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西武鉄道、東急5050系ヒカリエ号も登場した「西武・電車フェスタ2015 in 武蔵丘車両検修場」

来場者向けに臨時電車「池袋線開業時12駅停車電車」も運行

2015年6月7日 開催

武蔵丘車両検修場(埼玉県日高市台462-1)

「西武・電車フェスタ2015 in 武蔵丘車両検修場」の電車撮影会に登場した西武30000系の「池袋線開業100周年記念ヘッドマーク付きのラッピング電車」と東急5050系4000番台の「Shibuya Hikarie号」

 西武鉄道は、沿線住民やファン向けのイベント「西武・電車フェスタ2015 in 武蔵丘車両検修場」を開催した。武蔵丘車両検修場は、埼玉県日高市にある西武鉄道最大の車両検修(点検修理)施設。開催された6月7日は好天に恵まれた日曜日で、約1万3000人(西武鉄道調べ)のファンが詰めかけ、通常は目にすることのできない車両検修設備の見学、体験、電車撮影会、鉄道部品やグッズの販売、ライブなどを楽しんだ。電車ファンの子供を連れた家族ファミリーが多く見受けられたイベントだった。

 当日会場へは、池袋駅発で飯能駅行きの臨時電車「池袋線開業時12駅停車電車」が「100周年記念ヘッドマーク付きラッピング電車(30000系)」として運行された。これは開業時の12駅に停車し、車内アナウンスでも解説されるという特別な列車。またこの臨時電車に接続する時間とそれ以降の来場と帰り向けに、飯能駅と検修場間の臨時電車が運行されていた。こちらは、通常運行はしない線路上を走行し検修場の建屋内部に停車し乗降するという、なかなか貴重な体験となった。

 なお臨時列車を使わない場合は高麗駅から徒歩(約12分)もしくは、飯能駅からの無料送迎バスを利用して正面玄関側からも訪れることができた。

池袋駅を発車する臨時電車「池袋線開業時12駅停車電車」。「100周年記念ヘッドマーク」が付く
飯能発で検修場までの臨時電車は、検修場内に到着する
手作り感あふれるウェルカムボード
西武鉄道の駅員さんキャラクター「レイルくん」と「スマイルちゃん」のお出迎え
ICカードにも対応している臨時改札口
高麗駅やバスで来場する場合の入口。こちらが正面となる
入口の武蔵丘車両検修場銘板
武蔵丘車両検修場の全景
会場内の様子。ここは物販やステージのある中央部分
場内は普段点検のため列車が入る線路上も歩くことになる。人が歩く箇所の線路の隙間は埋めてある
ステージも用意され、ライブやものまねなども楽しめる。写真は「ゆるキャラ大集合」
飯能市立飯能第一中学校吹奏楽部の演奏
電車ものまね「立川真司」さんライブ

 まず電車ファンの目につくのは、広大な屋内となる車両検修場を使った大がかりな車両展示だった。人気の30000系や、10000系「ニューレッドアロー」、黄色い電車の2000系、線路のゆがみを修正する保線車「マルチプルタイタンパー(通称マルタイ)」などが展示されていて、ニューレッドアロー2台は乗務員室(運転席)の見学ができた。この人気は高く、常時1時間以上の行列となっていた。

 屋根上の見学も行なわれていて、通常は間近で見ることのできないパンタグラフやクーラー部分をじっくり見学することができた。また、30000系を使った台車入れの実演や、トラバーサーと呼ばれる検修場内で車両を平行移動させる大がかりな装置の乗車体験も人気だった。

30000系と、10000系ニューレッドアロー車両展示。ここの前は格好の記念写真ポイント。
10000系ニューレッドアローは、乗務員室(運転席)の見学ができた
黄色の電車2000系も展示
保線機械のマルタイと制服記念写真撮影ができる。クジで当たると乗車体験も
屋根上の見学。パンタグラフやクーラーをじっくり見ることができた
30000系を使った大がかりな台車入れの実演
稼働中のトラバーサー上に乗車できる

 単なる車両見学だけでなく、実物を使った列車操作や検修場作業の体験型の展示がされているのもこのイベントの特徴。主制御器(列車のスピードをコントロールして運転する装置)操作、ブレーキ操作、パンタグラフ操作、架線作業車やエンジン付き保線用トロッコ「レールスター」といった作業車への乗車、車輪転がし(小学生以下限定)、ゴムリングをはめ騒音を抑制した丸リング車輪の打音といった体験ができる。どれも子供のファンに大人気の模様。架線作業車とレールスターへの乗車は整理券の配布があった。

