旅レポ
伊東の全室オーシャンビュー温泉旅館「界 アンジン」に行ってきた。船旅気分の客室でのんびり、お風呂上りに無料ビール!
2023年10月23日 06:00
星野リゾートの伊東にある温泉旅館「界 アンジン」(静岡県伊東市渚町5-12)に行ってきました。
こちらは星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」シリーズの施設で、2017年4月に開業。開業リリースを拝見した当時から、全室オーシャンビュー、なおかつ最上階の「サンブエナデッキ」からの素晴らしい海の眺めにいつか訪れたいとずっと思っていました。今回機会があってついに1人旅で宿泊してきました。
「界 アンジン」はJR伊東駅から徒歩約10分。海沿いの道を歩いていくと見えてきます。近くには「伊東オレンジビーチ」があるため、夏は家族連れでにぎわうそうです。
まるで英国船内にいるかのような滞在が楽しめるホテル
ホテルの名前は伊東ゆかりの英国人航海士・三浦按針(みうらあんじん)にちなんだもの。按針の本名はウィリアム・アダムスで、英国人ですがオランダからの航海のさなか大分県に漂着し、後に徳川家康の外交顧問として重用されます。そして1604年(慶長9年)、日本初の洋式帆船の建造に取りかかるのですが、その場所に選ばれたのが伊東でした。ホテルの目の前には按針メモリアルパークがあり、オブジェが飾られています。
ホテルには船のボーディングブリッジを思わせる橋を渡って入ります。
入るとフロントと、その横にある船の古材を使った巨大なアートが目に飛び込んできます。どこの部分だったのか想像しながら見るとおもしろいですよ。
広々としたロビーの横にはショップがあり、界 アンジンオリジナルの紅茶やショートブレッドが販売されています。
奥のトラベルライブラリーではさまざまな紅茶やコーヒーが楽しめます。三浦按針の航海ルートにちなんだハーブや茶葉が用意してあり、自分でティーバッグに詰めてオリジナルのフレーバーティーを作っていただきます。時間ごとにフレーバーが変わるので、ついつい何度も訪れてしまいました。
このほか、界独自の無料体験プログラム「ご当地楽」では、アンジンの生涯をストーリー仕立てにしたショートムービー「アンジン紀行」を鑑賞できます。ところどころにスタッフさんの解説が入り、15分間見入ってしまいました。
さらに「界 アンジン」では、温泉の効能やや効果的な入浴方法、ストレッチなどを教えてくれる「温泉いろは」プログラムを毎晩ロビーで無料開催中。こちらに参加すると、通常300円で販売している「お湯印帳」を無料でいただけます。
オーシャンビューの客室でリラックス
客室は全45室でもちろんすべてオーシャンビュー。今回はツインに宿泊しました。船に乗る「ボーディングパス」をいただき、クルーズ気分でチェックインします。
部屋に入るとまず飛び込んでくるのが和風の精緻な飾り格子。その向こうには海が広がります。
訪問した日は残念ながら曇り空でしたが、それでもこの眺望が窓から楽しめます!! 備え付けのポットでコーヒーを入れ、ショートブレッドをいただきながら海をのんびり眺める……まるで船旅を楽しんでいるかのような雰囲気です。
ベッドは界オリジナル家具の「ふわくもスリープ」。その名のとおりふわっふわで気持ちよく、ぐっすり眠れました。ちなみに部屋の隅にはしっかり加湿器も備え付けられています。
洗面所の左右にはシャワールームとトイレ。洗面所には界ブランドオリジナルの風呂敷で包まれたアメニティが置かれていました。風呂敷は旅館ごとに違っており、界 アンジンのものは深い海を思わせる色でした。
大海原を見渡せる絶景露天風呂を堪能してきた
界 アンジンのお風呂は最上階にあり、大浴場と露天風呂があります。
大浴場からは太平洋を一望することが可能。朝焼けから夕焼けまで、美しい景色の移り変わりを見に何度も入ってしまいました。露天風呂からの眺めも美しいですよ。
界 アンジンはアルカリ性単純泉。刺激が少なく子供の温泉デビューにもピッタリと言われるほど入りやすい温泉なので、のんびりと浸かることができました。
脱衣室にはアメニティとして和漢生薬成分が配合された基礎化粧品も。敏感肌の筆者も問題なく使えました。こちらは客室にも備えつけられています。
風呂上がりのビールは最高! ソフトドリンクアイスキャンディも
界 アンジンの最大の目玉といえば、最上階にある湯上り処&「サンビエナデッキ」。湯上り処ではなんと湯上りドリンクとしてビールやソフトドリンク、アイスキャンディが無料で飲み放題&食べ放題!
