旅レポ

ニュージーランドの北島で自然満喫ドライブ旅(その4)

小さな独立国や廃線を走るカートを楽しむ“忘れられた世界”への旅

忘れられた世界の廃線を走るレールカートに乗車

 ニュージーランド北島のドライブ旅をお伝えしているこのレポート。前回タラナキ地方の中心都市であるニュー・プリマス、地方のシンボルであるタラナキ山を紹介した。今回はタラナキ地方から北島の中心部にあるレイク・タウポ(Lake Taupo)へ向かう約300kmのドライブ旅を紹介する。

 ニュー・プリマスからレイク・タウポへ向かうには、ざっくり分けて、北側からまわり込むルートと、西側からアプローチして湖の南をまわって行くルートがあるが、今回は西側からアプローチする進路をとった。

 この西側からのルートは、ニュー・プリマスから南下したところにあるストラトフォードを起点とする国道43号を利用するもので、実は、この国道43号を走ることこそが、この日の旅の大きな目的なのだ。

 国道43号は、別名を「フォーゴットン・ワールド・ハイウェイ(Forgotten World Highway)」という。19世紀から東西を結ぶ交易路になっていた道路で、これに沿って鉄道も作られた。鉄道駅が作られた土地では小さな集落が生まれ、いまとなっては一部はゴーストタウンのようにもなっており、“忘れられた世界”という異名が付けられた。

「フォーゴットン・ワールド・ハイウェイ(Forgotten World Highway)」こと国道43号

 ストラトフォードから4つの山を越えてタウマルヌイまで向かう約150kmの道のりは自然がそのまま残る美しいもので、川沿いの渓谷や、季節によっては色付いた葉など、生きた自然を感じることができる。途中には並走する廃線の踏切や、1台分の車幅しかない狭いトンネル、山道らしい急カーブ、急勾配など運転しがいのある箇所も多い。

 もちろん、普通に山道なので、一部に狭い区間があったり、舗装の状態がよくないところがある点に注意が必要であることは言うまでもない。一応今回も明記しておくと、この旅のドライバーはガイドさんであり、記者は1秒も運転していない。

 その前提でニュージーランドにおけるクルマの運転に対するイメージを記しておくと、まず左側通行、右ハンドルである点は日本と同じなので戸惑いは少なそう。また、日本ほど全域で舗装のクオリティが一定ではなかったが、これはニュージーランドに限った話ではないので、外国あるあるの範疇。

 一つだけ、これは相当な注意が必要と思ったのは、制限速度の変化だ。というのは、一般道であっても平坦であれば制限速度が100km/hとなる区間が結構あるのだ。例えば市街地では30~50km/hで、街を抜けると一段上がって70km/h、さらに離れると100km/h、逆に市街地が近づくと70km/hへ一段下がって、市街地に入ると30~50km/hになるといった具合である。急な変化にはならないように工夫してはいるようだが、なにせ自動車専用道路ではないので制限速度100km/hの区間にも交差点があるし、仕切りもなにもない対向2車線なので対向車が怖い。

 今回行った範囲では、100km/h制限の区間で目立って交通量が多いところはなかったし、自分で運転すると意外に早く慣れるのかも知れないが、なにぶん道路は生き物なので、同じエリアにいるクルマの速度の違いが大きいことは常に頭に入れておくべきだろうと感じつつ、助手席から景色を眺めていた。

風光明媚かつ運転のしがいという点でも最高のドライブ旅を楽しめる「フォーゴットン・ワールド・ハイウェイ」
途中にある「モキ・トンネル」。クルマ1台分の幅しかなく不気味……もとい味のある空間だ。なお、下記のファンガモモナ・ホテル(Whangamomona Hotel)よりも先に行った場所にあるので紹介が前後していることは注記しておく

犬やヤギが大統領を務めた独立国「ファンガモモナ」。入国するとパスポートにスタンプも

 そんな、フォーゴットン・ワールド・ハイウェイの途中の小さな街「ファンガモモナ(Whangamomona)」は、あることで知られる街らしい。それは、1989年に独立を宣言し、「ファンガモモナ共和国(Republic of Whangamomona)」を名乗っていること。

