旅レポ

水上散策できる農園が3月オープン! 果物と花と芸術のバンコク~ラーチャブリーを巡る

タイのフルーツ農園を訪問

 タイの人気食材の1つといえば、熱帯地域ならではの多彩なフルーツ。各地の市場やスーパーマーケットに行くと、山のように積み上げられたココナッツ、バナナ、マンゴー、ドラゴンフルーツ、ドリアンなど、実にさまざまなフルーツを目にすることができる。これら新鮮なフルーツはどんなところで、どんな人たちの手によって作られているのだろう。

 その秘密を探るなら、バンコク市街からクルマで約2時間、西隣のラーチャブリー県にある今最もホットなフルーツ農園を訪ねてみるのがおすすめ。農園のなかをボートで散策するという珍しい体験ができるだけでなく、取りたてのフルーツをその場で試食することもできる。今回は郊外にある農園や芸術スポットのほか、バンコク市内の“フラワールート”もたどってみよう。

ボートで見学できる農園と、エネルギーを感じられる水上マーケット

鬱蒼とした植物が茂る「メートンイップ・ガーデン」

 2019年3月4日に観光客向けにオープンしたばかりのフルーツ農園が、「タイ12の秘宝」にも選ばれたラーチャブリー県にある「メートンイップ・ガーデン」。プレスツアーで訪れたのが3月3日だから、実際にはオープン前日にいち早く体験することができた。ここでのウリは、なんといっても農園全体に張り巡らされた水路を手こぎボートで散策できることだ。

メートンイップ・ガーデンを管理する1人、パイサーンさん
手こぎボートで農園内の水路を移動する

 家族で経営している約14ヘクタールの広さの同農園では、ココナッツ、マンゴー、バナナ、ライム、グァバ、ザボーン、ラムットといったフルーツを通年で栽培。有機栽培にこだわり、国内や中国・香港向けに出荷しているそう。そんな農園のなかをボートでゆっくり移動して、至るところで鈴なりになっているフルーツを観察できる。

 もちろん、農園でとれたフルーツは試食でき、さらにフルーツをきれいにカットするワークショップでフルーツの本場の“飾り包丁”を学ぶことも可能だ。

農園なので当たり前だが、そこらじゅうにフルーツが鈴なりになっている
フルーツの収穫は月に1回程度とのこと。一部では米も栽培している
飲み頃のココナッツをその場で収穫し、ナタで割ってくれた
農園のフルーツはもちろんのこと、マンゴーと甘くした餅米を合わせたタイでおなじみのデザート「カオニャオマムアン」も食べられる
マンゴーを使ったお菓子も製造
ドロドロにしたマンゴーを干す
乾燥が進むとこんな感じに
丸めて完成。マンゴーの甘さがより引き立つ
マンゴーのお菓子作りに精を出す、農園のオーナーであるトンイップさん(右)

 ところで、この農園の水路は、近くにある「ラオタクラック水上マーケット」に通じている。140年前に完成したという全長約32kmもの運河にはいくつかの水上マーケットが点在するが、ラオタクラックはそのなかでも最古の、タイに初めてできたもの。ラーチャブリー県で最もよく知られている「ダムヌンサドゥアック水上マーケット」とはほとんど隣接しているところにある。

「ラオタクラック水上マーケット」

 運河の両岸に築かれた家屋では食材や土産物などを販売しており、商品を運搬するボートなどが目の前を頻繁に行き交う。向かいにあるダムヌンサドゥアック水上マーケットの様子もよく分かり、野菜やフルーツその他を販売するボートとそれを買い求める観光客用のボートでぎっしり。雑多でエネルギーにあふれる光景がかいま見られる。

食材などを販売しているボートや観光用のボートが行き交う
川沿いには土産物店などが軒を連ねる
店先で料理していることも。香ばしいにおいが漂ってくる
向かい側に見えるのがダムヌンサドゥアック水上マーケット。400mほどの距離にボートがあふれている
腰を落ち着かせたいなら、運河の脇にあるカフェへ
Classic Thai Tea Latte(50タイバーツ、約170円、1バーツ=約3.4円換算)
メートンイップ・ガーデン料金

水上散策+ランチ: 150タイバーツ前後(約520円)
飾り包丁のワークショップ: 190タイバーツ前後(約660円)

メートンイップ・ガーデン
ラオタクラック水上マーケット

インパクト大なセラミックの芸術や伝統文化に触れる

巨大な犬の置物に面食らう「タオホンタイ・セラミック・ファクトリー」。入場は無料

 メートンイップ・ガーデンやラオタクラック水上マーケットを観光するなら、併せて訪れたいのが、バリエーション豊かなセラミック製の置物の数々を鑑賞できる工場「タオホンタイ・セラミック・ファクトリー」。初代オーナーが調味料のナンプラーを詰める瓶の製作から始めた工場だが、その後、3代目となる現オーナーがアート性の高いセラミック製品を作り、装飾用として人気を集めている。

