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「Airレジ カンファレンス 2015」開催。「Airペイメント」サービス開始も発表

「モバイル決済 for Airレジ」は、中国最大の決済アプリ「Alipay」に対応

2015年11月19日 開催

 リクルートライフスタイルは11月19日、リクルートペイメントと共に「Airレジ」と連携して使えるクレジットカード決済サービス「Airペイメント」の提供を開始した。併せて、東京渋谷区にあるセルリアンタワー東急ホテルで「Airレジ カンファレンス2015」を開催。本稿では、カンファレンスおよび、「Airペイメント」をはじめとした「Airレジ」関連のサービスについてお伝えする。

「Airレジ」は、小売業、飲食業などの各種サービス業で、スマートフォンやタブレットでレジ業務を行なえるクラウドレジアプリ。2013年11月19日にサービスを開始し、カンファレンスが行なわれた11月19日で、サービス開始からちょうど2周年となる。

カンファレンスが行なわれた東京渋谷区にあるセルリアンタワー東急ホテル
地下2階にある大宴会場「ボールルーム」で、カンファレンスが開催された
入場者のほとんどが、カンファレンス開始から入場していた
午前中の基調講演開始前、席はほぼ満席のにぎわい
「Airレジ」の2年間の歩みを振り返る、株式会社リクルートライフスタイル 執行役員の大宮英紀氏

 カンファレンス会場は開場直後、すでにサービスを利用している企業の担当者や、導入を検討している店舗経営者など、多くの参加者で賑わっていた。カンファレンスの皮切りとなる午前中に行なわれた基調講演では、リクルートライフスタイル執行役員の大宮英紀氏が登壇し、「Airレジ」の2年間の歩みを振り返った。

“店舗を取り巻くさまざまな煩わしさを解決したい”“自分らしいお店作りを支援したい”という思いから、“POSレジを再開発する”とスタートした「Airレジ」は、サービス開始から1年でアカウント数が10万を突破。現在は21万を越えているという。

 比較的安価だが機能が限られているレジスターや、高機能だが使い方が複雑で高額なPOSシステムと比較して、「Airレジ」は、“0円で誰でも使えるPOSレジアプリ”としてリリース。「注文入力と会計」「売り上げの管理」「予約の管理」「顧客の管理」「在庫の管理」「外部サービス連携」といった店舗の業務に必要な機能が備わっており、店舗の規模やサービス内容によって好きな機能から使い始めることができる。

 大宮氏は、「機能やサポートなど、まだまだ至らないところがたくさんあるが、一方でサービスを継続したいという利用者は99%になる。これからも自分らしいお店作りをお手伝いするパートナーとして、長年にわたり支援するサービスを作り続けていきます」と語った。

Airレジのアカウント数は、サービス開始から2年たった現在、21万以上という
Airレジは、従来のレジシステムに比べて、スマートで簡単だという
Airレジには、店舗の業務に必要な6つの機能が備わっている
いつでもどこでも、簡単に使えるなど、利便性の高いAirレジのポイント
さらに、無料で使えるうえ、税制や法改正に自動で対応する
Airレジを使うことで、今まで抱えていた店舗運営の問題も解消する
機能やサポートなど、至らないところはあるが、一方でサービスを継続したいという利用者は99%になるという

 5月にリリースされた店舗運営に役立つサービス提案サイト「Airマーケット」については、新たに5つのサービスと連携したことが発表された。今回連携したのは、「ジョブカン」「メリービズ」「クラウド給与計算ソフトfreee」「マイナンバー管理freee」と、11月19日からサービスが開始されたクレジットカード決済サービス「Airペイメント」。今後も連携サービスを増やしながら、幅広く店舗業務支援を行なっていくという。

店舗運営に役立つサービス提案サイト「Airマーケット」は、Airレジ、Airウェイト、Airリザーブのアカウントを持っていればすぐに申し込める
集客や会計、仕入れや雇用など、店舗が抱える課題に対して、業務支援を行なっている
11月19日に新たに5サービスが連携し、さらに幅広くサポートできるようになった

