旅レポ

土佐和紙の紙すき体験と安居渓谷で“仁淀ブルー”の極みを見る

高知県とジェットスターが提案するアウトドア体験

“仁淀ブルー”と呼ばれる透きとおった青色が特徴の仁淀川。上流に行くとこの青さに出会える

 2018年12月19日より成田~高知線と関空~高知線を就航させたジェットスター(関連記事「ジェットスター、LCC初の高知就航。成田と関空から。『需要があれば高松、松山のように増便も』と藤岡常務」)。前回に引き続き、高知県とジェットスターが企画開発を進めている、高知の大自然の魅力を活かしたアウトドア体験「フライ&アクティビティ」にちなんだプレスツアーの模様をお届けしよう。

 今回は“仁淀ブルー”と呼ばれる清流で有名な仁淀川や、途中で立ち寄った道の駅での土佐和紙の紙すき体験について紹介する。

道の駅で土佐和紙の紙すき体験ができる

 2日目の目的地は仁淀川上流の安居渓谷。そこへ向かう前に土佐和紙の紙すき体験ができる道の駅、土佐和紙工芸村「QRAUD(くらうど)」に立ち寄った。こちらの道の駅には、和紙を取り扱う工房のほか、レストランやスパ、JAの産直売り場、古い蔵を改装したギャラリーなどが立ち並んでいる。

道の駅のなかに土佐和紙工芸村「QRAUD」がある
国道194号沿いにあり、すぐ脇には仁淀川が流れている
レストランや宿泊施設、JAの直売所、ギャラリーも併設されている
高知は野菜の生産も盛ん。直売所にはトマトや大根、白菜といった定番の野菜から珍しい農産物が所狭しと並んでいる。なかでも「東山」と呼ばれている蜜をまぶした干しイモは、この地域ならではの名産品とのことだ

 高知県(土佐)は古くから和紙に使われる原料の楮(こうぞ)やミツマタの産地としても有名で、よい原材料と高い製造技術で和紙の生産が盛んだった。現在においても、その土佐和紙のよさを伝えるべく、このような体験教室が開かれている。こちらの工房では実際に、“ためすき”と呼ばれる製法でオリジナルのはがきや色紙を作ることができる。

 和紙を作るにはまず、原料を煮て繊維を取り出し、さらに水洗いや天日干し(もしくは漂白剤の使用)を繰り返すことで白くする。白くした繊維は細かいチリを取り除いて、叩いてほぐす作業を行なう。そして、繊維を水の中に入れて均一になるようほぐし、ノリを加えて簀桁(すけた:木製の枠)を使って成型する。その後脱水と乾燥をして完成だ。

 全部の工程を体験するには時間がかかりすぎるので、ここではすき舟(紙料の入った水を入れる大きな桶)の前で簀桁を使い、形になったものに押し花などを施して、オリジナルの土佐和紙を作れるようになっている。製作物によって料金や時間は変わるが、無地のはがき8枚・色紙2枚なら約40分で400円、草花入りなら約60分で600円。日本人の観光客はもとより、外国からの観光客にも人気で、体験するためにこちらを訪れる人もいるそうだ。

工房のなかには“ためすき”を行なう漉き舟が並ぶ。この中の水には和紙の繊維とノリが溶かされている
原料の入った水溶液をよくかき混ぜ、簀桁ですくい上げる。紙の厚さを均等にするために前後左右に振り、水を切って枠を外す。あとは台の上で乾燥させれば出来上がり。水は冷たいし重いしで、結構大変な作業
工房に用意されている花などを使ってオリジナル和紙が作成できる
道の駅 土佐和紙工芸村「QRAUD(クラウド)」

所在地:高知県吾川郡いの町鹿敷1226
TEL:088-892-1001
Webサイト:土佐和紙工芸村「QRAUD」

安居渓谷で仁淀ブルーに出会う

 仁淀川の上流にはさらに深い青を堪能できる安居渓谷がある。その渓谷を流れる安居川は石鎚山系を源流とする仁淀川の支流の一つ。周囲は県立自然公園に指定されており、美しい景観を楽しめるため、最近は人気の観光スポットになっているとのことだ。現地まではクルマ移動になるが、高知空港(高知龍馬空港)からは国道194号、439号、県道安居公園線を走って約1時間40分ほどで到着する距離だ。

 当日はあいにくの雨混じりの空模様だったが、天気がわるいにもかかわらず美しい青に出会うことができた。特に、一番青いと言われる砂防ダムの前の水晶淵はスゴイの一言!  夏は泳ぐこともできるそうで、地元の子供たちには昔から人気の場所であるとのこと(水深は深いところで3~4mあるそうなので注意は必要)。この水晶淵以外にも、「みかえりの滝」「飛龍の滝」「千仭峡」など美しい景観は多く、紅葉シーズンは賑わうそうだ。

なぜここまで青いのか。不思議な魅力を持つ仁淀川水系
仁淀ブルーの極みは水晶淵で見ることができる。SNSで見たこの光景に出会うため訪れる人も多いそうだ
安居渓谷

 今回就航したジェットスターの高知線は、エコノミークラス「Starter」運賃で成田発が片道4990円から、関空発が片道3990円からと手軽な料金(別途支払い手数料/空港使用料/受託手荷物料金などが必要、諸条件が適用される)であるだけでなく、移動するのにハードルの高かった高知県を身近にしたことは間違いない。仁淀川以外にも、ダイビングの聖地として人気の柏島、青の洞窟が見られる沖の島、東西約25kmに広がる四国カルストなど、都会では見ることのできない大自然が高知にはある。高知県では、2月1日からは「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」を実施する予定であり、各種イベントも開催する予定だ。この機会に都会の喧騒から離れて、優雅なひと時を味わってみてはいかがだろうか。

高知龍馬空港の入口には新しい看板が掲げられている
ジェットスター・ジャパンのカウンター
成田行きのGK426便は15時5分の出発なので、夜には都内に戻れる

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。