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八芳園、本館の全面改装へ。白金台を飛び出し高輪ゲートウェイシティに割烹・洋菓子店も

“交流文化創造拠点づくり”に注力

2024年8月22日 発表

八芳園は2025年に本館リニューアルを実施。写真は新メインロビーのイメージ

 八芳園(東京都港区白金台1-1-1)は8月22日、本館のリニューアル計画や新事業について説明した。登壇者は、代表取締役社長の井上義則氏、取締役総支配人の関本敬祐氏。

 東京白金台にある同施設は、約400年の歴史がある日本庭園を中心に、レストラン、ブライダル・イベント会場などを運営。創業100周年(2043年)に向けた取り組みとして、2025年2月1日から一時休館し、本館の全面改装を行なう。リニューアルオープンは同10月1日を予定している。

 今回のコンセプトは「日本の、美意識の凝縮」。その象徴となるメインロビーは、水墨画家・小林東雲氏、福岡県大川市の組子職人・木下正人氏、木工職人・西田政義氏、3人のコラボにより、日本の伝統文化と庭園が融合する空間に生まれ変わるという。

創業100周年への新ビジョンを語った株式会社八芳園 代表取締役社長 井上義則氏
本館のリニューアル計画について説明した株式会社八芳園 取締役総支配人 関本敬祐氏
全体デザイン監修を担当するのは、株式会社山﨑健太郎デザインワークショップ

 2025年にリニューアルするのは、主に「ブライダル」「イベント」「食文化」の3領域。

 ブライダル・婚礼事業は「ライフイベントプロデュース事業」として、結婚式だけでなく七五三や入学・入社、成人式など、利用客のライフステージに合わせた“お祝いの場所”を提供する。

 新たなシンボルとなる独立型挙式会場「Celebration Hall -The Garden- 」は2025年3月竣工、10月オープンで、収容人数は80名。工事中もブライダル利用客の下見(見学)は受け付けるとのこと。

 窓口となるウェディングサロンは、体験と創造を届ける「EXPERIENCE LAB」へとリニューアル。試食専用のキッチン、アトリエ、フォトスタジオなどを完備し、カタログやインターネットを用いた打ち合わせにとどまらず、実際の商品を手に取って体験できるという。

新たなシンボルとなる独立型挙式会場「Celebration Hall -The Garden- 」
ブライダル・婚礼事業はライフイベントプロデュース事業へ

 イベント領域では、主に本館5階と6階、メインエントランスを全面改修する。

 八芳園では訪日外国人の増加により、150名以上で利用できる宴会場が不足しているという。そこで全体の会場数は15から11へと減らし、5階・6階は大人数に対応できるよう改装。メインエントランスは団体バスが発着しやすいようスペースを拡張するほか、上層階への直通エスカレーターやデッキスペースを新設する。

 5階には、全長20mと7mの大型LEDビジョンモニターを常設する会場「STUDIO KOKU」をオープン。軽食を提供可能な専用ラウンジを併設する。最上階の6階は、「空想の庭」をテーマにした会場「HALL HAKU」が誕生。庭園を望む約10mのバーカウンターを備える。会員専用の両フロアは階段で行き来することができ、同時利用も可能。

CLUB FLOOR(5階・6階)の概要
5階「STUDIO KOKU」(提供:八芳園)
6階「HALL HAKU」(提供:八芳園)

 フードプロデュース事業においては、館内すべてのメニューを一新。ムスリム専用キッチン、オールデイダイニング「FUDO 風土」(本館3階)をオープンする。

 また、高輪ゲートウェイシティの商業施設に「割烹 BUTAI」(29階)、「八芳園洋菓子店」(1階)の2店舗を開業予定。同社は「DMO GATEWAY TAKANAWA・SHINAGAWA」に参画し、高輪・品川エリアの活性化に取り組んでいる。

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東京白金台を飛び出し、高輪ゲートウェイシティに2店舗出店
割烹 BUTAI(提供:八芳園)
八芳園洋菓子店(提供:八芳園)

 さらに井上氏は、創業100周年に向けた新ビジョン「HAPPO-EN AREA PRODUCE」を掲げ、地域の文化資産を活用したエリアプロデュース企業として、観光産業・MICE産業へ本格参入することを宣言。

 八芳園グループは、東京オリンピック開催時に「2020 ホストタウン・ハウス」の実行委員会として、文化体験ができる空間や食のプロデュースに取り組んだほか、現在も全国13の自治体や企業、大学との連携協定を締結。

 子会社の八芳園エリアプロデュース警固は、福岡天神・警固神社の社務所ビルで総合会場「THE KEGO CLUB by HAPPO-EN」(福岡県福岡市中央区天神2-2-20)を2024年3月から運営している。

 また2023年8月には、食の開発など地域課題に取り組む「八芳園交流コンテンツプロデュース」を設立。徳島県松茂町や福島県鏡石町などに営業所を構え、現地でまちづくり事業責任者を採用しているとのこと。

 これらの実績やノウハウを活かし、自然・庭園・建造物など何百年も変わらない文化資産(ハード)と、ブライダル・宴会・会議・イベントなど時代によって変化する非日常体験(ソフト)を組み合わせて提供する「交流文化創造拠点づくり」に注力するという。

創業100周年に向けた新ビジョン「HAPPO-EN AREA PRODUCE」
「日本のお客さまには心のふるさとを提供するとともに、海外のお客さまには日本の文化を発信したい」と語る井上氏
交流文化創造拠点づくりに注力
各エリアでの役割
各地域でまちづくり事業責任者を採用しているとのこと