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【TRENZ 2017】急成長を見せるニュージーランド観光の商談会「TRENZ 2017」レポート(その3)
希少な野生生物からフィヨルドまで自然のダイナミズムを感じられる南島のスポット紹介
2017年9月11日 06:00
- 2017年5月9日~12日(現地時間) 開催
ニュージーランド最大の旅行業界の商談会「TRENZ」が、オークランドのクイーンズ・ワーフにあるThe CloudとShed 10で、5月9日~12日(現地時間)に開催された。ニュージーランド政府観光局によるツアーに参加して本イベントを取材した内容を紹介する。
本稿では、前回の北島のスポット紹介に引き続き、南島内の地方観光局や主要なランドオペレーターを中心に、各地のブースで聞いた見どころを紹介したい。南島はユネスコの世界自然遺産のフィヨルドランド国立公園やマウント・クック国立公園をはじめ、自然豊かなスポットが多い。
クイーンズタウン
クイーンズタウンは、ワカティプ湖(レイク・ワカティプ)の畔に位置する南島の主要都市の一つ。山々に囲まれ、四季の変化にも富んだ美しいリゾート地。周辺の山でのスキーやトレッキング、乗馬で山歩きを楽しむなど、アウトドアのアクティビティが豊富に揃っている。近隣のマウント・アスパイアリング国立公園でのトレッキングも人気だ。
観光地、リゾート地として人気を集めるエリアなので、ランドオペレーターが提供するツアーも多く、アクティビティには事欠かないエリアだ。
宿泊施設についても、5つのレジデンスなどの新規開業などにより、計950室の客室増が予定されているという。
Webサイト:Queenstown
オーバー・ザ・トップ・ヘリコプター
オーバー・ザ・トップ・ヘリコプターは創業から約30年のヘリコプター運航会社。クイーンズタウンを拠点に、ヘリコプターに乗って周辺の自然豊かな地へ行ける。世界自然遺産であるフィヨルドランド国立公園のなかでも特に人気を集めるミルフォード・サウンドや、マウントクック国立公園の氷河などへ行く人が多いという。ちなみに、クイーンズタウンからミルフォード・サウンドへはクルマだと6時間、ヘリコプターなら30分程度とのこと。
それぞれの目的地に降り立ったあとにエンジンを止めてくれるのが同社の売りであるという。コスト節約のためにエンジンをかけたまま、数分だけ氷河を見て、急いで帰るヘリコプター会社は多く、もっと安価に氷河などへ行けるヘリコプター会社もあるそうだが、例えば氷河であれば20分程度の時間をとって、周辺を散策する時間を設けるそうで、現地での体験を重視したい人に向いていそうだ。
また、標高4500フィート(約1370m)の山の上にパー3のゴルフコースを持っており、ヘリコプターで降りたって、1ホールだけの特別なゴルフを楽しむというツアーも用意している。クイーンズタウン周辺にはゴルフリゾートも多く、プラスアルファの贅沢な体験として利用する人が多いという。
このほか、電気バイクを一緒に運んで、体力に自信がない人でもマウンテンサイクルトレイルを楽しめるプランや、Side by sideという企業と提携して、ロシア製のサイドカー付きクラシックバイクで山間の道をノスタルジックに走り抜けるものなど、ヘリコプターの機動力を活かした珍しい体験を提供している。
Webサイト:Over the Top Helicopter
クライストチャーチ&カンタベリー地方
南島最大の空港であるクライストチャーチ国際空港を擁するカンタベリー地域。クライストチャーチは“ガーデンシティ”の愛称があるネオゴシック調の雰囲気が残る街。「サイン・オブ・キーウィ」や「モナベール」など、ガーデンを見ながら過ごせるカフェやレストランでのんびりと過ごす西洋的な滞在が人気を集める。
