光客に大人気のワケに納得! 現在の市内を見て回った

クアラルンプールのアイコンとして有名なペトロナス・ツインタワー

 魅力あふれるペナン島をあとにして、向かった先は首都のクアラルンプール。マレーシア経済の中心地であり、大規模開発によって近未来的なビルが立ち並ぶ景色は壮観だ。

 そのように都市化が進むなかでも昔ながらのオールドタウンも残されており、日本を含め、近隣の国から多くの観光客が訪れている。最近では英語が浸透している国として、また先進的な医療が受けられる国として、語学留学や医療ツーリズムにおいても人気の訪問的として知られている。早速、クアラルンプールの魅力を紹介していこう。

一度は間近で見たいペトロナス・ツインタワー

 クアラルンプールのアイコンとして絶大な人気を誇るのが「ペトロナス・ツインタワー(Petronas Twin Towers)」だ。地上88階建てで452mの高さは、ツインタワーとしては世界一。1996年に完成した当時は超高層ビルとしてもっとも高い建物だった。

 マレーシアを代表する国営石油会社のペトロナスが施主であり、日本のハザマと韓国のサムスン物産が競い合いながら建造するなどエピソードにも事欠かない部分もあることからストーリー性にも富んでおり、マレーシアにおける近代建築物の代表と言ってもいいツインタワーだ。

 多くはオフィスとして使われているが、ショッピングモールもあり、41階~42階に架けられたスカイブリッジ、86階の展望スペース(有料・定員制)からクアラルンプールの街並みを見下ろすこともできるそうだ。特徴のあるデザインはフォトジェニックであり、周辺では多くの観光客が写真を撮るなど、フォトスポットとしても大人気だ。実際に訪れると分かるのだが、とにかくその大きさと光り輝く重厚なデザインには圧倒されること間違いなし。一度は現地で実物を見てもらいたい。

夜の姿が美しいペトロナス・ツインタワー。近くには5つ星ホテルも多くあり、観光スポットになっている
日中の姿はまた一味違う。タワー1基の重さはなんと30万トンというスケールの大きさ
近くには新しい夜景スポット「サロマリンクブリッジ」がある。数十秒ごとに変わるライトアップを目当てに、こちらにも多くの人が訪れていた

ブキ・ビンタン通り周辺はクアラルンプールでもっともにぎやかなエリア

 クアラルンプール随一の繁華街がブキ・ビンタン通りの周辺だ。国内外の多くの有名ブランドショップが集まっている「スターヒル」、550の店舗を抱える「パビリオン」、日本ブランドも入っている「LOT10」など、ショッピングモールがてんこ盛りのエリアだ。

地元の人も観光客も集まるブキ・ビンタン通り
ユニクロやドン・キホーテも出店している

ローカルフードはジャラン・アローでありつける

 ショッピングに疲れたら、裏通りのジャラン・アローがオススメ。こちらの通りはローカルフードをリーズナブルに堪能できる屋台が50店以上軒を連ねており、異国情緒たっぷりのなかで美味しいものにありつける。

 今回、夕食に訪れたのは、中華とマレーシア料理が楽しめる「黄亞華小食店」。ピーナッツソースで食べるサテ(串焼き)、オクラや葉物野菜の炒め物、新鮮な魚介を使った料理など、地元料理を大いに楽しめた。そして忘れていけないのは、クアラルンプール風のホッケン・ミー。ペナン島で食べたものとは見た目もまったく異なり、こちらは中国醤油をベースに味付けした焼うどんのような料理だった。好みでいえばペナン風だが、こちらもクセになるような美味しさだったので、しっかりと記憶された。

 もう一つ、「マレーシアに来たならスイカジュースがオススメよ!」と言われたのでそちらもオーダーしてみたが、これが思っていた以上に果実味あふれるジューシーさで、自分のなかでリピート確定したのを付け加えておく。

