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ベルギー・ブリュッセルからミッション団が来日。2023年のアール・ヌーヴォー企画展やベルギービールをPR。ANA直行便再開にも期待

2022年12月5日 実施

ブリュッセルからミッション団が来日

 ブリュッセル観光局とベルギー観光局ワロン地域は12月5日、「我々の定める目的地の持つ資産。その真価」をテーマに都内でパネルディスカッションとネットワーキングイベントを行なった。これはベルギー王室率いる経済使節団の訪日に際して実施したもの。

ブリュッセル首都圏政府国務長官/欧州および国際関係・海外貿易担当大臣 パスカル・スメット氏
ブリュッセル国際空港 航空マーケティングマネージャー タニア・トールオセピアンツ氏

 パネリストとして登壇したのは、ブリュッセル首都圏政府国務長官で欧州および国際関係・海外貿易担当大臣のパスカル・スメット氏。「ブリュッセルは国際的な都市で、人口120万人中7割がマイノリティ。マイノリティの文化が浸透しており、いつでもアットホームに旅行者を迎えてくれる」と話し、欧州の中心にある立地のよさから、周辺諸国から飛行機や高速鉄道、バスなどで簡単にアクセスできる点をアピールした。ブリュッセルには現在、80か国185都市から航空便が乗り入れているという。

 ブリュッセル国際空港 航空マーケティングマネージャーのタニア・トールオセピアンツ氏も「ブリュッセル空港は欧州のハブ」と強調。現在利用者数はコロナ前の80%まで回復していることを明かした。

ブリュッセルの特性を数字で説明するとともに、アクセスの利便性をアピール

 セミナーでは、スメット氏がブリュッセルの最新情報についても紹介。ブリュッセルはアール・ヌーヴォー建築で有名だが、2023年はアール・ヌーヴォー・イヤーとしてさまざまな企画展やイベントを開催し、これまで非公開だった建物の公開なども実施するという。

新プロジェクトをまとめて紹介

 また2023年にはブリュッセルの旧証券取引所内に「BEER WORLD」が開館する予定。ビール造りを学ぶツアーに参加し、最後にはビールの試飲もできるとのこと。2024年には、2018年に仮オープンしたパリのポンピドゥー・センターの別館である「カナル・ポンピドゥーセンター」が正式にオープンする。さらにベルギーで有名な漫画のキャラクター、猫の「ル・シャ」のミュージアムも開館するという。

モデレーターを務めたブリュッセル観光局 CEOのパトリック・ボンティンク氏
ブリュッセルの見どころを美しい写真でPR

 ベルギー観光局ワロン地域 コンサルタントのダミアン・ドーム氏は、ワロン地域の観光スポットとして、モンスからリエージュにかけて古城を見学できることや、素晴らしい景観を誇るディナンなどを紹介した。

ベルギー観光局ワロン地域 コンサルタントのダミアン・ドーム氏

 またドーム氏は、以前ベルギー観光局 ワロン・ブリュッセル日本支局長を務めており、ベルギービールの普及にも一役買った人物。「ベルギーにはアルコール度数の低い甘いフルーツビールから濃いビールまで幅広いビールがあり、いろいろな人が楽しめる」と自信を示し、2010年から開催されている「ベルギービールウィークエンド」の最後のイベントが2022年12月11日まで新宿で開催されていることもアピールした。

ブリュッセルからベルギーの主要観光地へは電車で約1時間
ナミュールとディナンの美しい景色

 また、パネリストで駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)会長のフレデリック・マゼンク氏は、世界的な物価高で航空券代や宿泊費、レストランの料金が高くなり、円安が続くなか「日本人からすると海外旅行は高くなってきているのは事実」と、日本の旅行業界の現状について解説。

 海外旅行の傾向としてリピーターとシニアの富裕層の比率が高まっていることから、「売っていくためには業界としてそういう人たちに適したオファーを提供していかなければならない」と語った。

駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)会長 フレデリック・マゼンク氏

 さらに世界的に注目が高まるサステナブルツーリズム(持続的な観光)について、「日本ではまだ『サステナブルでなければ行かない』というほどメジャーではない」と指摘。ただし、コロナの影響で自然やグリーンツーリズムに注目が集まりつつあることから「人や観光にとって優しい旅を求める傾向にはあるので、デスティネーションとして応えなければならないのでは」と話した。

ANAあきんど 代表取締役社長 菅谷とも子氏

 ANAグループのマーケティング&セールスなどを担当するANAあきんど 代表取締役社長の菅谷ともこ氏もSDGsやサステナブルツーリズムについて言及。「企業が先進事例を学ぶために欧州、ブリュッセルを訪れることも考えられる。そうした要望も受け止めていきたい」と話した。

 今後の旅行需要については、「政府のマインドでずいぶん変わる傾向にある。規制緩和されると旅行者もそのように動く。政府と連携しながら旅行を促進していきたい」とした。

 ANAは2015年10月に成田~ブリュッセル線を開設したが現在は運休中。菅谷氏は、「希望としては来年から直行便を飛ばしたいと思うが、未来の話をしているので……」と明言を避けた。そのうえで「2023年、24年とブリュッセルでビッグイベントがあるので、ぜひ直行便で飛べるよう皆さまに応援してほしい」と語り、「直行便でなくても、欧州の各都市経由でもブリュッセルに入ることができる」と経由便を紹介した。

 なおANAは冬ダイヤ(2022年12月2日~2023年1月11日)の成田~ブリュッセル線を往復10便、曜日を限定した臨時便として運航中。以降の予定は未定としている。