 こういう独立国というと、日本人的には井上ひさしの「吉里吉里人」を思い出すが、そこまで本格的ではなく、日本の自治体でも流行した一種の町おこしのような感じ。19世紀後半から開発された集落で、かわいい木造建築物が残っている。道路沿いを散策しても15分ぐらいの小さな集落なので気軽に立ち寄れる

ファンガモモナ共和国の入り口
ファンガモモナ共和国の目抜き通り(といっても道はこの道だけだが)
任期中に死去した第4代大統領が所有していたというガレージと似顔絵
こうした古くてかわいい木造建築物が並ぶ。ヒツジを飼っている家も
街の脇を流れるファンガモモナ川と、その川をまたぐフォーゴットン・ワールド・ハイウェイの橋
フォーゴットン・ワールド・ハイウェイに沿うように敷かれた廃線。ここにあるカートの説明は後ほど

 そのファンガモモナ共和国のオフィスが「ファンガモモナ・ホテル(Whangamomona Hotel)」。ここには、「パスポートオフィス」があり、2ニュージーランドドル(約160円、1ニュージーランドドル=約80円換算)で、ファンガモモナ共和国のスタンプを押してもらえる。もちろん、入国した記念に押してもらってきた。このスタンプは年間1000名ほどが押すという。

 ちなみに、共和国というだけあって、ちゃんと大統領も任命されている。任期は2年で、2年に1度、「ファンガモモナ共和国デー(Whangamomona Republic Day)」という催しが開かれ、大統領選挙が行なわれる。この共和国デーにはニュージーランド国内外から多くの人が集まり、クラシックカーも持ち寄られるようだ。

 その歴代大統領はいろいろツッコミどころがあり、初代は本人の知らないところで任命された人、2代目はヤギ、3代目はプードル犬と続き、4代目でようやく地元のガレージのオーナーが大統領に。この大統領は任期中に亡くなり、ガレージに当人の顔が描かれて偲ばれている。その後、5代目に初の女性大統領が誕生し、2017年1月からは6代目の大統領が務めている。

 ファンガモモナ・ホテルはカフェ&バーにもなっており、ドライブの一休みにも向いている。なかは暖炉やビリヤード台があって、賑わっていた時代に人々が集まる場所だったのだろうと思う。ファンガモモナ共和国やフォーゴットン・ワールド・ハイウェイ沿線の歴史をたどれる新聞のスクラップブックも興味深く読める。

ファンガモモナ・ホテル(Whangamomona Hotel)

所在地:Forgotten World Highway, Stratford
Webサイト:Whangamomona Hotel(英文)

ファンガモモナ・ホテル
ホテルのカウンターに「パスポートオフィス」。2ニュージーランドドル(約160円)で、自分のパスポートにスタンプを押してもらえる
昔ながらの風情をそのまま残す館内。国交の象徴だろうか、さまざまな国の紙幣が壁に貼られているのも印象に残った
ビーフパティにベーコンやチーズなどをはさんだ「Whanga Burger」。飲み物はニュージーランドといえばコレ!の炭酸ドリンク「L&P」

廃線をカートや自転車で走る「フォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズ」

 さて、フォーゴットン・ワールド・ハイウェイには廃線となった鉄路が並走していることに何度か触れているが、次はこの廃線が舞台。ハイウェイの東端となるタウマルヌイに本拠を構える「フォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズ(Forgotten World Adventures)」が提供する、この廃線を使ったレールカートやレールバイクのアクティビティの体験だ。

 ざっくり説明すると、レールカートは電動カート。レールバイクは2人で協力して漕ぐローレーサーな自転車。いずれも鉄道の車輪が付いたもので、これらに乗って廃線を進めるというものだ。

 コースは所要時間や発着地別にいくつか用意されている。例えばレールカートであれば、タウマルヌイ発着で5つのトンネルを戻る3~3.5時間の往復コースで1人145ニュージーランドドル(約1万1600円)。片道でタウマルヌイからファンガモモナへ向かう約10時間の片道コースが1人295ニュージーランドドル(約2万3600円)など。先ほどファンガモモナの廃線上に置いてあったカートは、このアクティビティ用というわけだ。

 人力なので時間がかかるレールバイクは長距離のコースはなく、約4時間のコースが125ニュージーランドドル(約1万円)、約9時間のコースが195ニュージーランドドル(約1万5600円)。いずれもタウマルヌイを往復するものとなっている。

