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ANA、新自動チェックイン機を松山空港で運用開始

自動発券機、チェックイン、マイルの登録などを1台に

2015年10月5日 運用開始

松山空港に導入されたANA新自動チェックイン機と、会見に駆けつけた愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」

 ANA(全日本空輸)は、チケットの購入からチェックイン、マイルの登録、予約変更、領収書の発行などが行える新自動チェックイン機を、10月5日から松山空港で運用開始した。

 従来は、チケットの購入は自動発券機、チェックインは自動チェックイン機、マイルの登録はマイル登録機というように、それぞれ個別の機械で手続きを行なう必要があったのに加え、一部手続きは有人カウンターで行なう必要があった。

 それに対し、今回導入された新自動チェックイン機は、1台でそれら全ての手続が行えるようになっている。これまでの自動チェックイン機同様に、搭乗チェックインが行えるのはもちろん、欠航や遅延時の予約変更や払い戻し、欠航・遅延証明書の発行、チェックイン済みチケットの座席変更、マイル登録、領収書発行、新株主優待券の取り扱い、国際線航空券を持っている乗客の国内線区間のチェックイン、といった手続きが新たに利用可能となる。なお、10月5日から新たに追加で利用可能となった手続きは、マイル登録、領収書発行、新株主優待券の取り扱いのみとなっており、欠航や遅延時などの予約変更や払い戻し、欠航・遅延証明書の発行、チェックイン済みチケットの座席変更、国際線航空券を持っている乗客の国内線区間のチェックインについては、2015年冬より利用可能となる予定だ。

 また、操作性を高めるために、操作画面のサイズを従来の17インチから19インチに拡大するとともに、画面のメニュー構成も、現在の手続きの状況がひと目で分かるように変更。加えて、従来まで日本語と英語のみの対応だったのが、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語が追加され4ヶ国5言語に増加。言語変更時には、画面表示の言語だけでなく音声案内の言語も合わせて変更される。

全国に先駈けて新自動チェックイン機の運用が開始された松山空港
ANAの新自動チェックイン機。全4台が設置され、10月5日初便から運用が開始された
操作画面が従来の17インチから19インチに大型化し、操作性を向上
画面下部には、eチケットのバーコードリーダーやカード挿入口、テンキー、電子マネーリーダー、搭乗券受取口などを用意
日本語、英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語の4ヶ国5言語に対応
英語表記
中国語繁体字表記
中国語簡体字表記
韓国語表記
全日本空輸株式会社 松山支店支店長 山村宗氏

 今回の新自動チェックイン機の松山空港での運用開始に合わせ、松山空港でお披露目会を開催し、ANA松山支店支店長の山村宗氏が次のように挨拶を行なった。

 「ANAは、空港を簡単・便利にしようということで、1986年に初めて空港に自動チェックイン機を導入しました。また2006年には、ご好評を頂いております”SKiPサービス”の導入を、ここ松山空港から開始いたしました。それから8年、開発期間約1年半を経て、今回新自動チェックイン機を同じ松山空港でお披露目できることを嬉しく思っております。

 新自動チェックイン機の開発には、3つのポイントがありました。1つめは、画面の視認性を向上させること。2つめは機能を向上させること。そして3つめは、訪日外国人観光客の増加に合わせて、よりグローバルな対応を行なうことです。画面の視認性に関しては、従来17インチだった画面を19インチに拡大しました。これによって、シニアの皆様にも使いやすくなっています。機能に関しては、欠航や遅延といったイレギュラー時に簡単に予約の変更や解約・払い戻しを簡単に行えるようにしたり、マイルの登録、領収書の発行など、充実させています。さらにグローバル化ということで、従来まで日本語と英語の2カ国語対応だったのに対し、中国語(繁体字と簡体字)と韓国語を加えた4ヶ国5言語に拡充しております。

 合わせて、空港カウンター上にある案内表示板もリニューアルしました。このような、よりわかりやすい空港作りを今後とも心がけていきたいと考えております。このたび、松山空港で(新自動チェックイン機の)全国初のお披露目となります。松山空港は、ANAにとってその規模や多様なお客様のご利用、自動チェックイン機ご利用頻度などから、モデル空港となっております。前回の『スキップサービス』に続いて新自動チェックイン機を全国に先駈けて松山空港でお披露目させていただきますので、ぜひ多くのお客様にご利用いただければと思います。今後ともANAは、安全を基板に、皆様に簡単で便利、わかりやすい空港サービスをお届けしていきたいと思います。」