2011年の大地震で多数の建物が崩壊し、閉鎖を余儀なくなされたカフェやレストランなども多かったが、すでに大部分が再開。一方で、大地震で崩壊した建物の跡地が近代的な雰囲気へ生まれ変わっており、新旧入り交じったユニークな街になってきているという。
カンタベリー地方は、このクライストチャーチの街を中心にクルマでいろいろな場所へ行ける。例えば北へ1時間ほど進むと、ワイナリーや温泉などを楽しめるワイパラへ、さらに海沿いを北へ進むとシーフードを楽しめるカイコウラがある。
このほか、世界自然遺産のマウントクック国立公園の一部や、星空鑑賞を楽しめることで知られるテカポ湖(レイク・テカポ)などもカンタベリー地方に含まれており、クライストチャーチをベースにした場合は、クルマで3~4時間ほどのアクセスとなる。
Webサイト:Christchurch & Canterbury
ダニーデン/オタゴ半島周辺
ダニーデンはクライストチャーチから飛行機で約1時間、クイーンズタウンからクルマで3時間半ほどの場所にある、南島でもやや南寄りに位置する街だ。別記事(【TRENZ 2017】急成長を見せるニュージーランド観光の商談会「TRENZ 2017」レポート(その1)羽田線開設への期待からニュージーランド航空やオークランドが日本にフォーカス)でお伝えしたとおり、2018年のTRENZ開催地にも選ばれた。
1800年代中盤に入植がはじまり、その直後にゴールドラッシュが始まったことから、街中にはビクトリア朝時代の建物が残る。また、ニュージーランドで最初の大学であるオタゴ大学や、ニュージーランド唯一の“お城”である「ラーナック城」があるなど、歴史に彩られている。
ちょっと変化球な観光地は「ボルドウィン・ストリート」。普通の住宅街にある通りだが、ギネスブックに“世界一急な道”として登録されており、最大勾配35%という坂が続く。毎年7月にはチョコレート会社のキャドバリーが、多数のチョコレートをこの坂から転がす「キャドバリー・チョコレート・フェスティバル」も開催しており、1万5000人ほどの人が集まって盛り上がるという。
こうした街の歴史を楽しめるスポットのほか、東に広がるオタゴ半島は自然が豊かで、アホウドリ(アルバトロス)やブルーペンギン、イエローアイドペンギン、オットセイなどの野生動物、日本庭園を含むガーデンも多く、四季によってさまざまな風景を楽しめる。
Webサイト:Dunedin
ロイヤル・アルバトロス・センター
ダニーデンの東側に広がるオタゴ半島の先端に位置する「ロイヤル・アルバトロス・センター」は、その名のとおりアホウドリやブルーペンギンを観察できる施設。2017年で開設からちょうど50周年を迎える。
ダニーデンからクルマで30分ほどの距離で、人が住む土地でのアルバトロスのコロニー(集団繁殖地)は世界的にも珍しいという。9月から10月ごろにカップルが成立し、11月ごろから抱卵、年明けから孵化し、3月から5月ごろに飛ぶ練習をするヒナを見られるといい、1年をとおしてさまざまな姿を楽しむことができる。
ブルーペンギンも同地でコロニーを形成しており、いずれも近くの観察台まで行って見ることができる。ちなみに、ブルーペンギンの保護のため、コロニーで公式に写真撮影が認められているのは同地だけとのことだ。
観察台へ行くには、それぞれの観察ツアーに参加する必要がある。また、この場所は要塞跡地でもあることから、ロイヤル・アルバトロス・センターの地下には1860年代の砲台なども保存されており、それを見るツアーも用意されている。
ツアーはロイヤル・アルバトロス・センターのエントランスで申し込むもののほか、ダニーデンの街から出発するものもある。オタゴ半島内には美しい庭園もあるなど、ほかにも見どころがある。ダニーデンからレンタサイクルを借り、サイクリングを楽しみながら同地へ向かう人も多いという。