タウマルヌイにある「フォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズ」。廃線をカートや自転車で走るアクティビティを提供
事務所には廃線になる前に使われていた鉄道グッズが飾られている

 通常のコースは最低でも3~3.5時間かかる片道約32kmのプランとなるのだが、今回は時間の制約から、特別にトンネルを1つだけ通る片道約5kmの往復をレールカートで体験させてもらった。コース以外のサービス内容は基本的に変わらない。

 廃線上にカートやバイクが置いてあるスタート地点は、タウマルヌイのフォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズの事務所からクルマで10分足らず。同社のマイクロバスなどで送迎してもらえる。

バスでレールカート/レールバイクのスタート地点まで移動。途中、山火事の危険度を表わす標識も
レールカート/レールバイクが並ぶスタート地点

 スタート地点には、たくさんのレールカートとレールバイクが置いてある。せっかくの機会なのでレールバイクも少し試させてもらった。両手のレバーがギアとブレーキになっており、ギアはLowとHighの2段。ローレーサーなので線路と体が近いことから迫力もあり、体の動きがあるのはそれなりに楽しいのだが、これを4時間漕ぎ続けるのはなかなか体力がいりそうなアクティビティである。

 そんなわけで体力がなくても安心なレールカートを体験するのだが、運転席で操縦に必要なものはアクセル、ブレーキ、ハンドルだけ。鉄道車両と同じく、車輪の内側に脱線を防ぐフランジがあるので、実際に乗ってみるとハンドルも“手は添えるだけ”レベルでOK。走行中は、ちょっとカーブが急かな、と思ったらアクセルを緩める程度の操作で進むことができた。タウマルヌイ~ストラトフォード全区間には、しっかり減速してハンドル操作すべきな急カーブがあるのかもしれないが、少なくとも体力に関係なく楽しめるアクティビティである。

2人乗りのレールバイク。地面が近くで迫力がある
こちらが今回体験するレールカート。こちらも2人乗り
後部のトランクは、1日コースのときのランチボックスなどを入れる
運転席はハンドル、アクセル、ブレーキのみ

 いざ廃線を進み始めると、エンジンの振動なのか、鉄路の振動なのか、常にガタガタしていて、乗りものに乗っている感たっぷり。スピードはそれほど速くなく、おそらく自転車を全力で漕いだ方が速いだろうと思うぐらいのゆったりしたペースで進む。上述のとおり、運転にそれほど集中する必要がないので、美しい緑や牧歌的な雰囲気も存分に満喫できる。

 そして、トンネルもある。今回の体験ではタウマルヌイをスタートして最初のトンネルを1つだけ通るコースとなるが、実はこのトンネルが同路線最長となる1525mのトンネルとなる。シンとしたトンネル内は不気味でもあり、子供心をくすぐるものでもあり、景色のよい屋外走行とは違った魅力がある。カートのフロントウィンドウは開け閉めが可能なので、ひんやりとしたトンネル内の空気を受けて走るのも一興だ。

出発。前方の窓は開け閉めができ、これが開いている状態
おそらく時速15~20km程度だと思うが、小刻みな振動や本物のエンジンのおかげもあってスピード感は抜群
廃線感がたまらない線路
ときどき牛の姿も。さすがに線路に入ってくることはないそうだ
小さなトンネルも雰囲気たっぷり。少しひんやりしているのも気持ちよい

 転車台も面白い。レールカートにしてもレールバイクにしても運転席が片側しか向いていないため、復路の進行にあたって向きを変える必要がある。逆にいえば、往復でのプランの場合は向きが変えられる場所でないと反転できないとも言える。その反転を省スペースで行なうのが転車台の役割だ。

 ここの転車台は、線路に設置した回転する台へカートを乗せ、そこにカートを乗せた状態で、手作業で反転。反対を向いたカートを降ろすというもの。百聞は一見にしかずということで、ぜひ下記の写真と動画をご覧いただきたい。

転車台に乗せて手動で回転
1台目は反転したあとバックして奥で待機。2台目を反転させる
ちょっと脱線
ニュージーランドの廃線を走る「フォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズ」の転車台

 このフォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズは、例えば、木が生い茂った場所では森を切り裂いて進むような感覚を味わえたり、対向車もなにもいないなかで線路を独占しているような感覚を味わえたりと、得がたい体験をできた。ここに到着するまでに、フォーゴットン・ワールド・ハイウェイをクルマで走破してきたわけだが、クルマでのドライブとはまた違った視点で、この土地の自然や空気を感じられるお勧めのアクティビティだ。

フォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズ(Forgotten World Adventures)

Webサイト:Forgotten World Adventures(英文)

ニュージーランドの廃線を走る「フォーゴットン・ワールド・アドベンチャーズ」体験走行(※動画は早回しにしています)

次なる目的地、レイク・タウポへ

 さて、次なる目的地はこの日の宿泊地である「ヒルトン・レイク・タウポ(Hilton Lake Taupo)」だ。レイク・タウポ北東のタウポの街にあり、タウマルヌイからは110kmほどのドライブとなる。

 途中、国道41号を通ってレイク・タウポへ向かう最後の峠となるワイツヒ(Waituhi)峠で展望台の案内板を見つけたので立ち寄ってみた。やはりドライブ旅の身軽さがなせることである。

 レイク・タウポや、その南にあるトンガリロ国立公園の付近は活火山帯で、レイク・タウポ自体も火山の噴火でできたカルデラ湖だ。このワイツヒからは、レイク・タウポや、トンガリロ国立公園にある3つの火山(トンガリロ山、ナウルホエ山、ルアペフ山)を展望することができる。

 ……と思ったのだが、ここでもお天道様に見放され、湖や山は雲に隠れてよく分からない。「トンガリロの三つの山」は、この地方を訪れた場合は必見だと聞いていたのだが、この課題は翌日に持ち越しとなった。この日は残念な結果となったが、おそらく雲が晴れていれば素晴らしい眺望が広がっていそうな予感がするので、ここを通る機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてほしい。

道中で見つけたワイツヒ展望台
このあたりにトンガリロ国立公園の山々がある……ハズ
展望台からの眺め

 国道41号を使って西側からタウポの街にアプローチする場合、湖の南側をぐるっとまわって北東へと向かう。ニュー・プリマスの街を出たのが、この日の朝だったとは思えないほど景色は変わり、約300kmのドライブが終わるころには日もすっかり暮れていた。

 ヒルトン・レイク・タウポは、タウポの街の東寄り、小高い丘のうえに立っている。1889年に建てられたテラス・ホテルを前身としており。2009年からヒルトン・レイク・タウポとして営業を開始した。併せてテラス・ホテルの建物の横に、ニュー・ウィングと呼ばれる建物を増築、従来の建物をヘリテージ・ウィングと命名して区別している。

ヒルトン・レイク・タウポ。19世紀のレトロな雰囲気を残すヘリテージ・ウィング(写真提供:Hilton Lake Taupo)
こちらは隣に建てられたニューウィング
ニューウィングへ向かう通路。建物は新しいが、ヘリテージ・ウィングの雰囲気と統一感のあるおしゃれな造形

 部屋数は全113部屋で、記者が宿泊したのはもっとも部屋数が多い種別の一つである「ゲストルーム」。ニューウィングにある30m2の広さに、キングベッド(ツインの部屋もある)を備えた部屋だ。モダンな雰囲気ではあるが温もりのあるデザインで居心地がよい。

 バスタブとシャワーブースをそれぞれ備える広いバスルームが印象的で、さらにタオルウォーマーも装備。湖のアクティビティで濡れてしまったタオルや衣類を乾かすのに便利そうだ。

30m2の「ゲストルーム」
キングベッドのほかにツインの部屋もある
ベッド近くにライトのスイッチ。コンセントは特別に用意されていない
目覚ましラジオ
ワーキングデスクと、ソファ+テーブルを備える
コンセントはテレビの裏側に。形状はO型
フリーのコーヒーと紅茶を用意
バスタブとシャワーブースを備える広いバスルーム。タオルウォーマーが便利

 このほか、アパートメントタイプの部屋や、スイートも見学させてもらったので紹介しておきたい。

 アパートメントタイプは3ベッドルームが5部屋、1ベッドルームが19部屋。いずれもIHコンロや食洗機付きのシステムキッチン、グラスやお皿などの、フォーク&スプーンなどのカトラリーを備えている。湖畔のリゾートで長期滞在しようというファミリーなどにぴったりだろう。

