ニュース
踊りから海上花火、巨大護衛艦まで! 真夏の清水みなと祭りを楽しんできた
2025年8月6日 14:00
「清水みなと祭り」は、静岡市清水区で毎年8月最初の金・土・日曜に開催している夏祭り。港かっぽれ総おどり、清水ゆかた踊りといった市民参加型の催しと、港湾施設での催事、自衛隊や海上保安庁、警察の装備などを見学できる「マリンフェスタ」、さらに最終日の海上花火大会がひとまとめになった大規模なものだ。
筆者は、大学生時代の親友が清水区(当時は清水市)出身であったことから、かれこれ30年間、ほぼ毎年友人を訪ねるついでに清水みなと祭りを見学している。例年、陸海空自衛隊が全面協力しており、清水港日の出埠頭には海自の護衛艦が寄港し一般公開、陸自の車輌が展示され、空自の航空機が上空を飛行する。過去にはブルーインパルスも展示飛行した実績がある。また、海上保安庁も清水港を母港とする巡視船艇を、静岡県警もパトカーや白バイをそれぞれ公開している。
ミリオタの筆者はこれらを目当てに来ているが、静岡鉄道新清水駅が徒歩圏内で交通の便がよいこと、会場直近に大きな商業施設があり休憩や食事に不便がないこと、海上花火大会の内容が豪華なわりに(ほかの花火イベントより)比較的空いていることなどから、祭りを気軽に楽しめると思っている。
そこで今回は、第76回清水みなと祭り(2025年8月1日~3日)のうち、8月2日と3日に行ってきたのでその魅力をお伝えしたいと思う。
8月2日、マリンフェスタ1日目。自衛隊装備、海保巡視船を見学
前述のとおり、筆者のお目当ては自衛隊の車輌や艦艇の公開。今年は海自の護衛艦「ひゅうが」や陸自の16式(ひとろくしき)機動戦闘車、通称MCV、12式(ひとにしき)地対艦誘導弾が展示され、上空を空自の戦闘機も飛ぶと聞き、楽しみにしていた。蛇足だが、陸自と海自で数字の呼び方に違いがあり、陸自では2を「に」、海自では「ふた」と呼ぶ。時刻も、12時ちょうどなら陸自「ひとにいまるまる」、海自「ひとふたまるまる」となる。
「ひゅうが」は前日夕方に入港済み。マリンフェスタ1日目は早朝にMCVの搬入があるとのことで、清水区内の一般道路を走る様子を撮るために6時前には会場付近にいた。また、MCVや「ひゅうが」の公開は9時からだが、会場は締め切られているわけでもなく展示に向けた準備を見ることも可能。手持ち無沙汰な隊員たちからもさまざまな話が聞けた。いよいよすることがなくなって、「ひゅうが」の艦内見学の列には8時ごろから並んだが、本来はもう少しあとに来た方が並ばずに見学できる。艦載ヘリコプターやラッパ演奏展示、CIWS(自艦に接近するミサイルを撃墜するための近接防御兵器)がぐりんぐりん動いている展示を見て、1時間ほどで退艦した。
港かっぽれ総おどり
清水みなと祭りは、終戦直後の1947年に戦後復興を勢いづけようとして始まったという。1974年の七夕豪雨の被災、2020年、2021年と新型コロナウイルス蔓延防止のため中断されたものの、地元清水の市民や経済団体などの支持を受けて毎年盛大に開催され、今年で76回を数える。
1976年に市民らによる「総おどり」が誕生し、新清水駅前のさつき通りを使って踊る現在の形が完成した。1987年には宇崎竜童氏作詞作曲の「港かっぽれ、KAPPOREFUNK」が登場。日本の伝統的な踊りとロックの融合は当時大きな話題となり、同様のお祭りが全国に広がるきっかけとなったという。その後も「かっぽれエイサー」「かっぽれ・フラメンコ」など新曲が発表され、現在の総おどりにはかっぽれシリーズ5曲と伝統的な地踊りから3曲が使われている。
今年の総おどりは8月1日と2日の日没ごろから21時まで行なわれ、中央ゾーン、港橋ゾーン、地踊衆ゾーン(8月1日のみ)に分かれて踊った。主催者によると2日間で250団体約1万人が参加したという。
清水みなと祭り、マリンフェスタ2日目。空自飛行展示、海上花火大会を堪能
8月3日、清水みなと祭り、マリンフェスタの最終日。この日も早朝から日の出埠頭に行ってみた。ちょうど陸自の12式地対艦誘導弾システムの発射機が到着し、展示の準備をはじめていた。前日に続いて「ひゅうが」や、本日やってきた陸自車輌、警察車輌などを見学し、早めにエスパルスドリームプラザで昼食に海鮮丼、夕食代わりに唐揚げパックを購入した。
13時に航空自衛隊のT-7練習機、T-4練習機、F-2戦闘機が飛来して会場上空を飛行した。T-7は静浜基地(吉田町)、T-4は浜松基地(浜松市)と、ともに静岡県内に基地があり、マリンフェスタでの常連。それに加えて今年は岐阜基地(各務原市)からF-2戦闘機が飛来し、会場上空でアフターバーナーを使用して旋回した。花火を除けばこの日最も大きな音が会場に轟いた。
その後、外国からの客船到着時にはターミナルにも税関施設にもなる清水マリンターミナルのバルコニーでまったり。午後は日陰になり、海風も入るので35℃超の気温でも過ごしやすい。マリンフェスタとしての行事は「ひゅうが」の出港で終了し、夜の花火のためにいったん会場を閉鎖する。これによって、迷惑な場所取りやそれに伴うトラブルを防いでいる。
筆者も「ひゅうが」の出港を見送り、いったん会場近くの駐車場に停めたクルマに戻り三脚やレリーズを持ってきた。ちなみに最寄り駐車場は会場花火会場から200mほどで、駐車料金は青天井だし花火大会終了後1時間は出口が閉鎖されているが、荷物が多い場合や帰りを急がない場合などに非常に便利だ。
観客の入場は17時30分からで、18時過ぎからは太鼓の演奏や、清水次郎長一家に扮した一般公募の役者が踊りや口上を披露する「次郎長道中」、清水港ではたらく船舶の海上パレードなどがあり、花火大会開始までの時間も楽しめるように工夫されていた。
清水みなと祭りのフィナーレを締めくくる海上花火大会は、1万発の花火を60分で打ち上げるためテンポのよさやその贅沢感もウリの一つ。第90回全国花火競技大会(大曲花火)で優秀賞、2016年世界花火師競技会優勝のイケブン(藤枝市)がプロデュースするもので、この海上花火がフランスの花火関係者や文化芸術の専門家から高く評価され、本年8月15日にフランスで開催の「カンヌ花火芸術祭」で日本を代表して出場することが決定している。なお、イケブンは水色、淡いピンクなどのパステルカラーの花火を作り上げた企業であり、今回は子供たちのアイデアをもとにした「富士山」「みかん」「おにぎり」などの花火を打ち上げている。
今年の清水みなと祭りもまったりと楽しめた。個人的には、最近は炎天下に“並ばない(はずの)万博”で並びまくっているので、まったく並ぶことなく、日陰や商業施設にすぐ逃げ込んで涼を取れる清水みなと祭りが快適過ぎた。めずらしい色の花火も見られて、海上花火大会も満足した。来年もまた、ほかに用事がない限りはぜひ訪れたいと思う。
















































