Webサイト:Royal Albatross Centre
モナーク・ワイルドライフ・クルーズ
モナーク・ワイルドライフ・クルーズは、オタゴ半島周辺で運航するクルーズ船の会社。上述のアホウドリやブルーペンギンのコロニーを海から観察できるほか、イルカやオットセイなどの野生生物にも出会える。船内にはWi-Fiも完備しているという。
ダニーデンの街から出る半日のツアーや、オタゴ半島の中腹部から出発する1時間ほどのツアーなど複数のプランを用意。半日のツアーでは、海からの眺めを楽しんだあとで、オタゴ半島内をバスで移動しラーナック城などを見物してまわる、半島観光も満喫できるものとなっている。
Webサイト:Monarch Wildlife Cruise
セントラル・オタゴ
セントラル・オタゴは、ダニーデンの西側の内陸部に広がる地域。起伏豊かな地形を活かしたトレイルコース、サイクリングコースが設定されており、特にサイクルトレイルがポピュラーなアクティビティだという。
また、地方の果樹園では、春にスモモやストーンフルーツなどの開花を楽しめるなど四季折々の風景を楽しめるほか、ワイナリーも充実。まだそれほど観光地化されていない地域とのことだが、ロッジや大型ホテルなどもあり、ユニークなニュージーランド旅をしたい人の新たなデスティネーションとして注目の土地だ。
Webサイト:Central Otago
レイク・ワナカ
オタゴ地方の北方、マウント・アスパイアリング国立公園の麓に位置するワナカ湖(レイク・ワナカ)は、近隣のクイーンズタウンのようにリゾート地として魅力の高いエリア。しかしながら、クイーンズタウンほど多くの人が集まることのない「Hidden Gems(隠れ家)」的なスポットで、湖周辺の木々が四季折々で色を変える様は非常に美しいものだという。
ウインタースポーツが盛んで、周辺には人気のスキー場が多数あるほか、マウント・アスパイアリング国立公園でのトレッキングを楽しむにも便利な土地。さらに、ワナカ空港は広大な山々を背景にした美しい情景のなかを飛行機が飛ぶ空港で、2年に1度開かれるエアショーが人気を集めている。
Webサイト:Wanaka
ワイタキ
カンタベリー地方とオタゴ地方の間に位置するワイタキ地域は、南島らしい自然豊かな地域で、海岸から内陸部まで見どころが広がる。海岸部では6500万年かけて形成されたという「モエラキ・ボールダー」という奇岩群が有名。中心都市のオアマルは、地元の石灰岩であるオアマルストーンを使ったビクトリア朝の建物が並ぶ。
内陸部は起伏に富んだ地形やワイタキ川などが美しく、1930年代に作られた「ワイタキ・ダム」の歴史や、内部見学が可能な「ベンモア・ダム」が注目のポイント。スキー場などのアウトドアアクティビティも豊富に揃っている。
サイクルトレイルも人気で、1日で終わるコースから、数日かけてマウントクックやレイク・テカポへと足を伸ばすコースなど、さまざまなプランから柔軟に選べるという。
Webサイト:Waitaki
ウエストコースト
その名のとおり南島の西海岸の大部分を占める縦長のエリアがウエストコースト。ウエストランド国立公園にあるフランツ・ジョセフ氷河や、フォックス氷河で知られ、付近のウォーキングが人気を集める。ウエストランド国立公園では現在、絶滅種のモアをテーマにした博物館を建設しているという。
これらの氷河には、クイーンズタウンやクライストチャーチを起点にして訪れる人も多く、クライストチャーチからウエストコーストの中心部であるグレイマウスへは、雄大な景色を楽しみながらの鉄道旅を楽しめる「トランツ・アルパイン」に乗って移動できる。そのウエストコーストのグレイマウスから北に走るグレート・コースト・ロードもまた、海岸沿いの美しい道路となっており、グレイマウスを拠点にしてドライブを楽しみながら地域を楽しむのもよさそうだ。
