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南海電鉄の新たな観光列車「GRAN天空」を見てきた。輝く羅針盤のエンブレム、深紅のボディカラーでなんば駅~極楽橋駅を運行
2026年2月16日 16:43
- 2026年2月16日 公開
南海電鉄は2月16日、千代田工場において新たな観光列車「GRAN天空」の外観を報道公開した。
GRAN天空は2009年から運行してきた観光列車「天空」の後継車両と位置づけるもの。なんば駅から高野山最寄りの終点・極楽橋駅までを結び、“移動そのものが旅の目的になる”ような観光列車を目指して作られた。
現在の「天空」は4両編成のうち2両を観光列車とし、一般車両2両を併結して運行しているが、GRAN天空は1編成4両が観光列車だ。企画にあたっては、単なる移動手段ではなく、高品質でゆったりとした旅を楽しめる上質な内装と、デザインや提供する料理などの散りばめられた沿線の魅力(自然、伝統・文化、食)を通じて、列車に乗る人々に特別な空間と時間として記憶してもらえることを目的としている。
GRAN天空のプロジェクトは2022年7月にスタートしており、まずサービスの方向性を策定。次いでコンセプト、デザイン、列車名(社内公募)、飲食メニュー、そして外観のデザインが決定し、製作が進められてきた。車両は新造ではなく、1990年から製造された南海2000系電車の最初の1編成を改装したもの。当初は新造とする案もあったが、2000系車両の床下機器の更新の時期でもあり、その工事とあわせて改造したという。
ベースカラーは落ち着きのある深紅。この赤の選定に際しては細かく試行錯誤を繰り返したという。また、外観デザインも、社外のデザイナーと何度も協議を重ねて作り込んでいったとのこと。筆者の個人の感想では、現在の天空の持つレトロな雰囲気と緑も好印象だが、GRAN天空はより上品に、より優美に仕上がっていると感じた。
貫通扉には、“南海沿線への旅の広がり”を表現した大きなエンブレムを取り付けている。全体のモチーフは羅針盤で、中央から伸びる針のアルファベットはそれぞれ「難波」「関西空港」「和歌山」「高野山」を表現した。羅針盤を取り囲む12の三角形は時計(時間)を表わしたものだ。
また、車体にはワンポイントで黒を配し、沿線に咲く草花などをモチーフにした装飾をゴールドで描いている。3号車の山側(東側)は窓がなく、キュリオシティマークを大きくあしらって旅人の好奇心を表わしているという。
内観、食事
なお、内装については現時点で完成しておらず、公開していない。
GRAN天空の終点である極楽橋は、俗世と聖域(高野山)を分ける場所だと言い伝えられており、その道中である列車内は俗世にあたる。聖域とは対極な俗世を体験するとの観点から、内装はラグジュアリーなテイストを重視したデザインになるという。
特に3号車、4号車はアーバンハイクラスのホテルのロビーラウンジのような重厚感と落ち着きを追求し、高級ホテルのように上品で洗練された空間に仕上げるという。
食事は、沿線に店を構えるレストラン「Genji」の元川篤シェフ監修のものを提供する。元川シェフは“絶対味覚”の持ち主と称され、Genjiでは和洋中の枠にとらわれない多彩な創作料理を提供している。GRAN天空では、運行時間に応じてモーニング、ランチ、アフタヌーンティーとメニューを分ける。2026年春・夏メニューは、河内鴨や泉州蛸、地元の野菜など沿線地域の食材をふんだんに使用した創作料理としている。
開発担当者インタビュー
今回の外観公開にあたり、南海電鉄 運輸車両部でGRAN天空プロジェクトに関わった4名の担当者が記者の質問に答えた。
計画担当の赤阪真理子上級主任は、今回公開した外観について、高野山の象徴的な建造物の大門が赤色であることなどから、車両全体を赤色にすることに決まったと話す。ただ、他社線では同様の色合いの観光列車も複数存在することから、それらと色がかぶらないように、また極楽橋駅周辺の深い山にも違和感のない色合いに試行錯誤を重ねて仕上げたという。今の気持ちを尋ねると、「多くのお客さまが笑顔で乗ってくださる姿を想像してワクワクしています」と述べた。
同じく計画担当の久保園隆祥課長補佐によると、GRAN天空計画の当初には車両を新造する案もあったという。しかし、高野線仕様ともいえる2000系電車が製造から35年を経過し機器更新のタイミングに差し掛かっていたことで、それらの工事とあわせて改造することに決定したようだ。通勤型車両からの改造のため制約も多かったそうだが、なにより通勤車らしさをなくすことに苦労したとのこと。例えば前照灯は、運転台の下に四角いものが4灯ついていたが、これを丸形にして運転台の上に設置している。これによって見た目の印象がガラリとかわり、真新しさも感じる。
営業担当の森椎菜主任は、天空では山間部の渓谷側の眺望が好評なことから、GRAN天空では2号車の渓谷側は窓を向いた座席としていると明かした。また飲食物の提供については、南海電鉄では近年行なっていなかったことから、現在は他社などにヒアリングを行ないノウハウを蓄積している段階にあるとのこと。高野山は国内外の観光客から人気の高いエリアであり、より多くの人に、南海電鉄ならではのデザインや沿線の食とともに高野山への移動の時間を楽しんでもらえるよう、プライドをもってGRAN天空を作りあげていきたいと話した。
同じく営業担当の才津慎司課長補佐は、天空の予約は電話のみでインバウンドにとってハードルが高いなど現状の課題に触れ、予約方法の見直しなどにより多くの人が利用しやすくする方法を模索していると述べた。食事のメニューにも外国表記を加えるなど、細かいところまで配慮するという。また、GRAN天空の運行開始にあたり、高野町や金剛峯寺とも調整して、地域のにぎわいにもつなげていきたいとのこと。「GRAN天空が成功すれば、個人的にはまた新たな観光列車に関わりたいですね」と笑顔で答えた。
現時点で内装はまだ完成していないが、赤阪氏によると、こちらはラグジュアリーなホテルのようなイメージで、職人の手による一点物の調度品など、南海沿線の特産物や伝統をふんだんに取り込んだものになるとのこと。また、料金も観光列車としては比較的リーズなものになるそう。水曜、第2・4木曜を除く平日も運行、1日2往復する予定で、遠方からの観光客はもちろん、京阪神地域の人でも近場で気軽に楽しめる観光列車になりそうだ。














































