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GRAN 天空が真言密教の聖地・高野山を走る? 南海りんかんバス、BYDの電気バスを6台導入
2026年4月27日 16:30
- 2026年4月24日 開始
南海りんかんバスは4月24日、高野山営業所管内に導入した大型路線タイプの電気バス「BYD K8 2.0」の運行を開始した。これは同日運行を開始した南海電鉄の新観光列車「GRAN 天空」に合わせたもので、外観も同様に深紅をベースに金色でシャクナゲなどを描いたデザインで統一している。
同社では40台のバスを保有しており、本社のある橋本営業所に20台、高野山駅前にある高野山営業所に20台を配備する。このうち高野山営業所の約3分の1となる6台がK8に置き換え(和歌山230あ581~586)となった。
当初、ドライバーからは導入に否定的な声も上がったというが、実際に運転してみてからはおおむね好意的だという。当日、ドライバーに話を聞いたところ「操作系が異なるので若干とまどった」「ついクラッチを踏んでしまいそうになる」といったとまどいはあるものの、「運転がラク」との声が多く、また「ドアの開閉などがとてもスムーズ」といった声も聞かれた。
電気バスの導入に伴い、高野山駅前に50kWでの充電が可能な充電器を整備した。この路線は1日の走行距離が100kmほどなので営業中に充電することはなく、営業終了後に充電するスケジュール。なお、同エリアは和歌山県による5段階の環境規制のうち2番目に厳しい設定となっており、その設置にも行政との協議が必要だったそうだ。結果、本体やケーブルまわりも茶色のカラーリングで統一している。
ちなみに、BYDの電気バスは2015年の初導入から今回で日本導入500台目(和歌山230あ585)を数えている。
BYD K8 2.0 2ドア都市型80人乗り(客席26席)
サイズ: 10500×2495×3270mm(全長×全幅×全高)
ホイールベース: 5300mm
最高速度: 70km/h
最大登坂勾配: 15%
一走行充電距離: 240km
定格出力: 150(75×2)kW
最大出力: 200(100×2)kW
バッテリー種類: リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
バッテリー容量: 314kW
バッテリー受電能力: <90kW(CHAdeMO)
高野山で公共交通機関を利用するのはインバウンドが大半
高野山は年間約140万人(令和7年度)の参拝客および観光客が訪れる人気のスポット。ただ、日本人は乗用車の利用がほとんどで、電車やバスなど公共交通機関はインバウンドが大半を占めるという。
GRAN 天空を利用した高野山への移動例
GRAN 天空1号: なんば(09時00分)~極楽橋(10時30分)
高野山ケーブル: 極楽橋(10時42分)~高野山(10時47分)
南海りんかんバス: 高野山(10時53分)~奥の院など
営業初日となる4月24日は初便からK8の運行を開始。羽佐の早い時間帯の主な乗客となる通学の小学生にはおおむね好評だったとのこと。一方、期待したGRAN 天空からの乗客は数えるほどにとどまった。
というのも、当日はGRAN 天空の運行初日で、さらに初便とあって列車に乗る目的の乗客が多かったうえ、高野山駅から観光バスを利用する団体も入っていた。ちなみにGRAN 天空の定員は70名なので全員がバスに乗り換えても1台でまかなうことが可能だが、乗り切れない場合は臨時の続行便を運行するとのこと。実際、それ以外の時間帯にも臨時便を見かけたので、乗客数に応じて柔軟に対応しているようだ。
ともあれ、10時53分発の奥の院行きはそれ以前のケーブルカーで来ていた乗客を含め、8割程度の乗車率で定刻に発車。最初に停留所となる「大門」まではワインディングを、そこから終点までは高野山の街中を、最高30km/hほどでゆっくりと走る。
静かでエンジンの振動がなく、排気ガスのにおいもしないのはEVならではといったところ。また、アップダウンが比較的ありつつも、速度を出すシチュエーションがまったくないのもEV向きのエリアといえそう。快適な空間で奥の院まで移動することができた。
その帰路、普通のエンジンバスに乗ることになったが、今までは「こんなもの」だと思っていた音や振動がうるさく感じてしまった。すべての路線バスを電気バスにするのは現実的ではないけれど、ここ高野山はベストな環境と思える。新たに登場した高野山の電気バス。高野山巡りの足として活用してみてほしい。
静かな電気バスで信仰の聖地である高野山の雰囲気を維持
南海りんかんバス 取締役社長の和田純一氏は、電気バス導入の経緯を「二酸化炭素を出さない電気バスを導入することで信仰の聖地である高野山の雰囲気維持につながる」ことに加え、「南海グループの沿線では一番の観光地であることから、環境経営をPRするのに最適」とコメントする。
BYD製の電気バスを選択した点については、グループ内で採用実績があることと航続距離、そして冬季は-15℃にもなる環境を挙げた。
まず、採用実績の点では2023年からK8およびJ6などの電気バスをグループで導入しており、日常のメンテナンスや整備といったハードルはクリア済み。また、エンジンレスであるためコスト面でも有利だという。
航続距離に関してはメインの運行経路である高野山駅~奥の院前が往復約14kmで、同ルートを基本7往復するのが通常の運行形態。1日の走行距離は約100kmほどと少なく、アップダウンが若干あるものの、カタログ値としても240kmの一走行充電距離があれば十分。実際、一往復でバッテリー残量は5%程度しか減らないそうだ。
極低温下での運用についても北海道や東北エリアでの実績があることから問題ないと判断。「高野山は独特の街並みが残っているので、静かな車内から(街並みの素晴らしさを)堪能していただける」とEVバスのならではのメリットを強調した。
BYD Auto Japan 執行役員 副社長の石井澄人氏は、「高野山は1200年前に空海が作ったところですけども、世界の最先端(の仏教国)である中国に行って学んで日本に帰ってきて、というところに親しいものを感じる」と述べるとともに「本当に静かなところで、祈りの地のなかで使っていただけるのは我々にとってもうれしい」と感謝を述べた。























































