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サントリー白州蒸溜所、リニューアル完了でレストランの営業スタート

「白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ」も新設

2024年8月27日 発表

ものづくり棟 旧蒸溜釜エリア

 サントリーは、2023年から実施している白州蒸溜所のリニューアルを9月に完了する。

 9月1日には地元食材が楽しめるレストラン「Hakushu Terrace」がオープン。山梨県産の食材をふんだんに使った石窯ピザのほか、同施設でしか味わえないサントリー シングルモルトウイスキー 白州のオリジナルカクテルが提供される。

 同レストランは“白州の森と響き合うレストラン”をコンセプトに掲げており、豊かな自然に囲まれた環境のなかで食事が楽しめる。営業時間は10時~16時30分。定休日は年末年始と工場休業日。白州蒸溜所のWebサイトで8月28日10時から予約を受け付ける。

Hakushu Terrace

 また、見学ツアーとしては「白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ」が新設される。白州蒸溜所の歴史が感じられる場所での映像演出やつくり手との交流、品質向上の取り組みの一つの「フロアモルティング」を紹介。テイスティングでは、「白州森香るハイボール」や「サントリー シングルモルトウイスキー 白州 12年」が楽しめる。

 ツアーの開催日は月曜日と金曜日(年末年始・工場休業日を除く)。開催時間は11時30分~13時40分で、所要時間は130分。参加費は1万円。初回開催日は9月20日で、8月30日9時30分~9月3日16時29分に抽選の申込を受け付ける。なお、同ツアーの新設に伴い、「白州ものづくりツアー プレミアム」は終了となる。

 8月27日に開催された取材会では、ウイスキー部長の奈良匠氏と白州蒸溜所 工場長の中島俊治氏がリニューアルのポイントを説明した。

ウイスキー部長の奈良匠氏(左)と白州蒸溜所 工場長の中島俊治氏(右)

 山崎蒸溜所について、奈良氏は「ジャパニーズウイスキーの始まりの場所として創業者(鳥井信治郎氏)から受け継がれるウイスキー造りの魂をより感じていただくべく、“SOUL”というコンセプトで改修を行った。施設としては、創業者の思いを感じられるウイスキー館や、ウイスキーとより向き合うことができるテイスティング空間を改修し、お客さま向けのツアーでは、ものづくりのこだわりを体感いただくべく、つくり手との直接の交流などを含む新ツアーを2023年11月より開始している」と紹介。

 一方、白州蒸溜所については、「2代目社長である佐治敬三の思いから始まり、竣工当時から森林公園工場という考え方で自然との共生を大切にしてきた。自然と共生した未来に向けたものづくりをよりご体感いただきたいという思いで“LIVE!”というコンセプトで改修を行なってきた」と、それぞれの蒸溜所の違いを説明。今回、その改修が完了したことになる。

 天然水工場との共通エントランスとなるビジターセンターやテイスティングラウンジなど、改修の一部は2023年に実施済みで、同年10月から見学の受け入れを再開しているが、2024年5月中旬にビジターセンターとバードサンクチュアリを結ぶ「バードブリッジ」が完成。7月からは「白州の森」ミニツアー(無料、30分、平日開催)も開催されている。

バードブリッジ

 そして9月1日にオープンするのが新レストランの「Hakushu Terrace」となる。同レストランでは、「白州フォレストピザ」(2200円)をはじめとする地元食材を使った各種料理や、「白州 森香るハイボール」(700円)や「白桃ハイボール」(1200円)といったドリンクが楽しめる。

Hakushu Terraceの外観。屋根は銅板が葺かれているが、ポットスチルを再利用しているわけではない
レストランの内部
星の形をした「白州フォレストピザ」
包むように食べるのがオススメ
レストランのメニュー

 1階のレストランは予約制となるが、見学ツアーの参加者は座席に余裕があれば当日利用も可能となっている。レストランに空席がない場合も、テイクアウト用のカウンターが設置されており、各種ドリンクやおつまみなどを購入し、2階のフリースペースで飲食することが可能だ。

2階のフリースペース
テイクアウトメニュー

 また、今回のリニューアルでは、見学用の施設の改修だけでなく、「フロアモルティング」や「酵母培養プロセス」といった新たな製法に挑戦するための設備の改修も行なわれている。

 フロアモルティングは、ウイスキーの原料となる大麦を床の上で発芽させて麦芽を作る伝統的な製法。同社では発芽した麦芽を調達して原料にしていたが、8月中旬からその一部を自社内でのフロアモルティングに切り替え、これまで以上に麦芽と向き合って研究を進めていく。

 9月20日にスタートする「白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ」は、そんなフロアモルティングの様子を見学しながら、つくり手に直接質問できる貴重な機会となる。

「白州蒸溜所ものづくりツアー プレステージ」ではフロアモルティングの様子を見学しながら、つくり手に直接質問できる

 もう1つの酵母培養プロセスについては、酵母の安定的な調達と品質向上を目指し、ウイスキー生産で使用する酵母を自社で増殖させる取り組みで、9月中旬に稼働を開始し、2025年に本格稼働に移す計画。中島氏によると、こちらは酵母が繊細な生き物で、高い清浄度が求められることから、一般向けの公開は予定していないとのことだ。

貯蔵庫の奥には試飲コーナーも設置されている
1996年まで使用されていたポットスチルが並ぶ「ものづくり棟」内
プレステージツアーで使用されるテイスティングルーム
地元食材と白州のマリアージュ体験も