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日本旅行業協会、業界のコンプラ強化に向け手引き書を配布。池畑事務局長「信頼回復に取り組む」

2022年1月27日 実施

コンプライアンスの取り組みについて説明する一般社団法人日本旅行業協会 事務局長 池畑孝治氏

 JATA(日本旅行業協会)は1月27日、霞が関の本部で定例会見を開き、会員企業のコンプライアンスへの取り組みについて説明した。骨子についてはANTA(全国旅行業協会)と共同で25日に発表しており、会員企業による雇用調整助成金やGo To トラベル給付金の不正受給を受けたもの。

 後者については、観光庁が不正受給の事実関係を把握した3社(JHAT、ミキ・ツーリスト、ジャパンホリデートラベル)について、今後開始予定の新たなGo To トラベル事業への参加を認めないといった措置を2021年12月28日に公表しており、文書では「刑事告訴も視野に入れ」と厳しい表現を使いつつ、ミキ・ツーリストとジャパンホリデートラベルの親会社であるHIS(エイチ・アイ・エス)には厳重注意を行ない改善策の策定を指示する、としている。

 こうした背景から、事務局長の池畑孝治氏は「国民の信頼を回復するために何をすべきか」をJATA内部でも検討を重ね、今回の取り組みに至ったと説明する。会員企業への聞き取りを進めるなか、「しっかりやっているところもあれば、小規模な企業で(コンプライアンスコードなどの)形が整っていないところもあった」という現状から、「旅行業界におけるコンプライアンスへの取り組みの手引き」を作成。これをJATA・ANTAそれぞれのWebサイトに掲載して、各社が自身で行動規範を作成できるよう展開していくという。

 現時点ではこれら作成期日などは設けておらず、まずは本取り組みの1つにある「経営者向けのコンプライアンス研修」(初回は3月中旬)を通じて経営層から意識の改革を促し、各社の行動規範作成を求めていく。

 また、300名超の大きな企業では内部の通報窓口を作っているが(窓口設置は公益通報者保護法による義務)、中小でそういったものがないところに向けては、「国土交通省公益通報相談窓口」の存在を周知するよう要請。加えて、会員企業の職員向けにeラーニングでコンプライアンス研修動画・試験の提供を行ない、業界全体で意識の向上と定着に努めていくという。

「JATA経営フォーラム 2022」について説明する一般社団法人日本旅行業協会 次長 渡辺正樹氏

 JATAは第30回「JATA経営フォーラム 2022」を2月21日10時から開催する。前回同様オンライン開催で、今後プログラムの収録を行ない、参加者向けにYouTubeで動画配信を行なう。動画の公開期限は3月31日。

 視聴は無料だが事前登録を行なう必要があり、Web上のフォームから氏名や企業名などを入力する。説明を行なったJATA 次長の渡辺正樹氏は、JATA会員でなくとも視聴できるため、観光に携わる方に広く見てほしいという。プログラムは基調討論、7つのテーマセッションなど以下のとおりで、全体で約8時間程度になるとのこと。

「JATA経営フォーラム 2022」プログラム

トップリーダーメッセージ

会長挨拶:JATA会長 髙橋広行氏
来賓祝辞:観光庁長官 和田浩一氏(文書による祝辞)

基調討論:旅行業「再生」へ向けて

モデレーター:JATA理事・事務局長池畑孝治氏
パネリスト:
JTB 取締役会長 髙橋広行氏
ANA X 取締役副社長 加藤恭子氏
エイチ・アイ・エス 取締役上席執行役員 山野邉淳氏
風の旅行社 代表取締役 原優二氏
KNT-CTホールディングス 代表取締役専務 小山佳延氏
日本旅行 秘書広報部長 佐藤均氏

テーマセッション

・分科会 A:コロナ禍での海外旅行の顧客維持に必要なことを考える

・分科会 B:デジタル×リアル融合による新しい旅行会社のビジネスモデルのあり方

・分科会 C:ウイズ・ポストコロナの訪日旅行に向けて

・分科会 D:コロナ禍に立ち向かう中小旅行会社の取組み

・分科会 E:観光庁観光戦略課長に「観光の現状と今後の取組み」を聞いてみた

・分科会 F:SDGs持続可能な観光をカタチに「農泊」からサステナブルツーリズムを考える

・分科会 G:ワクチンによる国内外の交流の復活