旅レポ

オーストラリア旅の後半はウルル&カタ・ジュタへ! 壮大な神秘を間近に感じる遊覧飛行やドローンショー

オーストラリア旅の後半はウルル&カタ・ジュタへ

 オーストラリア政府観光局によるプレスツアーに参加してきた。

 旅の後半は、中央オーストラリアのノーザンテリトリーへ。「世界の中心」「地球のヘソ」として知られるウルルやカタ・ジュタを間近に感じる4日間を過ごした。

 シドニーから飛行機で西へ約3時間、うたた寝から目覚めるたびに大地が赤みを帯びていく様子から、微睡のなかで冒険が始まる予感を覚える。エアーズロック空港でタラップを降りて大地を踏むと、靴の裏側があっという間に赤く染まりはじめた。どこまでも続きそうな平らな大地と途方もない青空が1つにつながっているさまに、地球の真ん中に立っているかのような感覚を抱く。

滑走路に直接降りられてわくわくする

 ウルルは、ノーザンテリトリーのウルル-カタ・ジュタ国立公園に位置する大きな一枚岩だ。周囲の距離が9kmにもおよぶため平たく見えるが、高さは約350mと、東京タワーを越えるのだそう。「エアーズロック」という呼称でも知られているが、現在は先住民の伝統的な呼び方である「ウルル」を用いるようになっている。

 これには、アボリジナルの人々とオーストラリアが辿った歴史が深く関わっている。オーストラリア政府は、アボリジナルの人々に対するヨーロッパ人からの迫害の歴史を反省し、アボリジナルの人々の権利を回復するための施策を整えてきた。「ウルル」という呼び名が主流になっていることも、アボリジナルの人々に対する敬意を表わすものである。また、かつて彼らを指していた「アボリジニ」という言葉についても、差別の歴史を省みて「アボリジナルの人々」といった呼び方に変えている。

 登山中に観光客の死亡事故が発生したことや、観光客による不適切な振る舞いがあったことが懸念され、2019年10月26日からウルルへの登山は禁止になった。今でも、かつて登山ルートとされていた斜面には、登山者が歩いた形跡が白い線になって残っている。ウルルはアボリジナルの人々にとって聖地であり、彼らの伝統や文化が尊重されなければならない。世界にはその土地の人々が大切にしている場所や価値観があり、観光客としての立ち振る舞いについて改めて考えさせられた。

 登ることはできないが、壮大なウルルの景色は今でも存分に望むことができる。ウルル-カタ・ジュタ国立公園内には撮影できない場所も多く、実際に訪れて体感していただきたいものばかりだ。観光する際は、先住民にとって大切な場所を見せてもらうという気持ちをもって訪れるようにしたい。

リゾートの5つ星ホテル、セイルズ・イン・ザ・デザートに滞在

セイルズ・イン・ザ・デザート

 空港からクルマで約10分走ると、このエリアで唯一の街である「ユラーラ」にたどり着く。観光客が滞在するホテルや店舗、警察署、学校、診療所などが集い、暮らしているのは観光従事者とその家族のみだ。本来ならば足を踏み入れられないような聖域にお邪魔しているという敬意をもって滞在したい。今回は、エアーズロックリゾート内の5つ星ホテル「セイルズ・イン・ザ・デザート」に宿泊することができた。

 ロビーに足を踏み入れると、数々のアボリジナル・アートが出迎えてくれる。ここでウルルをモチーフにしたアートを購入することも可能だ。ホテル内にはレストランもあり、朝昼晩の3食をここで済ませることもできる。

ロビーでは数々のアボリジナル・アートやウルルをモチーフにしたアートと出会える
客室のある建物

 今回は「スーペリアルーム」に宿泊した。驚くほど広い客室にはキングベッドかクイーンベッド2台が設置されており、ベランダもある。日中の暑い時間は室内でのんびり過ごし、日が傾いてきたらテラスに出て夕焼けを眺めるのも気持ちがいい。客室全体は、ウルルの風景を彷彿させる赤い配色と、アボリジナルの人々の文化が散りばめられたデザインとなっている。

 客室の水道水はそのまま飲むことが可能で、頻繁に水分を補給する必要があるウルル滞在の味方になってくれる。非常に乾燥しているため、夜に部屋干しした洗濯物が朝にはしっかり乾いていた。無料で使えるランドリーもあり、中庭のプールで使った水着をすぐに洗える。日常を忘れて長期滞在したくなるホテルだ。