 敷地に一歩足を踏み入れれば、無造作に置かれた斬新な形のセラミック製の椅子やテーブル、歩道のほか、インパクトのある巨大な犬の顔が目に飛び込んでくる。鮮やかな色彩と光沢のある質感、そしてユニークなデザインをもつものばかりで、思わず記念撮影したくなるスポットがばかり。SNS映えを狙いたい人にもうってつけだ。

鮮やかな色彩が目を引くセラミックの置物が無造作に置かれている
とても座っていられないような“椅子”も
人よりはるかに大きい置物がいくつもある

 工場内部も見学でき、完成に1か月はかかるという大きな壺などに、職人が繊細なタッチで模様を描いている様子を観察できたりする。ここには工場とアートスペースしかなく、売り場はほとんどない。製作するものもオーダーによる1点物が多いので、作品鑑賞がメインとなるだろう。ただ、小さな置物のなかには購入できるものもある。一部はバンコクのマーケットなどでも販売されているそうだ。

もともとはこの黒っぽいナンプラー用の瓶を製作する工場だったという
工場の入口はアートスペースにもなっている
工場内部。大きな壺を製作しているところだった
もちろん小さめの置物も作っている。焼き上がった、色塗りを待つものも
敷地内には“失敗作”や売れ残りと思われる品々が放置され、それがまた芸術的な色彩になっている
タオホンタイ・セラミック・ファクトリー
タオホンタイ・セラミック・ファクトリーからクルマで約30分ほど北上したところには、タイの伝統文化に触れられる「ワット・カノン・ナンヤイ・ミュージアム」もある。入場無料
少なくともアユタヤ時代から伝わる「ナンヤイ」と呼ばれる影絵が展示されている
これらはすべて水牛の皮を用いて作られている
人が両手で持ち上げ、光を当ててスクリーンに映し出す
ワット・カノン・ナンヤイ・ミュージアム

360度の視界に大量の花。切っても切れないタイと花の文化を学ぶ

「パーククローン花市場」。至るところが花と花の香りに包まれている

 フルーツと並んで、タイとは切っても切れないのが花。慶事はもちろんのこと、お供えものや自宅の装飾、あるいはイベントで招待客に配られる首飾りなんかにもふんだんに花が用いられ、花のある生活はタイの日常に溶け込んでいる。

 バンコクには各地で栽培されている花という花が集結する「パーククローン花市場」があり、無数の生花や花飾りで通りや店内が埋めつくされ、見た目と香りで女性も男性も楽しめるスポットとなっている。

 生花なので日本へのお土産にするわけにはいかないが、見渡す限りの花に囲まれることで心に潤いがプラスされること間違いなし。ホテルに持ち帰って滞在している間だけでも身近に花を置き、癒やしの日々を過ごしてみてはいかがだろうか。

お祝いごとやお供えに使われる花飾り
ナイトマーケットと同様、活気にあふれている
老若男女が市場で働いていた
通りに面した店にも多様な花が並ぶ
美しい花飾りは眺めるだけで楽しい

 そんなタイの花の文化を伝える施設が「The Museum of Floral Culture(花文化の博物館)」だ。パーククローン花市場からもクルマで30分以内と、それほど離れていない場所にある。この博物館はタイのフラワーアーティスト、サクン・インタクン氏が2012年にオープンしたもので、約100年前からある建築物をベースに博物館に改装しているとのこと。入場料は150タイバーツ(約520円、月曜日定休)。

「The Museum of Floral Culture(花文化の博物館)」

 庭園には装飾によく用いられるタイならではのドックラック、ダオルアン、バーンマイルーロイといった花や植物が見られ、博物館内ではお祝いごとの際に用いられる花飾りや、サクン氏が手がけてきた独創的な作品などが紹介されている。

 タイだけでなくアジアの花文化に関する展示もあり、日本の生け花の歴史的な資料も収蔵されている。花飾りを作るワークショップなども開催されていて、タイの花のことを深く知りたいなら必見。日本語のガイドツアーもあるので安心だ。

結婚式会場としても利用可能だとのこと
庭園にはドックラックやバーンマイルーロイなど、タイならではの花が咲いている
博物館の建物。タイやアジアの花の文化を伝える資料などが展示されている(室内は一部撮影不可)
サクン氏の手がけてきた作品なども展示
慶事のお供えなどに使う花飾り。灯籠流しのようにして使うものもある
博物館にはカフェ兼土産物店が併設
カフェで注文んしたアンチャンライムソーダ(左)とミントライムソーダ(右)。いずれも95タイバーツ(約330円)
かわいらしいピアスやブローチも販売中
パーククローン花市場

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、モバイルサイト・アプリ運営、IT系広告代理店などを経て、執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪・四輪分野などさまざまなジャンルで活動中。どちらかというと癒やしではなく体力を消耗する旅行(仕事)が好み。Footprint Technologies株式会社代表。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。