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被爆電車も走った広電の「第20回 路面電車まつり」

被爆から70年、6月13日から被爆電車653号を当時のカラーリングで運行

2015年6月7日 開催

広電の路面電車祭りで初お披露目された、被爆当時のカラーの653号。車庫でお披露目された後、市内線を一回りした
千田車庫は広電本社の横にある。最寄りの電停は、広電本社前

 日本最大の規模で路面電車を運行する広島電鉄(以下、広電[ひろでん])は6月7日、本社横(広島県広島市中区)にある千田車庫などにおいて「第20回 路面電車まつり」を開催した。路面電車まつりは、毎年6月10日の路面電車の日近辺に開催されており、車庫を一般公開するほか、特別な展示が行なわれている。なお、6月10日が路面電車の日に決まったのは、6=(ろ)、10=(テン)、つまりロテン≒路電=路面電車との理由による。

 路面電車まつりは、10時から開始となるのだが、広電と広島カープとのコラボグッズ販売や10時30分から始まる中古部品販売(の抽選会)の人気が高く、開場前には千田車庫を取り囲むように人の列ができていた。とくに広島カープとのコラボTシャツの人気は高く、11時前には売り切れていた。

開場から2時間が過ぎ、入場者が一段落した路面電車まつり入口。左側にはグッズ販売の列がまだ残る
当日販売されたオリジナルグッズ。イベントが浸透しているためか、グッズ販売の列や部品販売の抽選列が長く形成されていた
1番人気のコラボTシャツ。カープ坊やではなく、車掌坊やが描かれている
こちらは中古部品販売コーナー。抽選で購入する順番を決めていた
路面電車まつりの地図。車庫の各所でさまざまな催し物を行なっていた
路面電車まつりに合わせて発売されたフリー切符。1日600円が2日で600円となり、スタンプラリー用の台紙となるトートバックも付属していた

 2015年は、1945年8月6日に広島に原子爆弾が投下されてから70年にあたることから、RCC(広島でRCCテレビやRCCラジオを運営)は「被爆70年プロジェクト『未来へ』」を行なっており、その一環として広電と被爆電車を当時のカラーリングで運行する。運行する路面電車は当時被爆した653号で、1度引退していた車両を復活。6月13日~8月30日の土日祝日に、広島駅~原爆ドーム前~西広島駅(己斐)の区間で運行し、乗車するにはRCCに先着で申し込む必要がある。

RCC 被爆70年プロジェクト「未来へ」

http://www.rcc.net/70/tram.htm#mdn-area-proj_02

 路面電車まつりでは、オリジナルカラーに塗装された653号のお披露目式が行なわれ、653号は市内線を1時間ほどテスト走行。その後は千田車庫で展示された。

お披露目式直後の653号
車体に描かれていた運行期間
被爆場所について。原子爆弾投下時に江波で被爆した車両になる
お披露目式での一コマ。1945年当時の女学生姿と一緒に
653号は引退していたものを再び復帰した車両になるが、写真の651号は同じ被爆電車ながら現役。このように古くからの路面電車が普通に街中を走っているため、広電は“動く路面電車の博物館”と言われている
653号はお披露目式の後市内線を一回りし、再び千田車庫に帰ってきた

 この653号以外にも、千田車庫では多数の路面電車を展示。広電の最新路面電車である1000形「GREEN MOVER LEX(グリーンムーバー・レックス)」のほか、5100形「Greenmover max(グリーンムーバーマックス)」、3000形などの連接車。そして、開業当時の外観を再現したという100形や、元京都市電の1900形、新世代路面電車の800形などの単行車を展示。運転台に座れるものなどもあり、家族連れを中心に、市民の足となっている路面電車を楽しんでいた。

1000形「GREEN MOVER LEX(グリーンムーバー・レックス)」
運転台に座って、運転装置を触ることもできる
5100形「Greenmover max(グリーンムーバーマックス)」
宮島線を代表する3000形。連接電車の特長となっている台車もじっくり見ることが可能だった
200形のハノーバー電車。広島市との友好都市である独ハノーバー市からプレゼントされたもの
100形。1983年の広島県観光キャンペーンに合わせて復刻された、創業年(1912年[大正元年])タイプの路面電車。公園に展示されていた150形をベースに100形を模した車両になる
100形の運転台
現代的な800形
靴を脱いで遊ぶ広場として提供されていた
広電の中で多数を占める、元京都市電。祇園、金閣、銀閣と、京都にちなんだ愛称がつけられている
運転手の制服を着て記念撮影するコーナー
プラレールの展示
模型の展示もあった
相生橋から広電の路面電車と原爆ドーム(広島県産業奨励館)を望む。6月13日からは、土日祝日にオリジナルカラーの653号を見ることができる

編集部:谷川 潔