 スイートはキングベッドが入ったジュニアスイートが19部屋、同じくキングベッドのリラクゼーションスイートが3部屋。後者はヘリテージ・ウィングのバルコニーを備えるのが大きな魅力だ。

ヒルトン・レイク・タウポ(Hilton Lake Taupo)

所在地:80 Napier-Taupo Highway, Taupo City
Webサイト:Hilton Lake Taupo(英文)

3ベッドルームアパートメント。キッチンなどの設備は1ベッドルームも同様に備える
1ベッドルームアパートメント
キングジュニアスイート
キングリラクゼーションスイート
プールやジム。深さ60cmと浅めのプールもある。ジムの横にはサウナも

 さて、到着した日の夜に利用した、ヒルトン・レイク・タウポに併設レストランも紹介しておく。「ビストロ・ラゴ(bistro LAGO)」というレストラン&バーで、朝食も提供している。

 火山帯らしい食事として温泉卵(63 degree egg)がメニューにあった。スイートなポテトチップスと一緒に口にすると、とてもあとを引く味に。

 ちなみに、メインは魚料理を中心にしているが、こちらでもラムやダックの料理は用意されている。ただ、肉料理が続いたので、少し変化を付けてみた。フィッシュ&チップスの魚は「タラキヒ」というニュージーランドでは一般的な白身魚。鱈のようでありながら、もう少し濃厚さのある美味しいお魚だった。

ヒルトン・レイク・タウポのレストラン「ビストロ・ラゴ(bistro LAGO)」
スイートコーンのリゾット
温泉卵(63 degree egg)
タラキヒのフィッシュ&チップス
キングサーモンとサフランオルゾー
ラム漬けのババと、ゴートチーズのアイスクリーム
フォンダンショコラやライ麦アイスなどをアレンジしたスイーツ

 このレイク・タウポ周辺が火山帯であることは先述のとおりだが、火山といえば温泉……とは短絡的ではあるが、実際にレイク・タウポ周辺では温泉が湧いており、先に紹介したような温泉卵のような料理もある。

 そして、ヒルトン・レイク・タウポには、「タウポ・デブレッツ・スパ・リゾート(Taupo DeBretts Hot Springs)」という温泉施設がある。日本のお風呂というよりは、見た目も雰囲気も温泉プールといった方が正しい。もちろん水着を着用する。

 朝8時30分から21時30分まで開いており、ウォータースライダーあり、夜はライトアップありと、“入浴”という雰囲気とはほど遠いのだが、温泉自体は正真正銘の本物で、安定的に供給できるよう温泉を2カ所の源泉から引き、水道水が入ることのないように冷却するなど手間をかけている。

 お湯の温度は37℃のプールと40℃のプールがありちょうどよい具合。1人で入れるプライベート・プールもあるので、ゆっくり浸かりたい人はそちらもよいだろう。

 通常料金は大人22ニュージーランドドル(約1760円、1ニュージーランドドル=約80円換算)。ヒルトン・レイク・タウポ宿泊者は17ニュージーランドドル(約1360円)で利用できる。

タウポ・デブレッツ・スパ・リゾート(Taupo DeBretts Hot Springs)

所在地:76 Napier-Taupo Highway, SH 5, Taupo, Taupo City
Webサイト:Taupo DeBretts Hot Springs(英文)

「タウポ・デブレッツ・スパ・リゾート」。メインの建物の脇から温泉プールへ向かう
夜間はまるでライブ会場かなにかのような派手なライトアップ
ウォータースライダー。オープンエアの滑り台(途中からトンネル)と、最初からトンネルをくぐっていくタイプの2種類がある
マッサージなどのスパも
プライベートプール
自販機などがある休憩コーナー
通常は非公開のエリアを特別に見せてもらった。源泉から引いてきたお湯を、まず噴水のようにして外気に触れさせて冷やしたあと、攪拌できるプールでさらに適切な温度に冷やしていく
本記事での移動ルート。実に300kmという長い道のりだが、自然豊かなニュージーランドを満喫できるルートだった

編集部:多和田新也