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東京都中央卸売市場、築地市場の豊洲移転について理解を深める「東京いちばセミナー」
築地市場で小学生親子を対象に開催
(2015/8/24 00:00)
- 2015年8月22日 実施
東京都中央卸売市場は、築地市場の豊洲移転に向けて、中央卸売市場の機能や役割を都民に再認識してもらうことを目的とし、2012年より「TOKYO ICHIBA PROJECT」を実施している。その活動の一環として、8月22日に築地市場において、小学生親子を対象とした「東京いちばセミナー」を開催した。
このセミナーは、築地市場や建設中の豊洲市場を実際に体験しながら、卸売市場を取り巻く流通環境の変化や市場に求められる機能を学びつつ、築地市場の豊洲移転について理解を深める目的で開催。第1回目は7月18日に開催されているが、2回目となる今回は、夏休み期間での開催ということもあり、1年生から6年生までの小学生親子が参加対象となり、公式ホームページの公募で選ばれた15組30名の親子が参加した。
セミナーの前半では、築地市場内の会議室を利用して、築地市場や豊洲市場の概要が説明された。
築地市場は、現在から80年前の1935年に開設された、東京都内で最も古い市場だ。築地市場では魚などの水産物や、野菜・果物などの青果物が扱われている。建物面積は約23万m2、1日あたりの平均取扱数量は水産物が1676トン(金額は約16億円)、青果物が1095トン(金額は約3億円)と、非常に大規模な市場となっており、特に水産物の取り扱いに関しては世界最大級となっている。
築地市場開設当時は、横を流れる隅田川から船で、その後は鉄道を使って魚や青果物が運ばれていたが、現在はトラックなどの車を使った輸送へとシフト。ただ、築地市場は都心の一等地にあることから道路などの拡張が難しく、トラックなどの運送車による慢性的な混雑が問題となっている。また、水産物や青果物の取扱量に対して建物面積が手狭となっていたり、開設から80年が経過して建物自体の老朽化も進んでいる。そこで、築地から近く、広大な場所が確保でき、高速道路へのアクセスも含めた交通の利便性の高さを考慮して、豊洲への移転が決定。
セミナーでは、こういった築地市場の豊洲移転の経緯に加えて、懸念された土壌汚染対策工事が完了していることや、豊洲市場の構造や現在の建設状況などが、小学生にも分かりやすいようにイラストを交えながら解説された。
続いて、実際に築地市場で働いている水産、青果の各卸業者による、魚や青果物の“目利き”体験が行なわれた。築地市場に限らず、市場で働くには扱っている水産物や青果物などを見極める“目利き”が非常に重要な能力となる。セミナーでは、実際に魚や野菜、果物を使って、どれがよい魚や青果物なのかを見極める方法が、分かりやすく解説された。
参加した子供達も、目の前に置かれた魚や野菜、果物を実際に手に取りつつ、興味深く目利きを体験していた。また、日々の買い物などで子供以上に食材に触れる機会の多い親の参加者も、卸売業者の目利き術の解説を真剣に聞き入っていたのは印象的だった。
目利き体験後には、参加親子の築地市場見学を経て、バスに乗り、建設中の豊洲市場の見学ツアーが行なわれた。第1回目のセミナーでは、建設中の豊洲市場付近で下りて視察もできたようだが、今回はバスに乗ったまま豊洲市場周囲を見て回るだけだった。
それでも、2016年11月上旬に予定されている豊洲市場開設に向けて急ピッチで進められている豊洲市場の建物や、周囲の道路や橋の整備の様子がバス車内で詳しく解説されたこともあって、参加親子は窓の外に広がる豊洲市場建設の様子を興味深そうに眺めていた。
豊洲市場見学ツアー後は、前半と同じ築地市場の会議室に戻り、2015年度のTOKYO ICHIBA PROJECT応援団長に就任しているタレントの清水国明氏による絵手紙教室を実施。
清水さんは、絵手紙の創始者で絵手紙作家の小池邦夫氏に師事し、近年は絵手紙の魅力を伝えるために精力的な活動を行なっているという。今回の絵手紙教室では、清水さんから絵手紙を書くときの心構えや筆の持ち方、彩色のテクニックなどが解説され、参加した親子が今回のセミナーを通して感じたことなどを思い思いに絵手紙にしたためた。そして、完成した絵手紙を自分宛に築地市場内の郵便ポストに投函し、セミナーは終了した。