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【ハワイ現地発】ロックダウンから3年、盛大に行なわれた「ホノルルフェスティバル」

必要な買い物以外は同居する家族との散歩とサーフィンのみが許されていたころのワイキキ界隈のビーチ

 3年前の2020年3月26日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、ハワイ州で外出禁止令が発令された。いわゆるロックダウンで、旅行客も原則的にホテルで待機を求められた。

 その後、日本とハワイ間の飛行機がキャンセルとなり、ワイキキは静まり返り、人もクルマもまったく見かけなくなった光景は現実のこととは思えなかった。

「高齢者を守ろう」というハワイらしいスローガンが道路の至るところに書かれていた

 その年にキャンセルを余儀なくされた「ホノルルフェスティバル」が、4年ぶりに開催された。ホノルルフェスティバルは、日本とハワイ、環太平洋の国々との文化交流をテーマとして毎年3月に実施されてきた。日本各地から、伝統文化や音楽団体、ダンスグループ、大学などのほか、卒業旅行として参加する高校もあって、彼らはダンスパフォーマンスを披露したり、グランドパレードに参加したりする。このほか、ハワイ各島からも参加者が集い、教育、文化体験、交流などいろいろな角度から楽しめるイベントとなっている。

会場のコンベンションセンター入口で同フェスティバルの歩みを見ることができる

 第1回が行なわれたのが1995年、今年は第27回を迎えた。日本からハワイへの到着数もぐんと増え、にぎわいを見せた3日間を振り返ってみたい。

会場に飾られた「ホノルル大蛇山」。最終日にカラカウア通りを火を吹きながら練り歩く
マウイ島の高校生のデザインによる「マウイ神輿コンテスト」で優勝した「マウイ神輿」

 1日目の目玉は「フレンドシップ・パーティー」。ステージでのエンタテイメントを楽しみながら、地元で人気のレストランの味を満喫する。

ハワイ発の和太鼓チーム「Dragon Beat Hawaii」によるパフォーマンス
ハワイの祭りでは欠かせない「ポリネシアンダンス」で会場が盛り上がった

 お目当てとなる食事は、「アロハステーキ」「アロハテーブル」「ヘブンリー・アイランド・ライフスタイル」「ジグ」のほか、注目のサステナブルフレンチ「ナチュール・ワイキキ」「竈ラーメン・タバーン」のスペシャルメニューが揃った。

ププ(つまみ)にしようと、最初にセビーチェとチップスをチョイス
各店舗が並んでいるので好きな順番に好きな料理をピックアップできる

 今年は全店舗の料理とドリンク1杯付きのチケットが1人100ドル。毎年、集まった基金は、地元の学生達に国際的な理解と意識を高めるための機会や質の高い教育プログラムを提供することに役立てられている。

ハワイ島産牛肉を使ったタコス

 2日目と3日目は、コンベンションセンターで日本映画祭や酒&フードフェス、物産展、クラフトフェア、盆ダンス(ハワイでの夏の風物詩)、ステージではダンスサミットが行なわれた。文化体験をしたり、買い物をしたり、踊ったり、いろいろな体験ができる。

最終日に打ち上げられる長岡花火の実物大レプリカ。1尺玉は11kg余の重さ
ハワイの伝統文化の一つであるキルト。さまざまなデザインが展示された
植物が大好きなローカルは「苔玉」に興味津々。説明を聞き、購入する人も多い
しかけ絵本(飛び出す絵本)は英語の勉強にも最適。ギフトへも人気がある
ハワイの植物を使ったナチュラル化粧品がセール価格で販売されていた
ハワイの貴重なコアウッドを使ってハワイの動植物をモチーフにデザインしたピアス

 この数日前にニュースでも話題になったのが、水質汚染が問題になっていたアラワイ(ワイキキ沿いの運河)を、自然の(菌の)力できれいにする「ゲンキ・アラワイ・プロジェクト」。定期的に実施されてきたこのプロジェクトだが、最近はアラワイにホヌ(海亀)が現われ、先日はモンクシールが泳いでいるのが報道された。その活動のために必要な菌を入れた「ゲンキボール作り」が会場で行なわれた。

土、糖蜜、EM菌などを混ぜて泥団子(ゲンキボール)を作る
子供も大人も楽しみながら混ぜてこねて、丸く型作っていく

 できあがったゲンキボールを数日寝かせると菌がゲンキになって力を発揮するという。

作りたてのゲンキボール

 このあと、あらかじめ作っておいたゲンキボールをアラワイに投入するイベントが行なわれた。

山からアラモアナの海へと流れるアラワイ運河。近代化に伴って水が澱んでしまったことから「人も魚も泳げるように!」と始まったのが「ゲンキ・アラワイ・プロジェクト」

 今回新たに「ホノルル アートマーケット」も開催された。ローカルアーティストによる絵やグッズが多数販売され、個性あふれるアートを一度に見ることができるので、多くの人が集まっていた。

レイやサーフボードなどハワイが誇る文化をデザインしたALOHA DE MELE
変わらぬ人気を誇るヘザーブラウンによる作品。絵やバッグなどが揃っていた
オアフ島ノースショア出身のローカルアーティスト、ジャック・ソレンの作品
最近流行っているのがこの手法のアート。立体的な波と透明感のある青が特徴
ラグへの刺繍パフォーマンス。こちらはラグの裏側で、表面に回ってみると……
ラグの表から見ると、波乗りするフラガールがデザインされているのが見られる

 酒&フードフェスも大盛況で、試飲販売が行なわれた。

ハワイに根付いた酒文化を世界へ広げることがテーマという
日本から酒造りがハワイに伝わった歴史をパネルで学べる
ハワイのローカルは大好きな日本酒の試飲に目を輝かせていた
33年ぶりにハワイで酒造りを再開させたアイランダー酒

 最終日のクライマックスはワイキキのグランドパレードと長岡花火だ。グランドパレードは16時から行なわれ、各国からの参加者がその国の伝統的なパフォーマンスをしながらカラカウア通りを4時間かけて練り歩いた。

日本から毎年参加する弘前ねぷたは迫力満点の祭りをハワイに届けている
ワイキキのカラカウア通りで4時間にわたってパレードが行なわれた
フェスティバルのフィナーレ、長岡花火

 毎年風物詩のように3月に行なわれていたホノルルフェスティバルが、こうして再開して大盛況に終わったことは、我々一般市民にとっても感慨深いものがあった。開催されて「当たり前」ではなかったと気付かされた大きなイベントだったから……。

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。