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パレットタウン跡地に「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」オープン

2030年に100店舗の出店を目指す

2023年10月26日 取材

CITY CIRCUIT TOKYO BAY(屋外コース)

 トムスは、「CITY CIRCUIT TOKYO BAY(シティサーキット東京ベイ)」を10月28日にプレオープンするが、これに先立ち営業内容が関係者向けに公開された。

 同施設は、国内トップクラスのレーシングチームを運営するトムスが“都市型モビリティエンターテインメント施設”という位置づけで営業を行なうEVカートサーキット。現時点で東京23区内では唯一のカートサーキットとなる。

 取締役会長の舘信秀氏は、説明会の冒頭で「トムスは来年で(創業から)50年を迎える。あっという間の50年だったが、一つの節目として、いろいろ新しい事業に挑戦していこうと思っている。そのうちの一つを今日お披露目する」と述べた。

取締役会長の舘信秀氏

 経営戦略室長でCITY CIRCUITの総合プロデューサーを務める田村吾郎氏は、同社として50周年の節目を迎えるにあたり、EVモビリティ事業、カレッジ(人材育成)事業、デジタル事業、新ビジネス開発事業の4つの新規事業領域に取り組んでいくとする。

 今回の施設は、4つ目の新ビジネス開発領域の取り組みで、モータースポーツの裾野を広げる狙いもあるという。田村氏は、「富士スピードウェイやモビリティリゾートもてぎといったサーキットには都内から2~3時間かかるが、都心に作ったら学校帰りや仕事終わりにさまざまな方に来ていただける」と23区内にサーキットを作る意義を強調。

 エンジンで駆動する一般的なカートではなく、同社としても開発に取り組んでいるEVカートを用いることで、都市部においても、音が小さく、夜中でも走行できるというメリットも活かせるという。

経営戦略室長 CITY CIRCUIT 総合プロデューサーの田村吾郎氏

 同社では、デジタル事業領域において、シミュレーターを高齢者の事故防止に役立てる取り組みを行なっているほか、手だけで操作したり、スマートフォンから操作したりできる車両の開発にも取り組んでいる。

 CITY CIRCUIT内には、同サーキットの屋外コースを忠実に再現したカート型のレーシングシミュレーターが複数設置されており、実コースの走行前にカートの操作方法やコースレイアウトを学んだり、隣同士で対戦したりできる。田村氏によれば、将来的には実コースを走っているカートと対戦できるようにすることも検討しているとのことで、最終的には病院のベッドからでもレースに参加できるような世の中を目指したいとしている。

トムスが独自に開発したシミューレーター

 施設としては、全長400mの屋外コースと、全長50mの屋内コースが設けられており、屋内コースの脇にはシミュレーターが設置されている。ヘルメットはレンタルできるので、手ぶらでOK。乗車時は長袖・長ズボンが基本となるので、夏場の服装には気をつけよう。

ヘルメットはレンタル可能

 受付業務を行なうエントランスでは、チケットの販売や装備品の販売やレンタル、オリジナルグッズの販売を行なう。その2階にはVIPルームが設けられており、湾岸エリアのリッチな体験スペースとして利用していく。

 別棟のセミナールームユニットには、ロッカーやトイレのほか、シャワールームやパウダールームも完備。今後はサウナやBBQといった施設の設置も検討しているとのことだ。

ロッカーやトイレも完備
シャワールーム
パウダールーム
VIPルーム

 場外エリアには、VIP専用駐車場(5台)が設けられているほか、キッチンカーなどの出店ゾーンが用意されている。取材時点では、ホットドッグを販売する2台のキッチンカーが出店していたが、週末のみさまざまなキッチンカーが出店するという。

VIP専用の駐車場。一般向けの駐車場はなく、近隣の有料パーキングを利用する。目の前には、ゆりかもめの青海駅もある
この日は2台のキッチンカーが出店していた

 屋外コースでは、一般的なレンタルカートで用いられているフレーム(Birel N35)の上に専用開発したパワーユニットを搭載し、最高速度80km/hという性能のEVカート(EV KS-22)で走行できる。

全長400mの屋外コース

 同社では、昨年11月に台場エリアの駐車場に作った仮設コースでEVカートのイベントを実施していたが、その際に使用していた車両と比べると、走り始めからEVらしいトルクで加速していく感覚がしっかりと楽しめるようになっていた。

 路面についても、仮設コースとは違い、新たに舗装されていることもあり、走りやすく感じられた。湾岸の埋立地ということで真っ平らな印象もあるが、コース中盤には小さな丘が設けられており、微妙なアンジュレーションが奥深さを演出している。ちなみに、同施設のシミュレーターでは、こうした細かな部分も忠実に再現されている。

(左から)モビリティ事業本部長 CITY CIRCUIT 総合ディレクターの井上貴弥氏、経営戦略室長 CITY CIRCUIT 総合プロデューサーの田村吾郎氏、代表取締役社長の谷本勲氏、取締役会長の舘信秀氏

 この屋外コースについては、屋内コースが設置されている場所などを繋げて拡張することで、全日本選手権を開催できる全長520mのコースレイアウトに変更することも可能とのこと。この日は最高速度130km/hでの走行が可能な全日本選手権用の車両で、屋外コースを走行するデモンストレーションも実施され、段違いの速さでの走行が見られた。

全日本選手権用のEVカートでのデモ走行

 屋内コースでは、キッズ用のEVカート(EV KJ-22)を使用し、幼児~小学生が走行できるようになっている。こちらの最高速度は28km/hだが、遠隔操作でスピードをコントロールできるようになっており、安全にも配慮されている。夜間にはプロジェクションマッピングによる演出も行なわれる。

屋内コース
本来は子供用だが大人がデモ走行

 プレオープン期間に位置づけられる10月28日~11月22日の間は、2時間6000円という料金体系となっているが、それ以降の料金体系も明らかにされた。

 屋外コースでの通常走行(6分)は、昼の時間帯が3500円~、夜の時間帯が4000円~。最大10台でレース走行が行なえるプランなども用意され、サーキット主催のレースも毎月実施される予定。

 屋内コースについては、通常走行(5分)が2000円~。日没後のプロジェクションマッピング時は3000円~となる予定。シミュレーターは、大人用・キッズ用ともに7分1000円~となっている。

 代表取締役社長の谷本勲氏によれば、今回の施設はひとまず5年間の営業を前提に考え、実験的に運営していくが、フラッグシップ店と位置づけ、今後は全国にこうした施設を作っていく方針。ラウンドワンをベンチマークに、アジアでの海外展開も含め、2030年に100店舗の出店を目指したいとしている。

代表取締役社長の谷本勲氏