 また、増加する訪日外国人観光客、特に国別で見た場合に数や消費額で圧倒的な中国からの旅行客に対し、中国最大の決済アプリ「Alipay」と提携することを発表した。Alipayは2004年に誕生し、4億人以上の会員(市場の80%以上)を有している。

 中国からの観光客に対し、店舗情報の提供、会話、支払いの3つの柱が重要だとして、まずは「ホットペッパーグルメ」「ホットペッパービューティー」「じゃらん」などの、飲食、美容、旅行情報を中国語翻訳し、Alipay上に提供する。

 言葉の壁に関しては、多言語音声翻訳サービスを推進しているという。リクルートライフスタイルは「多言語音声翻訳の利活用に関する開発・実証」を総務省から受託している。このノウハウを新たなAirサービスとして、店舗従業員と旅行者のコミュニケーションを改善するサービスにしていくという。

 Alipayを使った支払いは、「モバイル決済 for Airレジ」アプリを使い、Airレジ会計画面でAlipay支払いを選択。利用者はAlipayアプリを立ち上げてQRコードを表示し、それを読み込むだけで決済が完了する。「モバイル決済 for Airレジ」単独でも利用可能となっている。「モバイル決済 for Airレジ」は12月1日からサービスが開始される。

 基調講演の後は、繁盛店のAirレジ活用方法や、Airウェイトでのインバウンド需要の取り込みといった、店舗ですぐに役立つセッションが3会場に分かれて展開された。参加者は各々、自分にとって必要な内容を選んで参加していた。会場内にはAirレジをはじめとした各サービスのデモも行なわれ、実際に操作しながらサービスを理解できるようになっていた。

増加する訪日外国人観光客の中でも、国別だと中国の消費額が圧倒的に高い
日本人1人が1年間通うのと、中国人観光客4.5人が来た消費額が同程度とのこと
Airレジは、中国最大の決済アプリ「Alipay」と提携する
飲食、美容、旅行情報を中国語翻訳し、Alipay上に提供していく
多言語音声翻訳サービスを推進し、店舗従業員と旅行者のコミュニケーションを改善していく
「モバイル決済 for Airレジ」を使い、Alipayを使った支払いにも対応する
Alipay対応は12月1日から、「LINE Pay」対応は2016年春を予定
カンファレンス会場には、実際にサービスを操作しながら相談できるブースも用意されていた

「Airレジ」

 Airレジは、高機能化・高額化が進んで導入費用がかさむ従来型のレジシステムに対し、初期費用、月額費用とも無料で利用でき、スマートフォンやタブレットで操作できるクラウドレジアプリ。現在のところ、すべての機能とサービスが無料で利用できるようになっている。実際に導入するにあたり、対応するキャッシュドロワーとレシートプリンタを購入する必要があるが、それでも合計5万円以内で収まるため、これから小売業を開業しようとしている人や、現在使っている旧式のレジスターから買い換えようとしている人には負担が少なく利用開始できるのが特徴だ。

 Airレジは、商品登録、会計入力、売上集計、レシート印刷、キャッシャー連携などの機能が利用可能。データを蓄積するクラウドはアカウントで管理するため、複数台の端末を用いて運用することもできる。ただし、レシートプリンタは端末とBluetooth接続となるため、各端末でレシートを発行する場合は端末台数分のレシートプリンタが必要。今後、分析や顧客管理などの機能を順次拡張してく予定という。

Airレジの予約管理画面。個室やテーブルなどの予約状況を確認できる
個室やテーブルごとに伝票を作成する
注文入力画面。商品やオプション、価格などはあらかじめ設定しておく
会計画面。クーポンや割引なども設定しておくと適用できる
現金の場合、会計するとプリンタとキャッシュドロワーが連動して動く仕組み
客数や売上など、リアルタイムでグラフ化されていく

「Airウェイト」

 2014年にリリースした「Airウェイト」は、順番待ち管理アプリとしてリリースされ、現在は受付管理アプリへと進化している。iPadにアプリをインストールしプリンタと接続することで、顧客の来店受付から番号券の発券、入店までの案内がデジタル管理でき、電話呼び出し、ネットでの待ち時間表示、混雑状況のリアルタイム表示、分析、外部ディスプレイ用表示などにも対応する。

