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KDDI×WILLER、2km圏内の乗り放題配車サービス「mobi」。髙橋社長「都市と地方、ヒト・モノ・コトをつなぐ」

2021年12月22日 発表

KDDIとWILLERは合弁会社を設立し、新しいチョイ乗りサービスとして「mobi」を開始する。檀上でタッグを組むことを発表したKDDI株式会社 代表取締役社長 髙橋誠氏(左)、WILLER株式会社 代表取締役 村瀨茂高氏(右)

 KDDIとWILLERは12月22日、エリア定額乗り放題の配車サービス「mobi」を発表した。KDDIは同時にau PAYアプリで交通サービスの予約、決済が完結する「au Moves」のサービスも開始。

 発表当日はKDDI 代表取締役社長の髙橋誠氏とWILLER 代表取締役の村瀨茂高氏が登壇して概要を説明したほか、ゲストとしてタレントの安田美沙子さんと関根勤さんが登場した。

「mobi」の車両前で撮影に応じる安田美沙子さんと関根勤さん

 冒頭では髙橋氏が登壇し、mobiを始める経緯について語った。KDDIは「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」のキャッチフレーズで通信サービスを提供してきた。このコロナ禍でオンラインサービスが増えつつある現状においても、日々の暮らしで人の移動は絶え間なく続いていることから、通信で新しい移動サービスの提供を検討してきたことを説明した。昨今は社会課題として地方の高齢者の移動不安、ちょっとそこまでといった移動ニーズの多様化、また普段の移動から少し先にある新しい出会いを解決・提供できる一つの手段としてmobiの開始を決めたとのこと。

 髙橋氏は「通信を入れることによって『移動を、感動に変えてゆく。』をテーマにし、都市と地方をつなぐ、人、もの、ことをつなぐ、といったことを一つ一つ実現していきたいと思います」と話した。加えて、WILLERとの合弁会社「Community Mobility株式会社」(代表取締役社長:村瀨茂高、議決権比率: WILLER 51%、KDDI 49%)を設立することも発表。合弁会社は2022年4月1日から事業を開始する。

 髙橋氏は協業に至った件について、「通信で人をつないできましたが、移動サービスはその道のプロと手を結ぶのが利用者にとって最善のサービスを提供できます。WILLERさんが熱い思いを持つ会社だったので、とんとん拍子に話が進みました」と説明した。

KDDI株式会社 代表取締役社長 髙橋誠氏

 mobiについては村瀨氏が説明した。「mobiが目指すのは新たなコミュニティモビリティ」として、現在の交通手段では応えられていないニーズを拾う新たなチョイ乗りサービスだ。

 半径約2kmを目安としたエリア内を乗合タクシーとして巡回している車両を、手元のスマホアプリで最寄の出発地、目的地に近いポイントを設定して呼び出す。AIルーティングによって最適なルートで配車されるので、少しの待ち時間で乗車して目的地に向かえるようになっている。ドライバーは決められた複数名が担当するので、見守りの役割としても機能するとしている。これにより、子供の快適な送迎、徒歩では向かいにくかった場所での買い物、免許を保有しない家族の送迎、家族での外食、高齢者の自由な外出など、幅広い用途に応じた利用を想定している。利用料金は30日間定額プランと1回乗車プランを用意している。

 エリアサービスなので重要なのは提供される地区数であるが、現在のところ京丹後市エリア(2021年6月31日~)、東京都渋谷区エリア(2021年7月1日~)、名古屋市千種区エリア(2021年12月6日~)で利用可能で、加えて東京都豊島区エリア(2022年開始予定)が申請が認可されて準備が整い次第、サービスを開始する。

 今後は「地域ごとにニーズや環境は違うので、まずは北海道から九州まで、全国各地でサービスを開始し、自治体や関係各所と連携を取りながら一つ一つ丁寧に育てていきたい」と村瀨氏は説明した。

WILLER株式会社 代表取締役 村瀨茂高氏
mobiについてのスライド説明。本誌で既報しているように、WILLERが実証実験を経て手掛けてきたサービスをKDDIと協業して行ない、利用できるエリアを全国に広げていく
mobiの料金プランや利用方法(KDDIのWebサイトから抜粋)

 mobiに適合するエリアの策定については、KDDI 執行役員事業創造本部長である松田浩路氏が説明した。地域とのネットワークとして、地域連携協定を全国の60を超える自治体と締結しており、auショップも2300店舗を擁しているので、そこからのニーズをくみ取っていきたいと話した。

 実際には地図上で人の流れ(au携帯の位置情報)を定点観測し、そこから導き出される範囲や動線を乗降スポットとして設定している。現在は移動量の多さをパラメータにして抽出しているが、移動方向のベクトル、例えば東西は多いが、南北は少ないといったエリアに導入することで、新しい移動体験の提供も考えていると話した。

KDDI株式会社 執行役員事業創造本部長 松田浩路氏
移動量の多いエリアをデータで見つけ出し、乗降スポットを設定する。画面の赤枠内だけでも200か所以上の乗降スポットが設定されている

 松田氏は「移動を、感動に変えてゆく。」の第2弾として「au Moves」の詳細も発表した。au Movesはau PAYを使った交通決済サービスで、メリットとしては検索・予約・決済が1つのアプリ内で完了し、Pontaポイントが貯まって使えること。

 発表会当日の12月22日からサービスを開始するが、まずはWILLERの高速バスが対応する。同時に2022年1月23日までの東京~大阪、東京~名古屋の1200便以上で、最大7~8割引きになるキャンペーンなども開始する。

au PAYを使った交通決済サービス「au Moves」のメリット
サービス開始に合わせてお得なキャンペーンも展開する

 ゲストトークでは、安田美沙子さんと関根勤さんがmobiについて語った。安田さんは実際にmobiに乗車した映像を振り返り、2児の母親の立場から子供連れの移動にとっても便利そうだと話した。関根さんは高齢者の運転免許証返納について触れ、いつか返納した際はmobiが便利な足となって活躍してくれそうだとPRした。

mobiに体験乗車した安田美沙子さんの映像
安田美沙子さんは母親の視点からmobiをPR
関根勤さんは高齢者の足としてmobiを推奨