ビールは大航海時代の船旅をイメージして「インディア・ペールエール(IPA)」を用意。IPAはもともと長い船旅で腐らないようホップを大量に使ってエールを作ったことがはじまりで、アルコール度数が高めなのが特徴です。
お風呂上りにはもちろん、チェックイン後にとりあえず海を眺めつつ、のんびりビールを楽しんでいる人も多く見られました。
ソフトドリンクは、航海中のミネラル不足を補うイメージでローズヒップやカシスのフレーバーを加えたりんご酢と、伊東名産のぐり茶を用意。をお風呂上りに火照った体にぴったりです。
海風を感じられるオープンデッキスペース「サンブエナデッキ」は、按針が造船した「サンブエナベントゥーラ号」の甲板をイメージしたもの。船旅気分が満喫できる作りになっており、時間によって違う顔を見せてくれる場所です。
夏の花火大会のときはきれいに花火が見えるそうで、今年は4月から花火観賞プランが発売されていました。来年も設定する予定とのことですので、花火好きは要チェックです。
なお、お酒などの提供時間は季節により変動があるのでご注意を。チェックイン時にフロントで確認しておきましょう。
英国のエッセンスを垣間見る和会席を楽しむ
界の夕食は季節の会席料理で、食事処でいただきます。入口にはアンジンが建造した「サンブエナベントゥーラ号」の巨大な模型。内装はカラーアクリルや古書、段ボールなど15種類の素材できた多様なパーティションで区切られており、歩くだけでわくわくさせられます。
今回は秋の会席料理を、メニューに合わせたアルコールのペアリングセット「By the Glass se」とともにいただきました。
会席料理の先付けは熱海の郷土料理「イカメンチ」の南蛮漬け。イカげそや山芋などを練って揚げてつみれにしたもので、伊豆らしさを感じられます。
驚かされたのが英国のハイティーをイメージしたという「宝楽盛り」。八寸やお造り、酢の物がおしゃれに盛り付けされており、英国気分を味わえました。鶏と干し葡萄の松風をはじめ、酒泥棒の品々にお酒が進みます。
いつのまにか部屋の隅で火がたかれており、気づけば海の幸満載のブイヤベースが出てきました。コクと深みのあるスープはくせになります。土鍋ご飯は海をイメージした器がとても素敵。器も食事の楽しみの一つです。〆は苦みの少ないぐり茶を使ったクリームブリュレですっきりと。
朝食は「旅で不足しがちなものを補う」イメージのもので、少しずつたくさんの品々を楽しめます。自家製豆腐や自家製ヨーグルトなどここでしか食べられないメニュー、金目鯛の干物をはじめとした地元の名産品も用意されており、体に染み渡る優しいお味でした。
スープは「スコッチブロス」と呼ばれるスコットランド地方のスープ(ブロス)をモチーフに魚介類や味噌、野菜を入れてみそ仕立てにしたもの。オリジナルスパイスをかけていただくと味変ができます。
食事については年齢別に分けられた和食膳、子ども用カトラリーを用意。このほか界 アンジンでは男湯・女湯共にベビーバスと子供用ボディソープが用意されており、子連れにはうれしいサービスを提供しています。細かな気遣いが星野リゾートらしさを感じ、次は家族を連れてこようと思わされた滞在でした。