今回宿泊した客室
客室
洗面所
テラス

 ウルルを訪れる際は、気温と乾燥に注意してほしい。滞在した時期のオーストラリアは春を迎えたばかりだったが、ウルルの最高気温が40℃近くまでのぼる日もあった。あっという間に体内の水分がなくなってしまうので、30分おきに水分補給をするようにしたい。また、長袖を数枚重ね着していても日焼けするほどの灼熱の太陽が照りつける。日焼け対策と保湿も万全にするのがお勧めだ。

館内にはスパもある
ウルルの赤土を感じる暖色の照明とアロマの香りでリラックス
イルカリレストラン
ウォルパ・バーのランチで食べたジューシーなバーガー
朝食ではアボリジナルの人々が食べている食材のメニューも
夕食のラインアップはさらに豪華に
チョコレートフォンデュも楽しめる
中庭のプール。滞在中いつでも気軽に入れる
リゾートで見かけた植物

1000機以上のドローンが織りなすアナング族の物語

ウィンジリ ウィルのウェルカムカクテルとウルル

 ウルルに到着した日の夜は、5月に始まったばかりのドローンショー「ウィンジリ ウィル」に参加した。「ウィンジリ ウィル」は、現地のピジャンジャジャラ語で「地平線まで続く美しい眺め」を意味し、1000機以上のドローンが織りなす光と音のショーによってアナング族に伝わる「マラの物語」を体験できる。

 ショーでは、ピジャンジャジャラ語とヤンクンジャジャラ語のナレーションと、地元のアナングコミュニティの人々とともに録音した伝統的な儀式によるサウンドトラックを聴くことができる。4月から10月までは毎晩2回、11月~3月までは毎晩1回、ショーが行なわれるという。

小道をわたって会場へ
まずはウェルカムカクテルとカナッペを楽しむ
ここからショーを演出する

 ドローンショーだけのプランに加え、アボリジナルの人々の食材を使った夕食を楽しめるサンセットディナーつきオプションも用意されている。送迎バスを降り、砂漠のなかにある丘に向かって小道を登ったら、カタ・ジュタとウルルに沈む夕日を眺めながらウェルカムカクテルとカナッペでスタート。その後、オーストラリア産のワインを片手に、ディナーが入ったハンパ(ピクニックボックス)を堪能する。オープンエアの客席の正面にはウルルがそびえ立ち、背後には夕陽が落ちていくカタ・ジュタのシルエットが。

明るいうちは客席からウルルを眺められる
背後にはカタ・ジュタの姿も
ピクニックボックス

 そうして日が暮れると、いよいよ光と音のショーが始まる。1000機のドローン、レーザー、プロジェクションによって砂漠の空が照らされ、古代のアナング族の物語に没入した。

空の上からウルルの頂上を見渡す

ウルルとカタ・ジュタを空から俯瞰

 翌朝、ヘリコプターでウルル~カタ・ジュタ上空の遊覧飛行を体験することができた。ビュッフェ形式の朝食を済ませ、エントランスで送迎バスを待つ。リゾート内を移動できるバスは定期的に走っており、ウルル滞在中に体験したアクティビティには送迎がついているものが多かった。広大な砂漠だが、安全な移動手段が提供されているため安心だ。

 フライト内容としては、ウルルを眺められる15分の短いコースや、ウルルとカタ・ジュタに規制距離ぎりぎりまで近づける25分のコースのほか、アマデウス湖やキングスキャニオンまで飛ぶコースなど最大約2時間のフライトが用意されている。今回体験したの25分コースでは、ウルルとカタ・ジュタの景観を間近で見ることができた。

 ヘリポートの横にある小屋で解説ビデオを視聴したら、実際にヘリコプターに乗っていこう。シートベルトとヘッドフォンを装着して離陸すると、真っ赤な大地に浮かぶエアーズロックリゾートが見える。ヘリコプターは高度を上げ、カタ・ジュタ(マウントオルガ)の複雑な姿を眺める旅へ。カタ・ジュタは先住民の言葉で「たくさんの頭」を意味している。

 地上から眺める機会も滞在中に何度かあったが、上空から俯瞰すると、遠くから平面で見るよりもさらに多くの岩が密集していることが分かる。この翌日に「風の谷」と呼ばれるワルパ渓谷を散策する予定があったので、これからまだまだ異なる姿を見せてもらえることに冒険心がくすぐられた。

ウルル

 カタ・ジュタをじっくり見たあと、ヘリコプターは進路を変えてウルルへと近づいていく。上空からウルルの平かな姿を確認したとき、この雄大な存在が本当に一枚岩なのだという事実を見せつけられ、改めて圧倒された。ウルルの存在感を前にすると、まっさらな気持ちになれるような気がした。

カタ・ジュタ
編集部:大竹菜々子