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JALの夏休み企画、グランドハンドリング教室

航空科学博物館で空港地上支援業務を体験

2015年8月16日 開催

航空科学博物館で開催されたグランドハンドリング教室。写真は新企画のプッシュバック体験

 JAL(日本航空)は8月16日、成田国際空港近くにある航空科学博物館(千葉県芝山町)にて、夏休み企画「グランドハンドリング教室」を開催した。このイベントは、子供たちが楽しみながらグランドハンドリング(空港地上支援)業務を体験できるよう工夫されたもので、2014年より3月と8月に行なわれており、今回が4回目の開催となる。

 グランドハンドリング教室は、飛行機や空港を普段利用していても直接かかわることがないグランドハンドリング業務について、子供たちの理解を深め、将来の夢にしてもらいたいとの思いからスタートしたもの。JALのグループ会社であるJALグランドサービス東京のスタッフ、日本エアコミューターの運航乗務員とCA(客室乗務員)の計38名が、ボランティアで参加している。

 今回のグランドハンドリング教室は7つの企画があり、そのうちグランドハンドリングの体験型イベントは5つ。受付ではスタンプラリーのカードが配布され、5つのうち4つ体験すると景品をもらえる。

成田空港のすぐ近く、会場となった航空科学博物館
総合受付では、会場内の各教室をマップで表示
4つ以上の体験で景品がもらえるスタンプラリーを実施、

 到着機のパイロットに指示を出し、航空機を定位置まで誘導するマーシャリング。マーシャリング教室では、子供用に軽く作られたパドルを手に、モニターに映し出された飛行機に向けて合図を送る。モニターには徐々に移動する機体だけでなく、マーシャラーが送る合図も同時に表示され、子供たちはそれを手本にパドルを振っていた。

モニターの飛行機に向けて合図を送るマーシャリング教室
子供たちに分かりやすく解説された誘導の合図の一覧
モニターには動く機体と同時に、送る合図も表示されていた

 ボーイング 787型機シミュレータを正確に2/3サイズで再現した木製コックピット「ミニレーター」は、成田の整備士をはじめ、JALグループ社員有志が木材や廃材を使い製作した模型。モニターや計器類の表示は変化しないが、操縦桿やラダーペダル、スロットルレバーなどが動作するかなり精巧な作りで、日本エアコミューターの運航乗務員が操縦について解説をし、子供たちはパイロット気分を味わっていた。

人気だった木製コックピット「ミニレーター」
ボーイング 787型機用シミュレータを正確に2/3サイズで再現している
バックライトで点灯しているがモニターや計器類の表示は変わらない。操縦桿やラダーペダル、スロットルレバーなどは動作する

 制服着用体験では、グランドハンドリングスタッフのカバーオール、ヘルメット、蛍光ベストが用意され、子供たちの着用後にフォトブースでの記念撮影が行なわれていた。カバーオールのため着用中の衣類を脱ぐ事無く、上から着るだけとなっている。制服は前の組が撮影中、次の組が準備できるよう数着用意されていた。

 トイレットロール折り紙体験では、トイレットペーパーの先端を、花束や鶴、風車などの形にする折り方の講習会が行なわれていた。JALでは機内のトイレットペーパーも清掃後に折られており、「きれいに折られているので、もったいなくて使えない」との声もあるとか。会場では女性スタッフが丁寧に折り方を指導。親子そろって花びらや花束といった折り方に挑戦していた。

つくば市から来た七海ちゃん(5歳)と希海ちゃん(3歳)の姉妹。グランドハンドリングスタッフの制服を着て記念撮影
トイレットペーパーの先端を、花束や鶴、風車などの形にするトイレットロール折り紙体験
上段左から、バラ、鶴、花束。下段左から、ハート、風車、花
女性スタッフが丁寧に折り方を指導し、親子仲良くさまざまな折り方に挑戦
折り紙と違い、フワフワしたトイレットペーパーに、参加者は苦労していた

 ボーイング 747の客室モックアップでは、CAのお仕事教室が行なわれた。日本エアコミューターのスタッフが、CAの仕事の紹介や機内アナウンスの内容について解説し、参加した子供たちは、ドリンクサービスや機内アナウンスを体験した。

ボーイング 747の客室モックアップで行なわれたCAのお仕事教室
日本エアコミューターの客室乗務員が、CAの仕事内容について説明
実際にアナウンスする文言をパネルにして解説する
機内アナウンスを体験する都内から来た恵実ちゃん(6歳)

 屋外に展示されているボーイング 747 セクション41(機首)を使った「ひこうき水洗い体験」では、モップを使った洗浄作業が行なわれていた。大きな航空機でも、現在は長尺のモップなどを使って手作業で洗浄するということを知ってもらいたいとのこと。1カ月に1回、作業スタッフ10名前後で洗浄する。手洗いすることで、従来使用していた自動洗浄機よりも大幅な節水に成功しているという。

屋外に展示されているボーイング 747の機首を使って、モップを使った洗浄作業を体験
スタンプラリーのスタンプとは別に、各企画では参加者に手書きのカードをプレゼントしていた

 今回のイベントからの新企画であり、一番賑わっていたのが、ミニトーイングカーを使ったプッシュバック教室だ。子供用に作られたミニトーイングカーに乗り、模型の航空機をトーイング(牽引)やプッシュバック(後方への押し出し)を体験する。

 プッシュバック教室でミニトーイングカーを体験した松戸から来た翼くん(10歳)は、「もっとうまくできるようになって、本物でやってみたい」と、なかなかうまく機体の向きを合わせられない苦労を感じとっていた。

 このプッシュバック教室の企画を立案し、ミニトーイングカーや飛行機を製作した乾槙佑氏は、「飛行機を押す難しさが、楽しみながら理解してもらえたらうれしい」と語る。製作には2カ月かかり、特に苦労した点は、ハンドルを回してタイヤが回転する機構の周辺だという。バッテリーを搭載し、クラクションが鳴ったり、回転灯が回ったりする工夫を凝らしているが、まだまだ改良点があるとのこと。

今回からの新企画、ミニトーイングカーを使ったプッシュバック教室。常に長蛇の列で、一番賑わっていた
飛行機やヘリコプターなど、空を飛ぶ乗り物が大好きという松戸から来た翼くん(10歳)も挑戦
動力はなく、スタッフが押して移動するミニトーイングカー
連結部分も、実物にかなり近い操作感が出ているとのこと
ミニトーイングカーや飛行機を製作した乾槙佑氏。製作に2カ月かかったという
スタンプラリーをクリアし、景品をもらう参加者たち
景品には、飛行機や運航業務についての詳しい話が分かりやすく掲載されている小冊子も入っている

 今回参加した子供たちには、夏休みの貴重な体験になっただろう。親子で楽しめるこのグランドハンドリング教室は半年に1回、1日だけの開催となる。次回の参加を検討の方は、開催が近づいたらスケジュールをチェックしていただきたい。

(政木 桂)