旅レポ
歴史のある寺院や特徴のあるホテル、郊外の農村を見学してタイ・イサーンの魅力を心に刻む
2019年4月29日 09:00
タイ東北部のコーンケーン県やカラシン県をメインに取材したタイ国政府観光庁主催の取材ツアー。今回は3日目、4日目で訪れた場所を紹介しよう。
まず最初に訪れたのはコーンケーンの郊外にある「ワット・チャイシー」というお寺。本堂の壁には紺色を主体に鮮やかな壁画が描かれている。昔の人は全員が文字の読み書きをできたわけではないので、仏教の尊い教えを壁画をとおして学んでいたそうだ。内容はラオスからタイ東北部に伝わるブッダの輪廻転生にまつわる物語を伝えているものだ。
タイ東北部イサーン地方の食と文化、バンコクの今を知る旅
併設されている集会所では、伝統舞踊である「モーラム」を鑑賞することができた。こちらのモーラムは「ケーン」と呼ばれる笛でメロディーを奏で、打楽器でリズムを取りながら踊る。今回はこちらの組み合わせだったが、もう少し大きい合奏団になると木琴を縦に吊るしたような楽器である「ポーンラーン」も加わるそうだ。
バンコクで人気のレストラン・オーナーが経営するリゾートホテル
午後に訪れたのはのどかな場所にある「スパンニガー・ホーム・ブティック・ハイダウェイ・リゾート」。こちらはバンコクで人気のレストラン「スパンニガー・イーティング・ルーム」のオーナーが運営するリゾートホテル。
もともとはオーナー一族の別荘地であったが、立ち寄ったお坊さんが「こちらは木が生い茂っていて潤っているので神様が宿っています。ただこの土地を使うのだけでなく、仏教修行にも使われてはいかがですか?」とアドバイスをもらい、メディテーション(瞑想)ができる場所を作ったそうだ。その後はメディテーションをする人が次々に集まり、さらには宿泊施設の要望もあったことからリゾートホテルに移り変わっていった歴史がある。
現在は年に4回、1回10日間のメディテーションプログラムをヨーロッパの旅行会社と提携して行なっている。それ以外の期間はリゾートホテルとして運営。ちなみにオーナーの子息がソムタムにスポットを当てて展開しているレストラン「ソムタムダー」はニューヨークでミシュランの星を獲得しており、最近では東京の代々木にも出店している。本場のソムタムの味を大切にしているので、興味がある方は足を運んでもらいたい。
地元業者と交流し、コーンケーン周辺の理解を深める
3日目の夕方からは、宿泊しているプルマン・コーンケーン・ラジャオーキッド・ホテルの大会議場で今回の取材旅行の目的の一つである、コーンケーンとカラシンの紹介、現地業者との商談・情報交換会が行なわれた。
一昔前までは、コーンケーンに空路で訪れるにはバンコクからの飛行機しか選択肢がない状況だったが、昨今はLCCなどの就航により、現在はバンコク、チェンマイ、ハジャイ、プーケット、ウタパオからデイリーで36~40便が運航されているので、移動しやすい都市になっている。
増える利用客に対応するため、コーンケーン空港は3か年計画で拡張工事を行なっており、2021年には新ターミナルが完成する予定だ。また、タイ国鉄が新幹線のような高速鉄道をラオスのビエンチャンからコーンケーンを通って、バンコクまで敷設する予定であり、3年後の開通を目指して基礎工事が進められている。
道路についても、ラオスからミャンマーまで、タイを横断する形の東西経済街道を開通させる予定であることも紹介された。2018年には日本からタイへ165万人ほどが訪れており、訪れた都市の内訳はもちろんバンコクが1位だが、そのほかはプーケットやパタヤ、チョンブリー、チェンマイといった場所が上位であり、コーンケーンは残念ながら28位と注目度が低いので、タイ国政府観光庁としても今後もプロモーションを強化していく考えを示した。
コーンケーンは交通の便もよく、カラシンなど周辺に多くの観光素材があり、国際水準を満たしているホテルは9155室、8000人規模の会議場が1つ、4000人規模の会議場が1つと大人数を収容できる会議場もあることから、MICEのようなビジネストラベルにも強みがあることもアピールしていた。