 山村氏が触れていたように、全国に先駈けて松山空港でお披露目されるサービスとしては、今回の新自動チェックイン機が2006年のスキップサービス導入に続いて2例目となる。松山空港が選ばれた理由としては、幹線路線を擁する主幹空港ではないものの、それに続く最も巨大な空港であること、多くの都市と路線が結ばれていること、ビジネス客の割合が高いことなどを挙げている。松山空港には、従来は自動券売機が2台、自動チェックイン機が4台設置されていたが、それらが今回新自動チェックイン機4台に置き換えられた。また、搭乗ゲート手前にはマイル登録機が設置されているが、そちらについても今回導入された新自動チェックイン機に置き換わるという。

 チェックインは、印刷されたeチケット控えのバーコードをバーコードリーダーにかざすか、IC対応マイレージカードや、クレジットカード、IC登録済み携帯電話・スマートフォンをタッチすること、10桁の確認番号の入力などで行なえる。

 新自動チェックイン機でのチェックインの流れは、まずはじめに画面で言語を選択。その後、バーコードなどをリーダーかざすと画面に搭乗者名が表示されるので、確認ボタンを押す。次に、フライト情報が表示されるので、こちらも間違いがなければ確認ボタンを押して先に進む。また、ここで便の変更やプレミアムクラスへのアップグレードなども行える。続いて、座席の確認や変更を行い、搭乗券の発券へと進むことになる。ここでは、同時に領収書の発行やマイレージ番号の登録なども可能だ。その後、本体左下の発券口から搭乗券や領収書が発券され、手続き完了となる。

新自動チェックイン機でのチェックイン手続きの流れ
新自動チェックイン機にeチケット控えのバーコードやIC対応マイレージカードなどをかざす
バーコードリーダーやICカードリーダーは画面下部に用意
IC登録済みの携帯電話やスマートフォンも利用可能
画面に表示される搭乗者名を確認し、右下の確認ボタンを押す
画面に表示される氏名を確認。幼児の追加や取り消し、修正なども行なえる
続いて便名を確認。ここではプレミアムクラスへのアップグレードや便の変更も行える
こちらは便変更の画面。変更可能な便を選択して行なう
プレミアムクラスへのアップグレード画面
便確認後、座席を指定する
シートマップを見ながら、空いている好きな座席を指定可能だ
座席指定が完了したら、領収書の発行やマイルの登録などの指定を行なう。必要な項目にチェックを入れ、画面の指示に従えばいい
次に、画面に手荷物についての注意事項が表示され、確認ボタンを押すと搭乗券が発券される
印刷された搭乗券や領収書を、左下の受取口から受け取り、手続き完了となる
搭乗券発券中には、画面に保安検査場の通過時刻や搭乗口などを表示
発券された搭乗券と領収書
搭乗券には保安検査場の通過時刻や搭乗口などが印刷されており、わかりやすい

 手続きは、画面の指示に従うだけでよく、画面も分かりやすい構成となっているため、戸惑わずチェックインが行なえると感じた。松山空港では10月5日の初便からこの新自動チェックイン機が運用開始となっており、実際に多くの乗客が利用していたが、操作に戸惑う様子はほとんど見られなかった。また、搭乗券発券時には、画面に保安検査場の最終通過時間や搭乗口などを表示するとともに、搭乗券にも保安検査場の最終通過時刻や搭乗口が印刷される。従来は、保安検査場の通過時間を「搭乗開始15分前まで」というように表示されていたのが、実際の時刻が表示されるようになったことで、かなりわかりやすくなったという印象だ。

 こういった利便性の高さに加え、従来はチケットを購入しようとする客が間違えてチェックイン機に並んでしまい、時間を無駄にしてしまうこともあったそうで、機能の統合によってそういったトラブルの解消も期待できるとしている。

 この他に、カウンター上の行き先案内表示板もリニューアルされ、同時に運用が開始されている。大きな変更点はデザイン面で、便名表示部分に航空会社のロゴが表示されるようになった。また、遅延などのイレギュラー時に、従来は「30分遅延」というように遅延時間のみを表示していたのに対し、遅延時間だけでなく、定刻の出発時刻と変更後の出発時刻も黄色で併記するようにして、よりわかりやすいように変更しているという。

 なお、今回導入された新自動チェックイン機は、本年度中にANAが就航している国内全空港へ導入する計画とのことで、羽田空港へは12月頃の導入を予定。また、ANAでは国内線と国際線でチェックインのシステムが異なっているため、今回導入された新自動チェックイン機を国際線用として利用することはないとのことだ。

新自動チェックイン機を利用する乗客。ほとんどの人が戸惑う事なく操作できていた
カウンター上の案内表示板もリニューアル。便名部分に航空会社のロゴを表示したり、遅延などのイレギュラー時には遅延時間だけでなく、定刻と遅延後の出発時刻も併記されるようになり、分かりやすさが向上している

(平澤寿康)