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ハワイ修学旅行向け視察ツアーに8校教諭が参加。歴史と自然をどっぷり学ぶ“リゾート”だけじゃない面白さを発見してきた!【後編】
ハワイ州観光局×ハワイアン航空
2023年7月31日 06:00
- 2023年7月下旬 開催
ハワイ州観光局 日本支局(HTJ)とハワイアン航空(HA)は7月下旬、3泊5日にわたる「ハワイ(オアフ島)教育旅行研修」を開催した。
コロナ禍を乗り越えついに中学・高校の修学旅行が本格解禁となった今年は、北海道、東京都、神奈川県、静岡県、兵庫県、福岡県の公立・私立から全8校10名の教諭が参加。前編に続き、視察ツアーの模様を写真たっぷりで紹介していく。
意外と知らない? ハワイの学びスポットに行ったら大人たちも大興奮だった
教諭一行を乗せたHA864便がいよいよダニエル・K・イノウエ国際空港に到着。関空・福岡発の便で来たチームとも合流し、ハワイ旅のスタートだ。
ハワイでしたいコトといえば、ワイキキビーチのマリンアクティビティに大型免税店でのショッピング、ステーキやアサイーボウルといった名物グルメ……。旅慣れた人ならハワイ島まで足をのばし、世界遺産「キラウエア火山」を観光するのも定番だろう。
一方、修学旅行ではそういった“リゾート観光”ではなく、異文化体験や国際交流など“現地の人と暮らし”に重点が置かれる。そのルーツを学びに、今回はHTJ監修のもとハワイの歴史や自然を展示するさまざまな施設を巡った。
一度に30~100名規模の団体やグループ別行動する修学旅行においては、国内外に関わらず遅刻や忘れ物や体調不良、渋滞といったトラブルが付きもの。
いざ本番で引率を担う教諭たちは、そういったリスク回避のアドバイスを受けながら、パールハーバー、戦艦ミズーリ記念館、イオラニ宮殿、ビショップミュージアム、クアロアランチ、ワイキキ歴史街道の見学ガイドツアーへ向かった。
また道中では、「HOLOカード」という電子マネー(日本でいうSuica)を使ってホノルルを走るローカル路線バスに乗車したり、集合場所や記念写真撮影にも適したランドマーク、団体収容可能な大型フードコートをチェックしたりと、フィールドワークを想定して教諭自ら体験。
リゾート観光の中心部から行動範囲を広げてみることで、ハワイの違った楽しみ方を発見することができた。
ハワイには何度か訪れたことがあるという参加者たちからも、「まだまだ知らないことが多い」「新鮮」「大人が興奮する」「先生たちのほうが勉強になる」との声。
HTJの坂梨好氏が「まずは大人自身が体験してみることが大事。子供と旅の感動を共有できる」と語るように、そこで得られた教訓を持ち帰って事前学習に活かすことが、修学旅行において成功のカギとなる。
美しい自然を守る「マラマ」とは? ハワイ大学での座談会&キャンパスツアーへ
ハワイは自然環境を守ることへの意識がとても高い国。たとえばサーファーたちがビーチクリーン(ゴミ拾い)を日常習慣として行なったり、サンゴ礁に害を与えない日焼け止めクリームを使ったり、ペットボトル飲料は買わずにエコボトルを持参したりというように。
今回、HTJが推進する「マラマハワイ(ハワイを思いやる心)」への理解を深めるため、ビショップミュージアムでワークショップを行なうNPO団体「Parley for the ocean」を訪問し、海洋環境保全について話を聞いてきた。
ハワイ諸島の漂着ゴミ問題は深刻で、韓国、中国、ロシアなど世界中から大量のプラスチックゴミが流れ着く。漂流中に砕けたマイクロプラスチックは海洋生物や生態系にも害を与える。もちろん排出源は日本も例外ではない。
Parleyでは、これらビーチで回収したプラスチックを機械でさらに粉砕して溶かし、インテリアやカラビナ、スニーカーといった別のものに加工して蘇らせる。この活動を通じて「マラマ」を世界の人に伝え、プラスチック削減やSDGs「海の豊かさを守ろう」の達成を目指している。
修学旅行においてもSDGsは主要テーマの1つであり、ただ単に学生がビーチクリーンを体験するのではなく“事前学習してから臨むこと”とそれを“継続すること”の大切さを教諭たちが改めて知る好機となった。
3泊5日で行なった視察ツアー、最終日には「ハワイ大学マノア校」を訪問。ホノルルにメインキャンパスを置くアメリカ合衆国の州立大学で、1907年創立の歴史を持つ。地元の学生以外に世界中から留学生を受け入れており、東京大学や早稲田大学といった日本の提携大学も数多い。
ここでは、学生同士の国際交流を想定してキャンパスツアーを行なったほか、ハワイ大学マノア校 経済学科の樽井礼教授、ハワイでのホームステイや留学を支援するリボンプロダクションズの宮原まゆみ氏、ニッキー・トンプソン氏を交えて座談会を実施した。
樽井教授はアフターコロナのハワイにおいて、「誘客数を元どおり回復させることが果たして正解なのか、観光事業者が直面している問題」と話す。というのも、ハワイの人気シュノーケリングスポット「ハナウマ湾」ではコロナ禍で観光客の立ち入りが9か月間禁止されたことで水の透明度が約60%改善し、サンゴの生育にもよい影響をもたらしたことが調査で判明した。
観光客数が一気に急増しているハワイだが、「ビーチ以外への誘客や入場規制を設けるなど、経済と環境保護の両面から検討する余地がある」と樽井教授は言う。
このコロナ禍で、ESTAをアプリで取得できるようになったり、海外SIMカードの差し替えが要らないデータ通信サービスが発売されたり、デジタル庁の「Visit Japan Web」で日本帰国時の関税審査がスムーズになったりと、DX化の加速とともにより簡単に渡航できるようになった。
今年こそ久しぶりにハワイへ!と考えている人は多いだろう。次はぜひ、新しい発見と学びいっぱいの“修学旅行的プラン”で楽しんでみる、という選択肢もオススメしたいところ。
最後に、ハワイ州観光局 日本支局 局次長の寺本竜太氏は今回の研修を振り返り、「ハワイで修学旅行を実現させるため本気で学びに来ている学校の先生方が集まってくださり、いつも以上に精度の高いものとなった」。
さらに今後の展望について「長年ダッグを組んできたハワイアン航空との本プログラムを途切れさせることなく継続し、また文部科学省と協議中のカリキュラム化推進に向けて取り組んでいく」とした。