これぞアジアという魅力が詰まっているジャラン・アロー
南国フルーツを売る屋台も多く見かけた。ドリアンやマンゴスチンはホテルに持ち込めないのが残念
クアラルンプール風のホッケン・ミー。見た目は塩辛そうだが意外にマイルドな味
ピーナッツソースがよく合うサテ
中華風で味付けされたオクラの炒め物
めずらしいエイを使った揚げ物はクセもなく美味
スイカ(ウォーターメロン)ジュースは南国料理にバッチリ合う

ロングステイ先として人気の高層レジデンス

 ブキ・ビンタン通りから徒歩で7分ほどのところにあるのが今回宿泊した「E&O レジデンス クアラルンプール(E&O Residences Kuala Lumpur)」だ。

 長期滞在にも向く宿泊施設で、キッチン、調理器具、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機などを備えているのが特徴だ。客室は1ベッドルーム(105m2、3名まで)が104室、2ベッドルーム(134m2、5名まで)が96室の合計200室を用意している。

 もちろん、プールやフィットネスルームといった設備も備えているし、敷地内に入るにはカードキーで開錠し、ガードマンが常駐しているエリアを抜けなければならないなどセキュリティ面も配慮されている。

ロングステイができる「E&O レジデンス クアラルンプール」

 実際に10階の1ベッドルームに宿泊させてもらったが、とにかく“広い!”が第一印象だ。ただっ広いリビングが眼前に広がり、オープンカウンターのキッチン、製氷機付きの冷蔵庫などが目に入った。

 隣のベッドルームはキングサイズベッドが置かれており、浴室はシャワーのほかバスタブも備えているのがうれしい。洗面台も2台あり、朝の忙しい時間帯も同室者とトラブルなしで過ごせる。とにかく広い室内は、狭い日本の我が家に慣れ親しんだ身としては「荷物をどこでも置けるスペース万歳!」ではなく、「荷物を一か所に集めておかないと絶対に忘れ物をする」と思わせるほどだった。

 一つ注意する点があるとすれば、温水はヒーターで温める方式のため(マレーシアでは主流とのこと)、シャワーなどを使う場合には10分ほど前にスイッチを入れておきたい。宿泊料金は1泊で380RM~(約1万2000円)なので、クアラルンプールで長期滞在してみたい人には一つの選択肢になるだろう。

くつろげるリビングとはこういうものかと納得させる広さ
ソファ、リビングテーブル、ダイニングテーブル、チェア、IHキッチン、冷蔵庫、洗濯機など、生活に必要な家具もバッチリ揃っている。1週間ここにいればすごく仕事ができそうな気がする
キッチンの脇には乾燥機とドラム式の洗濯機が置かれている
初めて見た製氷機付きの冷蔵庫!
ご当地ドリンク「ハンドレッドプラス(100 PLUS)」を氷入りで試飲。ポカリスエットの炭酸バージョンという味
リビングの隣には、これまた広いベッドルームが置かれている。1週間ここにいれば快眠ですごく健康になれそうな気がする
バスタブ付きは日本人にとってありがたい
シャワーブースも完備されている

5つ星ホテル「EQ」の51階にはオススメのバーラウンジがある

 宿泊した近隣には多くのブランドホテルが立ち並ぶが、そのなかの一つが「EQ」だ。外観からラグジュアリー感があふれているが、客室内部も豪華な装いで特別感がそこかしこに表われている。

 こちらのホテルからもペトロナス・ツインタワーがよく見えるため、そのような部屋は人気が高いそうだ。今回は宿泊はしていないが、上層部51階に位置するスカイバーラウンジ「BLUE」に行ってみた。ゲストも利用できるバーだが、あまりにもカジュアルな装いだと断られる可能性がありそうだ(受付係がチェックしていた)。

 バーラウンジの外はデッキになっており、開放感あふれるなかで多くの人が景色とお酒を楽しんでいた。もちろんその先にあるのはペトロナス・ツインタワーで、地上から見える姿とはまた一味違った景色がそこにはあった。