 すでに世界遺産をはじめとする観光地や商業施設、家電量販店などに導入され、発見される番号表にクーポンを組み込むなど売上アップにも貢献している。

Airウェイトは、多くの施設や店舗で導入されている受付管理アプリ
用件ごとに、それぞれ待ち時間も表示される
自動音声を使って、電話呼び出しにも対応している
呼び出しをする電話番号の入力画面
受付を完了すると、証明書(受付番号)が発行される
新しい受付が完了すると、管理画面にアナウンスが入る
管理画面から、受付番号を元に呼び出しをかける
病院の待合室のような広い場所でも、外部ディスプレー出力を使って、大画面で順番待ちの状況や、呼び出しのお知らせを表示することもできる
証明書のQRコードを読み込むと、スマートフォンなどで順番待ちの状況が確認できる
Airウェイトは、待ち時間や処理人数などをグラフ化し、分析することも可能

「Airリザーブ」

 Airウエイトと同時にリリースされた「Airリザーブ」は、電話予約、直接来店、ネット予約を簡単でシンプルに管理できる予約管理システム。紙台帳のように、定員より多く予約を受けるなどの柔軟な対応ができるのが特徴。家電量販店、カーディーラー、銀行、旅行代理店、カードカウンター、薬局などですでに導入されている。

予約管理システム「Airリザーブ」の予約カレンダー画面
各予定をクリック(タップ)すると、各予約の詳細情報や予約者一覧が見られる
ユーザーから見た画面。管理画面と比べてややシンプルな表示
各予定から詳細情報を表示。内容や金額、予約に関する注意などが表示される
メールアドレスかリクルートIDで予約をする

「Airペイメント」

 アプリをインストールしたスマートフォンやタブレットと、決済端末(カードリーダ)をBluetoothで接続し、カード決済が可能となるサービスで、クレジットカードだけではなく、デビット、プリペイド、電子マネー、ポイント、コンタクトレス決済まで対応が可能となっている。決済端末の代金は9980円と、無料のアプリと合わせても導入費用を抑えられる。

 加盟店手数料は3.24%で、現在はVisaとMasterCardに対応している。また、入金サイクルは、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の口座の場合は5日ごと、月6回手数料無料で振り込みされる。その他金融機関の口座では、10日ごと、月3回手数料無料で振り込まれる。規模が小さい店舗にとって、短い入金サイクルは非常にありがたいだろう。

「Airペイメント」は、一般のクレジットカード決済と同様、金額と支払方法を入力後、カードの読み取りをする
Bluetooth接続された端末。これで暗証番号を入力するか、チェックボタン長押しでサインになる
サインする場合は、iPadの画面にサインする
承認が下りて支払いが完了
明細をプリンタで出力する。明細書ではなく、同様の内容をメールで送信することも可能
メールで明細を受け取る場合は、メールアドレスを入力してもらう

「モバイル決済 for Airレジ」

 客の提示する決済サービスのQRコードを読み込むだけで決済が完了する、モバイルペイメントサービス。12月1日のサービス開始時には、中国最大級の決済アプリ「Alipay」のみ利用可能。Airレジと連携することで、現金決済やクレジットカード決済と同様もモバイル決済を扱うことができるようになる。

 ディスプレイの表示は日本語、英語、中国語(簡体字)に対応しており、外国人旅行者に対応できるようになっている。2016年春には、「LINE Pay」にも対応する予定となっている。

「モバイル決済 for Airレジ」の画面。12月1日のサービス開始直後は、Alipayしか選択できない
ディスプレイの表示は日本語、英語、中国語(簡体字)に対応している
Alipayアプリを立ち上げると、ユーザーアカウントに紐付いたQRコードが表示される
「モバイル決済 for Airレジ」で、そのQRコードを読み取る
読み取りが完了すると、一瞬で決済が完了する

(政木 桂)