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月5000円で渋谷エリア乗り放題の「mobi」初日の様子。会員で「運転手付きのクルマをシェア」

2021年7月1日 発表

WILLERが月額料金で利用できるAIシェアリングモビリティサービス「mobi」を渋谷エリアで開始

 WILLERは7月1日、東京都渋谷区において、月額定額料金で利用できるAIシェアリングモビリティサービス「mobi」を開始した。なお、6月30日には京都府の京丹後市でも同様のmobiサービスを開始している。

サービス開始時点の車両台数は2。会員100名あたり1台のイメージ

 mobiは、「半径2kmの生活圏内の移動」をターゲットとして、自転車やマイカーに変わる新たな“ちょい乗り”サービスに位置付けられている。利用は世帯単位での月額料金のサブスクリプション制が基本になっており、乗降回数の制限なく利用できる。複数の会員が月会費を支払うことで、運転手付きのクルマを確保し、会員でそのクルマをシェアするサービスと考えると分かりやすいだろう。

 料金は、本会員が月額5000円。同居家族は最大6人まで登録でき、1人あたり月額500円で追加可能。例えば、両親と子供2名の場合には、5000円+500円×3の6500円で家族全員が使い放題になる。

 サブスクリプションサービスに登録していなくても利用可能で、その場合は1回の乗車ごとに大人1人300円、子供1人150円で利用できる。

 支払いはクレジットカード。月額料金の支払いは口座振替にも対応し、非サブスクリプション会員の都度利用では現金も使える。

月額料金で利用できるシェアリングモビリティサービス「mobi」
料金は本会員が月額5000円、同居家族は1人あたり月額500円
非サブスクリプション会員も都度払いで利用できる

 サービスエリアは、渋谷駅、代々木上原駅、原宿駅を囲む範囲となっており、サービスエリア中にあらかじめ設定されている乗降場所でのみ乗降が可能。通常のタクシーのように、任意の場所で乗車して任意の場所で降りるといったことはできない。

 また、相乗りになるため、タイミングによっては見ず知らずの人が同乗する場合もある。目的地までの走行ルートは、ほかの利用者の呼び出し状況や交通状況などを考慮しつつ、なるべくムダが発生しない効率的なルートをAIがリアルタイムで自動設定する。

 利用可能な時間は7時から22時まで。今後の状況によって変更も考えているという。

サービスエリアは、渋谷駅、代々木上原駅、原宿駅を含む範囲
ルートは呼び出し状況や交通状況などを考慮しつつ、AIがリアルタイムで設定

 mobi利用時には、専用のスマートフォンアプリ(Android/iOS)を利用し、乗車地点と降車地点を指定して車両を呼び出すのが基本手順だが、コールセンターに電話して呼び出すことも可能で、スマートフォンが手元にない場合でも利用できる。

 アプリは車両が今どの辺りにいるかを地図上に表示するとともに、乗車後は走行ルートを表示。例えば、家族会員の子供1人で利用する場合でも、親のスマートフォンで現在の位置が確認できる。

専用のスマートフォンアプリ。コールセンターに電話して車両を呼び出すことも可能
乗車地点と降車地点を指定して車両を呼び出す
車両の位置や走行ルートはアプリの地図に表示する

 mobiで利用する車両は、最大6人が乗車できるワンボックス。運用車両数は、サブスクリプションサービスの会員数100名に対して1台といった割合で用意するという。

 今回は事前に会員募集していたこともあって、7月1日のサービス開始時点で会員数が200名を超えており、車両2台で運用する。なお、初日の7時から10時までの3時間の利用状況は、雨だったこともあり、30件ほどとのこと。

渋谷で利用するmobiの車両。最大6人の乗客が乗車できるワンボックス
側面にはmobiのロゴステッカーが貼られている
自動開閉のスライドドアで、ステップも出てくるため、スムーズに乗り降り可能

生活圏の新たな移動手段「共有交通」

 発表会にはWILLER 代表取締役CEOの村瀬茂高氏が登壇し、mobiについて詳しく説明した。

 mobiは、AIルーティング技術を活用して利用者が車両を共有する新しい交通であることから、「共有交通」という新しい呼び名を考えたという。そして、「生活圏のなかの移動をいかにストレスなく行なうか、という点がアフターコロナで重要になる」として、これまで生活圏の移動は自転車や自動車を用意するか、徒歩で移動するかが中心だったところを置き換えるものと位置付けた。

 そのうえで、mobiの特徴を3つ紹介。1つは、自分中心の移動サービスであるという点。一般的な公共交通は、公共交通の発車時刻に合わせて生活する必要があるのに対し、mobiは自分の都合に合わせて利用できる。また、乗降ポイントをリクエストできること、会員にとって使いやすいサービスを実現できる点が、ほかにはない利点だという。

 家族全員で使えるサービスであるという点も、生活圏内での移動手段として非常に重要な部分であると指摘。

 また、地域のコミュニティを形成するサービスでもあるという、ほかのサービスにはない大きな特徴を備えているという。相乗りサービスということから、同乗した同じような生活スタイルの会員の間でコミュニケーションが発生し、新たな交流や体験が生まれるといったことも想定しているとのことで、「単なる移動サービスだけでなく、新たなコミュニティが生まれる価値としてこのサービスを捉えていただけると、持続・継続性も高まるのではないかと考えている」(村瀬氏)と述べた。

WILLER株式会社 代表取締役CEOの村瀬茂高氏
利用者が車両を共有する新しい交通であることから「共有交通」という呼び名を考えた
mobiは、自分の都合に合わせて利用できる「自分中心の」移動サービス
家族全員で利用できる
同じライフスタイルの会員との間で新たなコミュニティが形成される可能性も

 サービスエリアに渋谷を選んだ理由は、地元自治体の要望があったことと、生活者が多いだけでなく、外から訪れる人も多いため、さまざまな取り組みが行なえると考えたからだという。そのうえで、渋谷で生活している人や仕事で訪れる方の移動を考慮して範囲を設定したという。

 合わせて、バスや電車などの既存公共交通と連携してmobiとシームレスに利用できるようにしたり、自転車などほかのライドシェアサービスなどとも組み合わせ、同じサブスクリプションの範囲内で双方を利用できるようにしたりといったことも重要であると指摘。

 公共交通との連携については、6月30日に京都府の京丹後市でスタートしたmobiサービスにおいて、同じくWILLERが運営している京都丹後鉄道と連携し、京都丹後鉄道の発車時刻に合わせて駅まで送るサービスも提供しているとのことで、そちらで経験を積んだうえでほかの地域にも広げていきたいと説明した。

 渋谷のサービスでの今後の目標は、初年度で300名ほどのサブスクリプション会員を獲得して採算ベースを確保する計画だという。合わせて、2023年ごろまでに10都市、2025年までに70都市、100エリアでのサービス提供を行ないたいとのこと。