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名古屋の町をゆったり、ぐるり! BRTならぬ「SRT」に試乗してみた
2026年2月6日 21:03
リニア中央新幹線の乗り入れに向けた再開発が相次ぐ名古屋市で、中心部をゆっくり、ゆったりと駆け抜ける連接バス「SRT」が、まもなく登場する。
Smart Roadway Transit(スマート・ロードウェイ・トランジット)を略したSRTは、名古屋の中心部・栄から広小路通りに入り、JR名古屋駅駅エリアをぐるっとまわって、1周40分で戻ってくる。
使用車両は、メルセデス・ベンツの「シターロG」。首都圏でも京成バスなどでよく見る連接車両だが、普通の連接バスやBRTと、何が違うのか? 乗り込んでみたところ……今までの連接バスやBRTよりも快適、かつワクワクする仕掛けがあるバスのようだ。
2月13日の運行開始を前に、報道向けに行なわれたSRT試乗会に足を運び、実際に乗り込んでみた。
シターロなのに座席少なめ、カウンターとXR技術の広い窓付き?
SRTで使われるシターロGは、席数35席の定員122名。もともとシターロGは通常の路線バス車両よりも5cmほど広いうえに、千葉県・幕張などを走行するシタ―ロよりも座席数が少ないこともあって、車内の空間もゆったりしている。
後方車両にはテーブル付きの4人掛け車両があり、前方車両のコンセント付きカウンターからは、名古屋の街並みをたっぷりと見渡すことができる。車内のデザインもシックで、よく見ると床や降車ボタンも変わったデザインに変わっている。同じ連接バス車両でも、車内デザインの芸が細かい。
もう1つの特徴はXR技術(拡張現実)の「MOOX-RIDE」による車内案内モニターの導入だ。
車両の前に1枚、後ろには1枚の広いバス窓(透明なディスプレイ)があり、ここにトヨタ紡織のXR技術を駆使して、停車場所が近づけば停車案内を、空き時間があれば観光案内や、味噌カツなどの「名古屋メシ」を映し出す。景色を楽しみながら、名古屋ならでは、SRTならではのコンテンツを楽しめるのだ。
なおトヨタ紡織の担当の方によると、後ろの景色が見える状態を保ちながら、画像を重ねて映し出す明るさを設定する難しさもあったそうだ。
そして名古屋駅エリアなどでは、名古屋国際工科専門職大学が考案したキャラクター「さとるくん」(声:ずんだもん・青山龍星)が、かわいく跳ね回る。このキャラクターやデザインは授業やゼミなどでコンペのうえで決めたそうで、デザインに関わった工科学部・情報工学科学生たちは「快適なSRTにまた乗ってさとるくんを見にみたい」と声を弾ませた。
将来的には動画広告などもこの窓で流し、収入源となることも期待しているという。2025年は大阪・関西万博の「デジタルコンテンツバス(The XR RIDE)」でも話題となったトヨタ紡織のXR技術は、本拠地・愛知県での実用化によって、さらにバス業界で世に知られることとなるだろう。
栄から名駅、また栄へ。乗っているだけで楽しいバス「SRT」
さて、いざ出発! BRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)のように専用道こそ走らないものの、名駅(名古屋駅)、納屋橋、本町通、栄の4エリアに発着地点を絞っているせいか、車内はゆったり快適。ペットボトルをカウンターに置いても崩れないほどに、車内は揺れることなく静かだった。
車内から見えるのは、名古屋テレビ塔(中部電力 MIRAI TOWER)、JRセントラルタワーズ、JRゲートタワー、大名古屋ビルヂングなど。4人掛け座席の座り心地もよく、SRTは「そこそこ高速に快適に、移動を楽しみながら景色を見て過ごせる」連接バス、という位置づけなのだろう。
そして各バス停もカフェのような椅子と屋根が設置され、まさにカフェテラスのようなバス停がいくつか設けられるという。現在は各停留所とも工事中だが、いずれコーヒーを飲みながらゆったりバスを待てるようになるだろう。
名古屋市では、今後ともSRTの路線を拡張する方針で、9月に開催される「アジアパラ競技大会」をめどに、大須や名古屋城周辺を含めた「周回ルート」の実現を目指しているという。運賃は1乗車210円で市営バスと変わらず、乗車すること自体がワクワクするような観光資源として、SRTは機能することになりそうだ。
いつもと変わりない名古屋の車窓を、快適でゆったりした車内と、XR技術で楽しみつくす。そんなSRTの本格運行開始は2月13日。今後に期待したい。
