 また、緊急時以外押すことのない、ホーム上や踏切の非常ボタンを押したり、車両内から緊急時に乗務員と通話をする非常通報体験もあった。

 キッズ向けにミニ電車(30000系と5000系)・機関車(E31型)コーナーや、記念撮影コーナーが設けられ、格好の家族での写真撮影スペースとなっていた。

主制御器操作体験
ブレーキ操作体験
パンタグラフ操作体験
架線作業車乗車体験
意外と乗車距離が長く施設の奥まで行けた
エンジン付き保線用トロッコ「レールスター」の乗車体験
「レールスター」の向き替えは人力
踏切非常ボタン操作体験
ホーム上非常ボタン操作体験
車内の非常通報体験
車輪転がし体験
丸リング車輪の打音体験
ミニ電車・機関車コーナー
記念撮影コーナー

 屋外では電車撮影会も実施され、当日池袋発飯能行きや飯能と検修場間の臨時列車として走った西武鉄道30000系「100周年記念ヘッドマーク付きラッピング電車」と、東急5050系4000番台「Shibuya Hikarie号」が並べられ、多くの来場者がカメラを向けていた。

西武鉄道30000系「100周年記念ヘッドマーク付きラッピング電車」
100周年記念ヘッドマーク付きラッピング電車正面。これは臨時電車として運行中の写真
池袋線の開業時に開設された12駅の駅舎の写真でラッピングされている
東急5050系4000番台「Shibuya Hikarie号」
Shibuya Hikarie号正面
電車撮影会はやはりすごい人気。列をある程度の人数で区切りながら撮影ポイントに入場。時間内に撮影する形式

 車両検修場ならではの展示として、電車を動かすモーターや、ブレーキと自動ドアを動かす圧縮空気を作るコンプレッサー、車輪や台車などがある。内部や仕組み、歴史が分かるように展示されているのも特徴。整備をする機器なども含めて展示されているので、検修場の作業も自然と理解できた。

古い直流モーターの130kW主電動機
交流モーターの135kW主電動機
コンプレッサーの修理作業前後の比較
30000系に使われている軽量なコンプレッサー
戦前から2011年まで使われていたコンプレッサー「AK-3」は、ピストンを動かした状態での展示
AK-3はスイッチを押して動作させ、古くからの電車ファンには懐かしい独特の「ポコポコ」という音を聞くことができた
主制御器は中身が見える状態
車輪の展示
輪軸着脱装置
軸受けの分解
台車の展示

 大きめのスペースをさいてNゲージの鉄道模型とジオラマの展示もあった。そこでは、「西武鉄道2両編成大集合」と題した模型展示もあり、西武鉄道で運用された車両の歴史を追うことができて、なかなか見応えがあった。模型に車載カメラを搭載して走らせている様子を、テレビでモニターできるようにもなっていて、多くの人が精巧なジオラマに見入っていた。

Nゲージの鉄道模型ジオラマの展示
西武鉄道の車両の歴史が垣間見えた「西武鉄道2両編成大集合」
模型に車載カメラを搭載し運転席ビューを再現
池袋線開業100周年記念のパネル展示。新旧駅舎の写真と駅の解説
パネル足下には、昔使われていた行先標が展示
西武秩父駅行き急行「奥武蔵」や特急「ちちぶ」、5000系引退時に使われた「さよなら5000系レッドアロー」といったヘッドマークが展示されていた
主に2000年代に使用されたヘッドマーク
西武秩父線 開通時の記念品や昭和33年頃の路線図、職員の腕章など
「銀河鉄道999ラッピング電車」引退時の記念乗車券など記念乗車券を多数展示

 そのほか、西武鉄道はもちろん、私鉄各社のグッズ販売(近江鉄道、伊豆箱根鉄道、東武鉄道、東京メトロ、東急、京王、小田急、京浜急行、京成、つくばエクスプレス、江ノ島電鉄、横浜シーサイドライン、多摩都市モノレール、富士急行、阪神電鉄、流鉄、わたらせ渓谷鐡道、秩父鉄道、ひたちなか海浜鉄道、上信電鉄)コーナーや、鉄道部品の販売、地元名産品、おもちゃの物販コーナーほか、飲食の店舗も豊富に出店していて楽しめる。

 また、休憩スペースは室内にイスも用意されていたが、外の広い芝生の「休憩・お遊び広場スペース」で休憩をしているファミリーも多く、のんびり楽しめるイベントとなっていた。

 この西武・電車フェスタは毎年恒例のイベントとなっているので、鉄道ファンはもちろん、沿線の皆様もぜひ足を運んでみて欲しい。

鉄道部品の販売コーナー。午後にはほとんど売り切れていた
私鉄各社鉄道グッズ販売ブースの一例。これは秩父鉄道
各所でキッズ向けに無料で配られる職員手作りの電車カード。集めている子供たちによると、すでにレアなカードもあるらしい。自慢のカードを見せてくれた
飲食の出店も豊富
珍しい食べ物として、台湾のルーローファンの屋台も
広い芝生スペースで休憩も可能
ミニSLの運転など、子供にも楽しめる
帰りにアンケートを記入すると提供されたオリジナルカード

村上俊一