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日本旅行業協会 髙橋会長「Go To再開はワクチン検査パッケージで」

2022年1月12日 実施

JATAが新春会見を実施した

 JATA(日本旅行業協会)は1月12日、霞ヶ関の本部で会見を実施した。新会長の髙橋広行氏(JTB 取締役会長)の就任後、新体制へ移行してから初めての公の場となった。

 新体制では、2021年12月6日に会長に就任した髙橋氏を筆頭に、副会長を小谷野悦光氏(日本旅行 代表取締役社長)が続投、12月17日から新副会長として原優二氏(株式会社風の旅行社 代表取締役)と酒井淳氏(株式会社阪急交通社 代表取締役社長)が加わっている。なお、髙橋氏は引き続き国内旅行担当、小谷野が訪日旅行担当、酒井氏が前会長の菊間潤吾氏氏に代わり、海外旅行担当となっている。

会長 髙橋広行氏(株式会社JTB 取締役会長、国内旅行担当)
副会長 小谷野悦光氏(株式会社日本旅行 代表取締役社長、訪日旅行担当)
副会長 原優二氏(株式会社風の旅行社 代表取締役)
副会長 酒井淳氏(株式会社阪急交通社 代表取締役社長、海外旅行担当)

会見詳細

 以下、会見での髙橋新会長の就任あいさつと今後の取り組みについての発言をまとめる。

「コロナとともに二度目の正月を迎えた。今またオミクロン株が拡大しているが、ワクチンの接種が進んで、ブースター接種も始まっている。なにより、経口薬の準備が進んでいることもあり、観光業の回復に今年は期待できるのではないか。

 私の会長としての使命は『観光業の再生』にある。ただマーケットがもとに戻ればよいというのではなく、これからのニューノーマルにふさわしいツーリズムを作っていく。サービスや商品だけでなく、業界内外との連携など、新たな道を追求していく。

(ワールド航空サービスの雇用調整助成金不正受給やHIS子会社によるGo To トラベル給付金の不正受給などについて)まことに遺憾であり、大変重く受け止めている。一会員企業の問題ではなく、JATAとしても襟を正して、コンプライアンスの徹底に取り組んでいく。全会員企業を対象に実態調査を行ない、コンプライアンスの対策が甘い企業がある場合はJATAでコードを設定して提供する、経営者に対してセミナーを行なうなどの取り組みを実施する。

 断続的な緊急事態宣言を受け、特に国際往来は実質ストップしたままで、旅行マーケットは低迷を極めた。コロナ前の2019年度比で8割減という状況で、会社の規模・業態を問わずぎりぎりの状態が続いている。

 そのため、今後国内旅行はできるだけ早いGo To トラベルの再開を希望する。Go Toは1つの行動基準のようなところがあり、旅行マインドを喚起してくれた。マーケットの再生には不可欠と考えている。再開にあたっては、『ワクチン・検査パッケージ制度』の実証実験で得た知見をもって実施することが肝要で、実験には約8000人に参加してもらったが、1人も感染者を出すことがなかった。安全対策を徹底すれば旅行できるということが、データとして証明できた。

 国際交流は2020年3月以降ストップしている。コロナ禍で変わってしまった各国の状況を把握して、今後の旅行商品造成に役立てるために政府観光局と連絡を取ったり、オンラインセミナーなどを実施したりしてきた。日本と2国間でトラベルバブルを開きたいという国もあるので、提言をしていきたい。また、インバウンド(訪日旅行)は、『コロナ後に最初に訪れたい国に日本を挙げる外国人が多い』というデータもあり、来たるべきときに備えたい。

 冒頭、私の使命は『観光業の再生』であると述べた。業界は大きな痛手を負ったが、新たな旅のあり方や将来のマーケットについて考える機会にもなった。地球環境に対するGX(グリーントランスフォーメーション)やSDGsは喫緊の課題で推進していくが、新たな旅の形としてワーケーションや農泊、グランピングなども注目を集めている。

 安心安全なツアー作りやオペレーションの構築も進める。海外旅行は現地のオペレーターと連携して、旅行会社ならではの商品作りをしなければならない。DXもまったなしで、利便性を向上して業界の課題である生産性・収益性の向上に務めたい。コロナがもたらした状況にいかに新しい商品で対応できるか、このたびの環境変化は体質改善を図る機会にしたい。商品・サービスの面、システム運用、管理業務なども業界全体で共有できればと考えている。

 また、すべての事業の根幹をなすのがコンプライアンス。業界全体で意識の改革に向けて取り組んでいく。第5波の終息で気運が高まった来たときにオミクロン株が拡大した。雇用を維持するために国による支援に頼らざるを得ないが、本意ではなく、できるだけ早く自助努力で解決したい。旅行を待ち望んでいるお客さまのためにも、各社と協力して全力で取り組んでいく」