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サントリー山崎蒸溜所、11月1日から一般公開を再開

2023年10月11日 取材

サントリー山崎蒸溜所

 サントリーは、リニューアル工事を実施していた「サントリー山崎蒸溜所」を11月1日から一般公開する。これに先立ち、10月11日に報道関係者向けに内部が公開された。

 山崎蒸溜所は、サントリー創業者の鳥井信治郎氏が1923年にウイスキーづくりを始めた場所。11月1日からの一般公開では、新たな見学ツアーがスタートし、日本人の口に合わないと言われながら、さまざまな困難に直面しながらも、改良を重ね、ウイスキーを日本に定着させていく同社の歴史や、ウイスキーづくりのこだわりが紹介され、テイスティングも行なえる。

 見学ツアーは、「山崎蒸溜所 ものづくりツアー」(80分、3000円)と「山崎蒸溜所 ものづくりツアー プレステージ」(120分、1万円)の2つのコースが用意される。いずれも抽選制となっており、同社のWebサイトから申し込む形となっている。

山崎ブランドのウイスキー

 ベーシックな「山崎蒸溜所 ものづくりツアー」では、蒸溜所内で行なわれている仕込み、醗酵、蒸溜、貯蔵といった工程をたどり、最後に「サントリーシングルモルトウイスキー山崎」や「モルトウイスキーの原酒」、「山崎ハイボール」のテイスティングが楽しめる。

 プレミアムな「山崎蒸溜所 ものづくりツアー プレステージ」では、上記の内容に加え、通常は立ち入ることができない製造エリアでの作業の様子が見学できるほか、テイスティングにおいて「山崎12年」などが楽しめる。

 今回のリニューアルにより、コロナ前の見学と比べ、より五感でウイスキーづくりの工程を体感できる形になっている。

巨大な蒸留釜が並ぶ蒸溜棟
樽が並ぶ貯蔵庫

 新たに設置された仕込前室では、原料や製造工程を映像を交えて紹介。従来は立ち入ることができなかった発酵室にも入室でき、プレステージコースでは担当者が発酵桶のフタを開けて泡立つ様子を香りとともに眺められる。

 巨大な蒸留釜(ポットスチル)が並ぶ蒸溜棟の壁には山崎のロゴが描かれたほか、入室前のエリアに蒸溜工程の説明パネルを設置。蒸溜室内では、稼働中の釜の熱気をカラダで感じられる。その先にある貯蔵庫には、長年にわたって眠る大量の樽が並んでいるが、プレステージツアーではサンプリング作業の様子も見学できる。

仕込前室での原料・工程の説明
仕込釜
プレステージコース向けには特別な体験が用意されている

 施設の見学後に実施されるテイスティングについては、プレステージツアー用のゲストルーム「The YAMAZAKI」も新設された。こちらのゲストルームでは、蒸溜所内で使用していたポットスチルの銅板や樽材をテーブルや椅子、バーカウンターに加工して再利用されており、そうした山崎蒸溜所の歴史を感じながらテイスティングが行なえる。

プレステージツアー用のゲストルーム「The YAMAZAKI」

 なお、一般向けの見学コースには含まれていないが、今回の取材ではウイスキー製造の研究開発を行なう「パイロットディスティラリー」内も公開された。蒸溜所の本工場のミニチュア版とも言える施設となっており、ここで品質向上に関連する技術の開発が行なわれている。

 本工場の蒸留釜は直火とスチームの2通りの加熱方法が採用されているが、パイロットディスティラリーでは、環境に配慮しながらウイスキーをつくり続けることを念頭に、直火に加えて電気加熱の仕組みが試験的に導入されている。

パイロットディスティラリー内

 ちなみに、上記の2つの見学ツアーは有料かつ抽選制となっているが、エントランスから入ってすぐの「山崎ウイスキー館」までは先着予約制で無料で訪れることができる。製造工程の見学は行なえないが、パネル展示で同社の歴史やウイスキーづくりの工程を学べるようになっており、有料のテイスティングラウンジやオリジナルグッズを購入できる売店も設置されている。

「山崎ウイスキー館」は先着予約制で無料で見学できる
テイスティングできるバーカウンターは蒸留釜を再利用
各種オリジナルグッズも購入できる
エントランスには山崎の“杜”が作られ、蒸留釜の銅素材を使った門が設置されている