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自宅に届く「山崎」にテンションアップ。サントリーウイスキー「リモート蒸溜所ツアー」に参加してみた

山崎蒸溜所/白州蒸溜所を見学できるオンライン・ライブ

Zoomのウェビナー機能を使ったリモート蒸溜所ツアー「山崎蒸溜所オンライン・ライブ」

 サントリーのウイスキー蒸溜所は、一般の人が見学できる施設(要予約)としてっても人気のあるスポットだ。

 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、2020年2月より受け入れを休止している。新型コロナがいつ収束するのかは見通せない状況ではあるが、ウイスキーファンにとって一度は訪れてみたい場所として再開の要望は数多く寄せられており、検討した結果、2月からインターネットを使ったリモート蒸溜所ツアー「山崎蒸溜所オンライン・ライブ」「白州蒸溜所オンライン・ライブ」を開催することにした。この山崎蒸溜所オンライン・ライブを体験してきたのでレポートする。

サントリーウイスキー「リモート蒸溜所ツアー」のWebサイト
サントリーウイスキー「リモート蒸溜所ツアー」

料金: 有料(事前申込制)
Webサイト: サントリーウイスキー「リモート蒸溜所ツアー」

 サントリーの2021年におけるウイスキー事業戦略は、従来と同じくハイボール訴求による市場の牽引、中長期でのウイスキーファンを創出することだ。その戦略において、今年は蒸溜所体験の革新を図っていくという。

 山崎蒸溜所(大阪府三島郡)、白州蒸溜所(山梨県北杜市)は、ウイスキー原酒生産拠点としての役割はもちろんのこと、見学会などの体験を通じて未来のファンを創出する重要な役目もある。そのため2つの蒸溜所では、有料ツアー、無料見学会を開催し、年間約30万人の訪問を受け入れてきた。

 昨今のコロナ禍により蒸溜所見学が休止されていることが今回のリモート蒸溜所ツアー開設の理由であるが、もう一つの理由としては、来場者の居住地域によっては気軽に行けない距離を埋めるためのニーズに応える側面もある。アンケートによると、山崎蒸溜所に訪問した人の51%は関西圏であり、もう一方の白州蒸溜所を訪れた人は関東圏が69%と近隣に集中している。そのため、移動や時間などの物理的制約のないリモート蒸溜所ツアーを開設すれば、遠方の人でも気軽に蒸溜所の雰囲気を味わえる新たなチャンネルが加わることになる。

 リモート蒸溜所ツアーは、360度フリーツアー(無料)とオンライン・ライブ(有料)の2つが用意されている。360度フリーツアーはVR技術を使ったもので、視点を自由に変えながら山崎蒸溜所ならウイスキー館の1階と2階、白州蒸溜所ならウイスキー博物館の1階と展望台をWebブラウザからいつでも見学できる。

 ところどころにウイスキー検定に出されるクイズや音声ガイドが用意されている点も見どころだ。オンライン・ライブは、リアルタイムで工程を見学できるツアーで、ナビゲーターに質問することも可能だ。事前に送られてくるテイスティングキットを使った試飲を楽しめるのもウリであり、20歳以上でウイスキーに興味がある人を対象にしている。

山崎蒸溜所の360度フリーツアー。展示施設であるウイスキー館を自由に散策できる。現在のところ表示や音声ガイドは日本語のみとなっているが、2021年春頃に英語版が登場する予定だ

 では早速、オンライン・ライブの内容を紹介しよう。今回体験したのは、山崎蒸溜所のオンライン・ライブだ。山崎蒸溜所は大阪府の北、京都府の県境に位置する大阪府三島郡に日本で最初のモルトウイスキー蒸溜所として1923年(大正12年)に開設された由緒ある蒸溜所だ。創業者の鳥井信治郎氏が良質な水とウイスキーの熟成に適した環境に魅せられてこの地を選んだという。同社の人気ウイスキーである「山崎」は、こちらのモルト原酒だけで作られたシングルモルトウイスキーだ。

天王山のふもと、水生野と言われる名水の里に設立された山崎蒸溜所(写真提供:サントリー)