5つ星ホテルの「EQ」。外観からして特別感であふれている
デラックスキングツインタワー(40m2)からの眺め
最上階フロアにあるスカイバーラウンジ「BLUE」からはペトロナス・ツインタワーもよく見える。VIP用にさらに上層の52階特別室も用意している

旧市街もSNS映えする観光名所として大人気

 近代的なビルが立ち並ぶだけでなく、昔ながらのオールドタウンが残されているのもクアラルンプールの魅力だ。ムルデカ広場周辺にはチャイナタウンや最近SNSで話題の「鬼仔巷(Kwai Chai Hong)」がある。1960年代に暮らしていた現地の人の日常をウォールアートとして描いたもので、6つの作品が雰囲気たっぷりななかで楽しめる。

 屋外の建物も当時の空気をまとっているので、まるでタイムスリップした気にさせてくれる。しかし、これで終わらないのがクアラルンプール(笑)。その背後には2023年に竣工したばかりの高さ678.9m、地上118階建ての超高層ビル「ムルデカ118(Merdeka 118)」がドーンと鎮座しており、過去と現代のコントラストが非常に興味深い。

観光客に人気の「鬼仔巷」
壁画のほか、通りのディスプレイも趣向が凝らされている
世界で2番目の高さを誇る「ムルデカ118」
質感の違いが如実に表われていておもしろい。まるで映画のなかの未来人が住んでいるような景色だ
近くにはお土産の購入に便利なセントラルマーケットもある
無料の市内巡回バス「GO KL」を使って名所巡りをしてもいい
旧正月を前に大勢の人でにぎわっているチャイナタウン

英語を学ぶ先としても人気のクアラルンプール

 マレーシアで通常の観光以外で注目されているのが英語の語学留学だ。マレーシアの公用語はマレー語だが、マレー系はマレー語・英語、中華系はマレー語・中国語・英語、インド系はマレー語・タミル語・ヒンディー語・英語といったように、民族ごとの母国語にプラスして英語が話されている。英語が通じる国であることは経済の発展においてアドバンテージであり、語学留学先として多くの人が各国からマレーシアに集まっている。今回訪れた「ELC」は便利なブキ・ビンタン通りにあり、日本から学ぶために渡航している人も多い語学スクールだ。

オーストラリアに本校があるELC

 最短1週間から授業に参加でき、週ごとに行なわれるテストによってクラス分けされるので、上達度に合わせて学ぶことができる。語学留学先を選定するうえで重要なのは、授業料に加え、滞在費がどれくらいかかるかだ。

 日本人に人気のあるフィリピンはトータルコストはマレーシアに比べて安く済むが、治安においては懸念される点があるのも事実。その点、マレーシアのクアラルンプールはコスト面に優れ、治安もわるくないので人気を集めている。お話を聞かせていただいた学生のなかには社会人の男性もおり、現在は育休を利用して、家族全員でクアラルンプールに滞在しているそうだ。

 決め手になったのは安全面であり「家族で安全に過ごせる環境があり、しかも子供に対して優しいお国柄だったのでこちらに決めました」と説明してくれた。ほか、社会人経験2年目の方や大学を休学して訪れている方など千差万別で、誰もが生き生きとした表情をしていたことからも充実度が高いことがうかがえた。こちらのスクールでは学生用に借り上げている滞在用アパートも用意しているので、興味がある方はぜひともチェックしてもらいたい。

授業中の風景。現在は午前のクラスが16人前後、午後のクラスが10人前後で行なわれている

 近代的に整備されたエリアから昔ながらのオールドタウンなど、多種多様さを包み込むマレーシアの全部が詰まったクアラルンプールは、とにかく魅力的な街だと脳裏に焼き付けられた。そのクアラルンプールの郊外には市内とはまた違った施設や観光地が数多くあるので、次の記事は郊外編として紹介する予定だ。

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。