このほか、ニュージーランドで唯一、「ポウナム」と呼ばれるグリーンストーンが採れる地域で、この原石をグレイマウスなどの工房で加工。加工現場を見学できるツアーもあり、お土産としても魅力だ。
Webサイト:West Coast
フィヨルドランド
世界自然遺産のフィヨルドランド国立公園を擁する地域。10万年以上前の氷河が浸食して生まれた独特の地形を、遊覧飛行で空から楽しむツアーは人気だという。また、ミルフォード・サウンド、ダウトフル・サウンドといったフィヨルドへ行って散策を楽しむツアーも人気で、最も多くの人が訪れるのはミルフォード・サウンドながら、近年はより大きく、プライベート感のあるダウトフル・サウンドを訪れる人も増えているという。
同地域の中心的な街であるテ・アナウにあるフィヨルドランドシネマでは、同映画館でしか見られない、フィヨルドランド国立公園から撮影した30分ほどの映画を見ることができる。遊覧飛行や散策へ出かける前に見て予習するもよし、出かけたあとに見て実際に見られなかった部分を追体験するもよし、フィヨルドランド国立公園での体験をより高めてくれる映像作品なのだという。
このほか、テ・アナウを起点としたトレッキングも人気で、ニュージーランド政府の環境保全省が定めているトレッキングコース「グレートウォーク」の9コースのうち3コースがこの地にあるそうで、晴れの日、雨の日それぞれに楽しみ方を紹介したマップや、食事なども含めてすべてインクルーシブなガイド付きツアーも用意されているので、いろいろなことを心配せずに気軽に楽しめるよう配慮されている。
Webサイト:Fiordland
サウスランド
南島の南端部、つまりニュージーランドの最南端に位置するサウスラウンド。中心都市のインバーカーギルは宿泊施設も揃った過ごしやすい街だという。映画「世界最速のインディアン」でも知られるレコードホルダーのライダー、バート・モンローの出身地として知られ、彼のインディアン(バイク)も展示されている。
サウスランドで有名なのは、インバーカーギルの南方にあるブラフの街で採られる「ブラフ・オイスター」。秋から冬にかけての一時期のみ供される期間限定の牡蠣で、日本で食べる牡蠣に比べてクリーミィなのが特徴だ。毎年行なわれているオイスター・フェスティバルも人気で、2018年は5月28日に開かれる。このほかにも、ロブスターやアワビ、ムール貝など、シーフードに恵まれた土地だという。
このほかにも、1億8000年前の森が化石として残るキュリオ・ベイや、サイクルトレイルを楽しめる原生林、カツオドリのコロニーがあるなど野生生物の宝庫となっているナゲット・ポイント、フェリーや飛行機で渡れるキーウィに出会えるスチュアート島など、さまざまな魅力がコンパクトなエリアにまとまったエリアになっている。
Webサイト:Southland
キャンピングカーをレンタルしての旅も
最後に地域の紹介ではないが、ニュージーランド旅の一つの楽しみ方としてキャンピングカーのレンタルを紹介しておきたい。各地域の紹介でもクルマで数時間、といった紹介をしてきたが、その途中で気になるスポットに寄るなど、行動の自由度が高まることから、ニュージーランドではキャンピングカーを使っての旅が非常にメジャーとのことで、例えばブースを訪問したTHL Maui Britz Mighty Campervan Rentalsの話では、1日に3万7000名がニュージーランド国内をクルマで旅しているという。
車内にはキッチンや寝具類などが一通り揃った状態でレンタルでき、交通ルールも左側通行のニュージーランドでは、運転席も右側なので、日本に近い感覚で運転できる。クルマはすべてAT(オートマチック)車をレンタルしている。
同社は北島ではオークランド、南島ではクイーンズタウンとクライストチャーチと、主要空港がある3都市に営業所を構えている。緊急時のロードサービスにも24時間体制で対応してくれるという。