 オンライン・ライブに参加するには、事前に同社のWebサイトから予約する必要がある。自分が参加できる日時のコマを選択して参加者情報を登録し、オンライン決済(3000円・税別)すれば完了だ。オンライン・ライブはZoomのウェビナー機能を使って参加するので、事前にインストールしておく。

 その後、事務局からは参加先URLなどがメールで届き、テイスティングキットが宅配便で送られてくる。テイスティングキットには、刻印の入ったテイスティンググラス、山崎のミニボトル(180mL)、製造工程が記されたテイスティングシート、参加方法の詳細が記された説明書が入っているので目をとおしておきたいが、くれぐれも貴重な山崎が目の前に現われたからといって開栓してはいけない。ここはグッと我慢して、オンライン・ライブ当日まで楽しみに待とう。

事前に届くテイスティングキット。山崎のミニボトルと刻印が入ったテイスティンググラスが入っている
ジャパニーズウイスキーへの高評価とドラマの影響などもあり、メーカー希望小売価格で購入できなくなって久しい山崎が目の前にあるとテンションが上がってしまう……

 オンライン・ライブは山崎蒸溜所の説明から始まり、モルトウイスキーの製造工程を、原料、仕込み、発酵、蒸留、熟成・貯蔵、ブレンドの順で約60分間、映像を見ながらガイドしてもらう。映像は事前に録画されたものであるが、従来の見学ツアーでは公開されていなかった発酵過程の様子なども用意されており、ウイスキーファンにとっては興味深いシーンが目白押しだ。また、チャット機能を使って質問ができるのもライブならではといったところ。説明の合間に参加者の疑問に対して、明朗な回答を返してくれる。

山崎蒸溜所を知り尽くしたナビゲーターがていねいに説明してくれる
先日の降雪の様子など、時事ネタを盛り込めるのもライブならでは
この日の内容は5本立ての約60分
ウイスキー作りに欠かせないピート(泥炭)も登場
発酵槽で湧き出る泡を処理している様子
形によって原酒のテイストが変わるポット・スチル(単式蒸溜器)
サントリーウイスキー「リモート蒸溜所ツアー」(動画提供:サントリー)

 終盤にはお楽しみのテイスティングの時間が用意されている。グラスに山崎を注ぎ、色や香りの楽しみ方、水を加えた場合の変化など、ウイスキーの楽しみ方をいろいろと学べる。

 口にしたあとは、味や余韻といった部分をゆっくりと楽しみたい。ちなみに同社の山崎の評価は、色は「赤みがかった明るい琥珀色」、香りは「苺、さくらんぼ」、味は「蜂蜜、なめらかな口あたり、広がりを感じる甘み」で、フィニッシュは「甘いバニラ、シナモン、綺麗で心地よい余韻」となっている。

 麦汁がなぜここまで香りや味に変化をもたらすのかとても不思議だが、ポットスチルの形状による違いや貯蔵樽の使い分け、熟成の期間や場所による違いなど、一通り学んだあとで味わう一杯はまさに格別。これが蒸溜所見学ツアーの人気の理由であるわけだが、オンライン・ライブではその雰囲気を自宅にいながら楽しめるのはとてもうれしい。

ウイスキーの楽しみ方をいろいろと学びながら実際にテイスティングできる。以前に飲んだときより美味しく感じるのはオンライン・ライブのおかげ!?
最後にサントリー流の美味しいハイボールの作り方を教えてくれるので、ミネラルウォーターやソーダ、氷なども用意しておくのがベター

 2月からスタートしたオンライン・ライブは、現在のところ土日と平日の一部で開催される予定だ。テイスティングキットの発送などもあることからそれぞれ定員数が決まっており、2月分は山崎蒸溜所、白州蒸溜所ともに完売となっている。

 3月分についても山崎蒸溜所は平日の一部を残すのみで、白州蒸溜所も前半の土日は完売となっている状況だ。4月分の申し込みは3月1日10時からなので、興味のある方は同社のWebサイトをチェックしてもらいたい。