夕食の前にはコーンケーン知事であるソムサック・チャントラクーン氏があいさつをした。その話のなかではつい最近(2018年12月)、秋篠宮殿下がコーンケーンを視察されたことを紹介。また、2004年からはパナソニックの工場が建設され、地元の雇用や経済に貢献していること、当日の午前中には、いすゞの営業部長からコーンケーンに営業促進本部を設ける話があったことを紹介するなど、日本と深いつながりがあることを述べた。
タイ政府からもコーンケーンは重要都市として位置づけられており、国内77県あるなかで、7つの県しか選ばれていないスマートシティ、5つの県しか選ばれていないMICEシティに認定されている点もアピールした。
今後については「コーンケーンの目指す発展には2つあり、都市は交通をはじめとしたテクノロジの発展によるスマートな都市の構築を目指し、周辺部に抱える多くの農村については農業技術の発展により、より効率的に生活水準の高い暮らしを実現していきたい」と語り、訪れてくれる観光客に対しては「観光素材はもちろんのこと、東北の人たちの温かい心とおもてなしにも触れてください」と述べていた。
コーンケーン市内で開かれるナイトマーケットもおもしろい
東南アジアの魅力の一つと言えば、ショップの数が豊富なナイトマーケットだ。コーンケーンでも週末はいくつかの場所で開かれている。定番の食品からファッション関連、それにものめずらしい雑貨やマッサージ店、なかにはペット?なのか動物を売っているお店まで、さまざまな業態がひしめき合っているのがおもしろい。
空港の隣にある上質空間を備えたホテル
4日目の最初に訪れたのはコーンケーンにある「ラチャワディー・リゾート&ホテル」だ。このホテルの特徴は何と言っても、コーンケーン空港から5分の立地にあるアクセスのよさ。とはいえ、ホテルの敷地内は緑が多く、とても空港の隣にあるとは思えない空間が魅力だ。ホテルのコンセプトはシティリゾートなので、遠方へ移動せずのんびりするのにも適したホテルと言える。
次に訪れたのは「アヴァ二・コーンケーン・ホテル」。こちらのホテルはプルマン・コーンケーン・ラジャオーキッド・ホテル同様、コーンケーンの高級ホテルを代表するものであり、サービスやファシリティの質の高さに定評がある。タイ国政府コンベンション・アンド・エキシビション・ビューロー(TCEB)からも表彰された実績を持つ。客室のほか、4軒のレストランにフルサービスのスパ、トレーニングジム、屋外プールなどがあり、会議や結婚式に便利な大型の多目的ホールも備えている。
イサーンの生活文化を学べる農村コミュニティ
ホテルを視察したあとは郊外でアクティビティを楽しめる「シラ・コミュニティ by ラムナムポン」に移動。こちらでは、イサーン地方の生活文化を体験することができる。周囲を水田に囲まれた農村であり、近くには小川が流れ、漁をしている人も見かける。短時間ステイのほか、施設にはコテージが16棟あるので、80人ほどの宿泊客を受け入れることもできる。このプロジェクトは始まってから3年経ち、当初はタイ人観光客のみであったが最近では外国人も訪れており、日本からの団体観光客も来るようになったそうだ。
コーンケーンで一番人気のガイヤーンを出すレストラン
昼食で訪れたのはコーンケーンの街中にある「ワニダー・ローズワイジーズ」。こちらはガイヤーン(鶏肉の炭火焼き)がコーンケーンで一番美味しいと評判の店であり、昼食時もあってかほぼ満席状態。それも地元の方が多数来店していることからも期待を持って入った。出てきたのはガイヤーンのほか、サイクローイサーンやラープなど、すでにおなじみのイサーン料理だが、評判どおりでどれもとても美味しく感じられ、非常に満足できた。万国共通、人が集まるお店は当たりである。このあとはバンコクに移動するので、イサーン料理ともお別れかと思うとちょっぴり残念。辛いものが好きで、調味料などのニオイを気にしないのなら(笑)、間違いなくイサーンはオススメだ。