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OCVB、8月の沖縄県入域見込みを大幅下方修正。観光業界は「なんとか持ちこたえている状態」と下地会長
2020年8月27日 07:00
- 2020年8月26日 実施
OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は8月26日、8月度定例記者懇談会をオンラインにて開催し、新型コロナウイルス関連の対応および取り組みについて発表した。
沖縄県の7月の入域数は27万7300人で、前年同月(96万3600人)比で約29%だった。そのうえで、8月の入域見込みを22万1490人と試算。7月に発表した試算は33万1875人、状況悪化の場合でも29万5040人としていたが、大幅な下方修正となった。これは、7月31日に玉城デニー知事から沖縄県独自の緊急事態宣言が発令されたこと、また、Go To トラベルキャンペーンの伸び悩み、団体旅行のキャンセルなどを受けてもの。
10月~12月の入域見込みは順調時と悪化時の2パターンを想定
今後の見通しとしては、8月が国内客前年比30.0%(全体前年比21.7%)、9月は同35.0%(同25.5%)と試算。10月から12月は、順調な場合と感染拡大による悪化を想定した2ケースを算出。
10月は順調時45.0%(32.7%)、悪化時35.0%(25.5%)。11月は順調時55.0%(41.2%)、悪化時40.0%(30.0%)。12月は順調時55.0%(41.5%)、悪化時40.0%(30.2%)と試算した。
下地会長は、「7月は回復の兆しも見えたが、感染者拡大により一番のピーク期である8月に大きく落ち込でしまった。今後の見通しも立たず、まずは感染防止対策につとめていく。
一方、県民向けの県内旅行キャンペーン『おきなわ彩発見』について、第2弾、第3弾実施の要望もあるので、県内市場の掘り起こしに力を入れていきたい。Go To キャンペーンについては、長いスパンで実施してもらえるよう働きかけていきたい。県内の状況が落ち着いたときのために受け入れ体制を万全にしていく」とコメントした。
観光業界については、「かなり体力は落ちていると思われる。雇用調整助成金や金融機関の融資などでなんとか持ちこたえている状態。雇用や事業継続についても不安が出てきている。今後は事業の見直しや合併など、考えていくことも必要かもしれない」と語った。
次に、旅行者専用相談センター(TACO)の運用状況について。
6月19日から那覇空港内にて運用開始したTACOは、当初はサーモグラフィによる検温で発熱を検知した場合に問診を行なっていたが、8月9日からは問診によって医師が必要と認めた場合、その場で抗原検査のための唾液採取が可能となった。
抗原検査の結果は1時間程度で分かり、陽性であれば対策本部から本人へ指示がいくようになった。なお、現在の検査体制になってからは、検査の実施に至るような発熱者は出ていないとのこと。
そのほか協議会やセミナーの開催報告
ツーリズムEXPOジャパン2020の開催地連絡協議会の実施についても報告があった。
10月29日~11月1日に宜野湾市で開催予定の「ツーリズムEXPOジャパン2020」について、経済団体、観光関連団体、内閣府、沖縄県、宜野湾市など30団体が参加し、8月19日に会場とオンラインのハイブリッド形式で第5回協議会を実施。コロナ禍での観光産業の回復や成長に向けて開催の方針が改めて示され、開催可否判断基準やコロナウイルス感染防止対策などについて話し合われた。現在、実施会場の450コマのうち9割程度が埋まりつつあるとのこと。
次に、旧海軍司令部壕3Dバーチャル体験の始動について。
豊見城市にある戦跡「旧海軍司令部壕」では、高解像度4K/3Dパノラマ映像をWebサイトで公開している。地下壕のほか慰霊塔、ビジターセンター、資料館なども公開しており、地下壕に残る当時のつるはしの跡や壁に書かれた文字なども精細に撮影されている。PCやスマートフォンでの閲覧のほか、VRゴーグルにも対応、臨場感あるバーチャル体験が可能だ。
旧海軍司令部壕が作られたのは終戦の1年前、今から76年前のこと。その当時の姿がそのまま残る貴重な資料で、デジタル化により後世に伝えていく意味としても大きい。教育旅行の事前学習などにも役立ててもらいたいと期待を寄せている。
最後に、県内観光事業者向けの「ベジタリアン、ヴィーガン、ムスリムなどの食対応オンラインセミナー」の開催について。
沖縄県とOCVB主催のもと、外国人観光客の多様化による食の対応についてのセミナーが毎年開催されているが、今回はオンラインでの開催となる。ベジタリアン、ヴィーガン、ムスリムなどの基本的な知識や対策事例などについての基調講演、メニュー導入の仕組み作りなど実践例の紹介、「多様な食のレシピ」についてコミカルに描いた動画の配信などを予定している。
日時は9月16日14時から。配信はZoomによるウェビナー形式で行なう(定員130名)。