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浜松町ビルディングを建て替える再開発街区は「ブルーフロント芝浦」に。2025年2月竣工、S棟の内部を見てきた

2024年5月30日 発表

2025年2月に竣工する「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」のS棟

 野村不動産とJR東日本は5月30日、共同で推進している国家戦略特別区域計画の特定事業「芝浦プロジェクト」の街区名称を「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」として発表し、現在工事中のS棟内部や海からの外観を報道公開した。

 BLUE FRONT SHIBAURAは、既存の浜松町ビルディングを建て替えて、4.7haの区域面積に高さ約230mのツインタワー(S棟、N棟)で構成する大規模複合開発事業。2025年2月竣工予定のS棟は、35階~42階の高層フロアに日本初進出のラグジュアリーホテル「フェアモント東京」(2025年度開業)が入居し、7階~33階の中層フロアはオフィスエリア、1階~3階の低層フロアは飲食店を中心とした約40店舗の商業エリアになる。2030年度中の竣工を目指すN棟は、レジデンスやオフィスが入る予定だ。

S棟の横にある浜松町ビルディングを取り壊し、2027年度よりN棟の建設に着手する予定
S棟の用途構成。オフィスエリアには野村不動産グループの本社も入居する

周囲の風景を映し込む設計。季節・天候で表情が変わるビル

 発表会では、野村不動産ホールディングス 代表取締役社長の新井聡氏が登壇し、本プロジェクトの概要を説明した。

 N棟の完成も含めると2030年度までかかる一大プロジェクトであること、S棟の建設は順調に進んでおり、2025年2月竣工予定であること、近隣の東京ポートシティ竹芝や浜松町西口地区開発と連携して浜松町駅周辺エリアの活性化がポイントであることなどを紹介した。

 ビルのデザインにも言及し、「設計者の槇文彦先生がデザインされたこの建物は、周囲の風景を映し込むカーテンウォールを採用しています。海が空の色を移し表情を変えるように、この建物も季節や天候により表情が変化していきます」と話した。

野村不動産ホールディングス株式会社 代表取締役社長 新井聡氏

 JR東日本 執行役員の竹島博行氏は本プロジェクトの意義について、浜松町駅周辺の設備は1970年代に作られたものであり、50年が経過した現在においては、都市機能の更新が不可欠であることを説明した。

 さまざまなプロジェクトが進行している現在、JR浜松町駅の交通結節機能も強化しているとのことで「北口自由通路、南口自由通路などは、2026年度中に全面的に改修を完了する予定」と話した。

東日本旅客鉄道株式会社 執行役員 マーケティング本部副本部長 竹島博行氏

 本プロジェクトの詳細については、野村不動産 代表取締役社長の松尾大作氏が説明した。BLUE FRONT SHIBAURAという名称は「空と海の最前列、この圧倒的な開放感、これを『BLUE FRONT』という言葉に当てました」というように、ウォーターフロントという立地の特性を表わしている。

 オフィスフロアは多種多様なワークスタイルに対応できるよう、オフィス専有部の10%を共用スペースとして提供する。その代表例となるのが28階に設置されるスカイラウンジで、ワンフロアすべてが共用スペースとなり、ラウンジやミーティングスペース、開放的なテラス、フィットネスやサウナルームも用意するとのことだ。低層階の商業エリアは飲食店を多く誘致するとし、芝浦は飲食店が少ないという声に応えたいとしている。

 芝浦は日の出ふ頭に代表されるように水運の拠点でもある。野村不動産は2019年に小型船ターミナル「Hi-NODE」を開業しており、本プロジェクトの活性化に役立てる予定だ。S棟の竣工に先立ち、2024年5月22日からは、芝浦・日の出~晴海までを5分でつなぐ「BLUE FERRY」が運航を開始している。また、S棟の芝浦運河に面する部分には船着場を設け、専用船(現在建造中)による少人数のラグジュアリークルーズも計画している。

野村不動産株式会社 代表取締役社長 松尾大作氏
BLUE FRONT SHIBAURAの街区や周辺の整備計画
登壇した3氏による記念撮影

S棟28階を公開。約1500坪ワンフロアすべてが共有スペースに

 発表会のあとはS棟の28階を公開した。先に述べたようにこのフロアはオフィスエリアの共用スペースになる予定で、開放的なテラスをはじめ、ミーティングスペースや共創スペース、フィットネスルームやサウナルームを用意する。

 約1500坪のワンフロアすべてが共有スペースになっており、自然を感じながら多様なワークスタイルに対応できる「TOKYO WORKation」が提供できるとし、新たなビジネス創出の場としても期待されている。

公開された28階はこれから内装工事に入る
窓の外にはレインボーブリッジが見える
テラスは潮風を感じられる特等席
テラスエリアの完成予想図 ©Gensler
バックデッキの完成予想図 ©Gensler
ウエルネスエリアの完成予想図 ©Gensler
ラウンジエリアの完成予想図 ©Gensler
会議室エリアの完成予想図 ©Gensler
共創エリアの完成予想図 ©Gensler

 発表会の最後は船上からS棟を見ることもできた。用意された船はBLUE FERRYで使われているもので、船上には運航開始ののぼりが立てられており、新しい交通手段をアピールしていた。設計コンセプトにあるように海や空を映し出すビルの外観は美しく、芝浦の新しいシンボルとして今後は認知されていくことだろう。

芝浦・日の出~晴海を結ぶBLUE FERRYで使われているエスエス 3世号。BLUE FERRYの運賃は500円だが、7月までは就航記念キャンペーンとして事前予約・決済を行なうことで半額になる
Hi-NODEの建屋は倉庫をイメージしたもの
船上から見た高さ約230mのS棟